インタビュー

Jimdoでインターネットの世界に,もっとたくさんの暖簾を~株式会社KDDIウェブコミュニケーションズSMB事業本部Jimdo事業部ゼネラルマネージャー山本良子氏に訊く

この記事を読むのに必要な時間:およそ 3 分

無料オンラインホームページ作成サービス「Jimdo」がリリースされて5年を迎えました。この5月から同サービスゼネラルマネージャーに就任した株式会社KDDIウェブコミュニケーションズ 山本良子氏に,Jimdoのこれまでとこれからについて伺いました。

写真 株式会社KDDIウェブコミュニケーションズSMB事業本部Jimdo事業部ゼネラルマネージャー山本良子氏

写真 株式会社KDDIウェブコミュニケーションズSMB事業本部Jimdo事業部ゼネラルマネージャー山本良子氏

Jimdoとは?

Jimdoは,ドイツJimdo GmbHが開発した無料オンラインホームページ作成サービスです。同社と株式会社KDDIウェブコミュニケーションズとの業務提携により,2009年3月25日に日本語版がリリースされています。

最大の特徴は,特別なITスキル・IT知識がなくとも,直感的な操作で高い品質のホームページが作れる点。数多くのテンプレートが用意されているため,見た目上の独自性を出すことも可能です。

2009年の日本展開開始以来,数多くのユーザに利用され続け,2011年9月にはグーグル株式会社が提供するみんなのビジネスオンラインに採用されたり,2013年12月に,Jimdo Japan直営のユーザのための場所JimdoCafe名古屋がオープンするなど,幅広い展開が行われてきました。

今回,さらにユーザに向けた展開を強化すべく,本日5月1日付で山本良子氏が,Jimdo事業部ゼネラルマネージャーに就任する運びとなったのです。

これまでのJimdoを振り返って

さっそく山本氏にこれまでのJimdoと日本での動きについて振り返ってもらいました。

山本氏(以下Y)⁠Jimdoは2009年3月のリリース以降,非常にたくさんの皆さまにご利用いただいてまいりました。とくにリリース直後は想定した数よりも多くのユーザの皆さまにご登録・ご利用いただきました。そのため,その後しばらくの間は,高い品質のサービスを安心してご利用いただけるよう,インフラやサポートの充実,サービスの整備に力を入れてきたのです。結果,この5年の間でしっかりとした基盤が整備されたのではないかと思います。

現段階ではユーザ数は非公開ではありますが,基盤整備とともにユーザ数も順調に伸びてきたので,今後は次のフェーズとしてさらにたくさんのユーザの皆さまにご利用いただけるよう,今回の発表となりました。

Q:山本さんご自身はこれまでどのような立場でJimdoに関わってきたのでしょうか。

Y:実は私自身が,直接Jimdoを扱ったことはないのですが,弊社のイベントやプロモーション活動で数多くの地方を見てきた中で,Jimdoをご利用いただいているシーンを目にする機会が多くあり,そこでユーザの皆さまの声を直接聞くことができたのです。

そうした経験から感じたのが,⁠Jimdoをさらによく使ってもらうためのキーパーソンが必要」ということでした。具体的にどういうことかというと,Jimdoが広がっている地域の特徴として,一人のキーマンがいるケースが多く見られました。いわゆる,パソコンやインターネットに詳しくて,何でもできちゃう人ですね。その方がJimdoを利用し,周りの方に伝え教えていく……,こうした技術の伝播が,今のJimdoを支えてくれている大きな理由の1つです。

この立場になって,まず,こうしたキーマンの方たちをサポートすること,そして,キーマンがいない地域にキーマンを生み出すことが最初の目標になりますね。

余談ではありますが,Jimdoはこれまで直接的に関わってきてはないものの,身近で見て触れてきたサービスで,リリース当時から私自身とても愛着があるサービスでした。ですから,今回こういう形でJimdoに関われるようになったことは,個人としても大変嬉しく思っています。

これから取り組む施策

今後は,Jimdoが日本全国,さまざまな地域に根付くことを目指していることが伺えました。この点について,さらに詳しく聞いてみました。

Q:Jimdoはどのようなツールであり,役割を持っているのでしょうか。また,事業として考えた場合の具体的な目標はありますか?

Y:Jimdoが目指しているのは,お客さまに使ってもらうことの先に見出だせる,⁠お客さまの価値を高めること⁠です。ですから,制作のためのツールではなく,価値を生み出すツールとしてご利用いただけるように考えています。その点で,場所にとらわれず情報を発信すること,それをサポートするJimdoの役割は今後ますます高まると思いますし,高めていきたいポイントの1つです。

事業として考えた場合,もちろん有料ユーザが増えることが直接的な利益につながりますが,まずは無料版をご利用いただき,お客さまの課題解決と価値向上を再優先に考えます。そして,無料版ではカバーしきれなくなったときに有料版にアップグレードしていただくことで,さらに高い価値につなげていただきたいのです。たとえば,知名度が上がり,独自性を出したいとなった場合に,有料版にアップグレードして独自ドメインに変更いただくというのは,わかりやすいケースの1つですね。

エキスパート(Expert)とエバンジェリスト(Evangelist)の存在

ここまでの話で,KDDIウェブコミュニケーションズでは,エリアマーケティングと呼ばれる,地場に根ざした戦略をかなり意識的に行っていることがわかりました。とは言っても,一地域ごとに行うだけでは限界もあります。

