Re:PoIC~ライフハッカーのためのPoIC入門
第6回 PoIC++~プラットフォームの拡張
前回の前編である「43Tabs~PoIC機能拡張」では,PoICのシステムについての拡張性について考えてみましたが,後編である今回は,5mm方眼罫の情報カードに特化している,PoICのプラットフォームの拡張性について書いてみたいと思います。つまり,徹頭徹尾アナログのシステムであるPoICの考え方を,デジタルデバイス上でどのようにして展開していくことが出来るのか,ということを考えてみます。
デジタルデバイスとPoIC
EBt liteとは
EBt lite(以下,単にEBtと表記する)は,シャープ株式会社が販売するPDA(Personal Digital Assistant)である,「Linux Zaurus」上で動作する「メモツール」です。
すべてのメモを,容易に相互リンクさせることができるということが,EBtの最大の特徴になっています。一方から他方にリンクを貼ることで,自動的に相互にリンクされ,ひとつのメモから他のメモに向けて,いくつものリンクを張ることが出来ます。このリンク型のテキスト管理により,フォルダ階層型では不可能な,複数のカテゴリにまたがるメモ内容をコピーを取ることなく,原本のまま管理できることになります。つまり,メモ内容の分類に頭を煩わせなくて済むということです。
EBtのインターフェイスは,アウトラインプロセッサや階層型メモツールに酷似しています。デフォルトの状態では画面が左右に分割され,左側のウィンドウにはエクスプローラー型のツリーが表示され,右側のウィンドウにはメモの内容が表示されます。
任意のメモを選択すると,左側のツリー表示ウィンドウに「そのメモを起点としたリンク構造が,ツリー表示されます」。この点がなかなか解りにくく,説明しにくい点なのですが,一度その動作の理屈が解ってしまえば,これ以上のメモツールは考えられなくなります。実際に,EBtを使いたいがためにZaurusを使い続けていた人たちもいるほどです。最近では,Windows Mobileに移植されたりもしていますので,以下の記事はWindows Mobile機でも応用が可能だということになります。
EBtに関してのまとまった知識を得たいのであれば,「その後の Oh! PDA weblog」の「連載EBt」に勝るものはないと,自分勝手に思っていますので,ぜひ参照して下さい。
どうしてEBtでPoICするのか
PoICのエッセンスは極めてシンプルに表現できます。
- 頭の中の考え,身の回りの情報をカードを使って収集する
- それを箱の中に時系列で保存していく
- それをあとで利用する
そして,PoIcの基本は以下の4つのメソッドです。
- PoIC 4カード
- PoIC フォーマット
- 時系列スタック法
- 野帳のススメ
具体的には,次のような手順になります。
- 書き出したすべての情報カードを「記録」「発見」「GTD」「参照」の4つに分類する。
- 方眼の情報カードを用いて,カード上部の方眼マスを分類に応じて塗りつぶし視認性を高める「タブ」の使用と,カードの絶対参照名としての日付と時刻を記入する。
- 分類のグレイゾーンを作らないために,カードを時系列順に並べてストレスフリーに管理する。
- 効率良く情報を収集し,一時的なメモリ(記憶媒体)としてメモ帳(野帳を推奨)を使う。
そして,2が1と3を実現するための書式であり,4が記憶のストック,およびび前処理装置であることを考えれば,PoICの真髄は,「4つに分類する」ことと,「時系列順に並べて管理する」ことだと言っていいでしょう。
つまり,PoICとは「4つに分類された情報が時系列順にストックされている状態」のことなのです。
上記の2つを実現するために,PoICでは方眼の情報カードを用いたり,管理収納するためにドックと呼ばれるカードボックスを使用したりしているわけです。
実際,タブによる視認性は,他のカードシステムにはない優れた点であり,PoICを他のシステムから区別するための,際だった特長になっています。
ですが逆に言えば,情報カードを用いないのであれば,方眼である必要もなく,方眼でなければタブを設けなくても良い,と言うことになります。つまりタブは,情報カードを用いたシステムにおいてのみ必須なのであって,それ以外のツールを使うなら,必ずしも必要というわけではありません。とにかく4つの分類が解りやすければ,PoICの「4タグ」思想は実現できていると考えて構わないということになります。
では,情報カードに特化しているPoICメソッドを,なぜEBtで代替させようとするのでしょうか。それはEBtにはPoICの「4タグ」と,「時系列スタック法」を容易に実現できる機能が,アプリケーションの主だった特長として備わっているからに他なりません。
まず,EBtでは新規メモを作成すると,自動的にタイトル欄に「YYYY/MM/DDHH:MM:SS」という形式でメモ作成日時が挿入されます。これは任意のタイトルに変更することが可能ですが,「時系列スタック法」でメモを管理するなら,変更する必要はありません。メモを作成すれば,それだけで時系列で管理する準備ができるのです。このことが僕の中でEBtとPoICを結びつけました。
では,「PoIC4カード」はどのように実現させるのか。それにはEBtの特長でもある「リンク構造」を利用します。メモを時系列順に並べ,尚且つリンクによって4種類に分類することで,分類項目だけを抽出したり,メモの内容から検索することで,新たなカテゴリーを作成したりすることができ,それによって「知的エントロピーの解放」を成し遂げることができるようになります。
準備
EBtでPoICするための下準備を整えます。
まず,ルート直下に,以下のような構成で新規メモを作ります。
項目の前についている「A:」や「D:」はインクリメントサーチ用です。EBtを表示させ,キーボードで「A」を押すと「ドック」が選択されます。また「ドック」が「A:」なのはソートしたときに最上部に来させるためで,それ自体に意味はありません。その後の項目は「記録」が「Document」,「発見」が「Find」,「GTD」が「GTD」,「参照」が「Reference」の頭文字になっています。数字でもかまいません。PoICの「記録:Record」「発見:Discovery」「GTD:GTD」「参照:Cite」に微妙に対応していないのは,ひとえに並び順のためです。
次に,「ドック」の下に「XXXX年」を,その下に「XXXX年XX月」を作成します。これらはカードボックスにおける「見出しカード」の代わりになります。
続いて,「記録」の下に「XXXX年X月の記録」を作成します。最初から複数月分作成しても,一月毎でも構いません。
「発見」の項目は,知的再生産にとって最も重要な項目であるために,あえて細かく分類することはしません。
続いて「GTD」の項目です。ここではデビッド・アレン氏の提唱する「GTD」ではなく,「GTD+R」を導入します。「GTD+R」については後述します。
「GTD+R」直下に,「GTD+R」メソッドに従って,「INBOX」「TODAY」「WEEK」「MONTH」「SOMEDAY」「HOLD」の6つのメモを作成します。
「参照」にも小分類は設けません。この項目はまだ使用方法が定まっていないために,後々変更するかも知れません。
以上で,EBtでPoICする準備が整いました。
ツリー部はこのようなイメージになります。最近使っていないことが判ります。