それらを補完するものとして用意されているのが,次に伺った「Jimdo Expert」⁠Jimdo Evangelist」と呼ばれる認定制度です。

Q:Jimdoには「Jimdo Expert」⁠Jimdo Evangelist」と呼ばれる認定制度があると聞いています。これらについて教えてください。

Y:これまでお話したように,Jimdoは東京や大都市集中で使ってもらうのではなく,日本各地でご利用いただくことを目指しています。場所によっては,まだまだまったく知名度がなかったり,お客さまご自身で直接ホームページを制作することができない状況があります。それを補うのが,⁠Jimdo Expert」「Jimdo Evangelist」です。

いずれもJimdoが公式に認定する制度で,Jimdo Expertは,⁠Jimdo Japan(KDDIウェブコミュニケーションズ)が公認するJimdoを使ったWeb制作者のプロ」⁠Jimdo Evangelistは「周りの友人・知人,企業に向けて⁠Jimdoはここがいい!⁠と伝えてもらうことを目的とした認定制度」のことです。

この2つの制度も,ここまでJimdoユーザを獲得できた非常に重要な要因でした。これからもたくさんの「Jimdo Expert」「Jimdo Evangelist」を増やしていきたいです。

季刊誌『のれん』の可能性

Jimdo Japanでは,2014年に入り,紙媒体『のれん』を刊行しています。オンラインサービスとして,このタイミングでなぜ紙媒体なのか? また,ここまでお話いただいたエリアマーケティングやさまざまな施策との関係性について伺いました。

Q:今年のはじめに紙媒体『のれん』を刊行されていますね。発刊に至った経緯を教えてください。

Y:目的はずばり「インターネットやホームページがわからない人にもJimdoを知ってもらいたい」ですね。繰り返しになりますが,さまざまな地域を見てきてわかったのが,まだまだ日本にはインターネットやホームページが日常的な存在でない方が多くいらっしゃることでした。

知らないということの先に見えてきたのが,そういった方たちがホームページをつくる・つくりたいとなったときに遭遇する「つまずきポイント」が,ITスキルの高い方たちとはまったく違うということ。

そのつまずきポイントを解消するためには,私たちからのお伝えする情報もオンラインではなく,オフラインにする必要があると感じたからです。

『のれん』は現在年4回の季刊誌として発行しており,毎回,さまざまなテクニックはもちろん,実際にJimdoを使ってホームページをつくり,運営している方たちのインタビューを掲載しています。こうしたユーザの声を,慣れ親しんだ紙を通じてお伝えすることで,インターネットやホームページに慣れていない方たちにもJimdoを使うきっかけを提供できると思っています。

この『のれん』という誌名は,日本の伝統である「暖簾(のれん)⁠から取っています。今でこそ,街中にはさまざまな看板やネオンがありますが,昔は布に屋号を染めるだけのシンプルな暖簾こそが,自分たちのビジネスをアピールする手段であり,街を行き来する人たちが暖簾を見てお店に入り,さまざまな交流が生まれていたのです。

この伝統を尊重し,私たちもシンプルだけどみんなに見てもらえるもの,そして,⁠Jimdoが,たくさんの方がそのお店に入ってきたいと思うような⁠暖簾⁠の存在になってほしい」という想いを込めて『のれん』という名前にしました。

Jimdoユーザに向けたメッセージ

Q:最後に,Jimdoユーザ,Jimdo関係者に向けたメッセージをお願いします。

Y:おかげさまでJimdoは,弊社がお世話になっているたくさんの方たち,とくにIT/Web業界に関わっている皆さんのお陰でネットワークが拡大してきました。しかし,まだまだ自分たちとしてやれることはたくさん残っていますし,認知が足りないことを認識しています。ですので,まずは日本全国の皆さんにJimdoを知ってもらえるよう,仕掛けや展開をしていきたいですね。

このタイミングでゼネラルマネージャーに任命されて感じたのは,⁠今,Jimdoが変わるとき」だということです。私が今まで経験したことをふまえ,より一層Jimdoを周知させられるよう努力します。

先日実家の大阪に戻ったとき,⁠IT/Web業界とはまったく無縁の)友人から「山本さん,Jimdoの会社で働いてるんだって」って言われたことがあったんです。こういう身近なところでの反応はすごく嬉しく,まさにこの感覚を増やしていくことが,今,私が目指さなければいけないことだと思っています。

具体的な施策としては,これまで以上にたくさんのセミナーを開催したいです。そして,セミナーを通じてユーザの皆さまとの距離を縮め,Jimdoのサービスを一緒に育てていけたら最高ですね。

とにかく,がんばります!!

――山本さん,ありがとうございました。

画像

著者プロフィール

馮富久(ふぉんとみひさ)

株式会社技術評論社クロスメディア事業室室長。

1975年生まれ。横浜市出身。1999年4月株式会社技術評論社に入社。入社後から『Software Design』編集部に配属され,2004年1月に編集長へ就任。同2004年9月に『Web Site Expert』を立ち上げ,同誌編集長に就任,現在に至る。その後,2008年9月に設立したクロスメディア事業部(現クロスメディア事業室)に配属。現在,社外活動として電子書籍を考える出版社の会の代表幹事やWebSig 24/7のモデレーター,TechLIONプロデューサーなども務める。過去にIPAオープンソースデータベースワーキンググループ委員やアックゼロヨン・アワード他各賞審査員などの経験を持つ。

Twitte ID:tomihisa(http://twitter.com/tomihisa/

バックナンバー

2014年

コメント

コメントの記入