プロジェクト管理に関わるすべての方のための祭典「Backlog World」レポート

前編:日本から多彩なプロジェクト管理の知見が集まった1日~Backlog Worldセッションレポート

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アジャイル開発とプロジェクト管理ツールの相性
中村 洋 / ギルドワークス株式会社

⁠アジャイル開発とプロジェクト管理ツールの相性」と題したセッションを行ったのは,株式会社ギルドワークスに所属し,認定スクラムマスターの肩書を持つ中村洋氏です。同社は「正しいものを正しくつくる」をミッションに掲げ,とくに「越境」を価値として提供することを目的としている企業です。

今回は,中村氏自身がこれまでも注力してきたアジャイル開発と,そこで利用されるプロジェクト管理ツールの相性について,考察と展望についてまとめた内容が発表されました。

アジャイル開発とプロジェクト管理ツールの相性を考察した,株式会社ギルドワークス中村洋氏

アジャイル開発とプロジェクト管理ツールの相性を考察した,株式会社ギルドワークス中村洋氏

アジャイル開発の肝であるアジャイル宣言の背後には「顧客満足を最優先にする」⁠変化を味方につける」⁠短い時間間隔でリリースする」⁠フェイス・トゥ・フェイスで会話をする」⁠持続可能な開発」などの特徴があります。こうした特徴のもと,XP(エクストリームプログラミング)やスクラム,リーンソフトウェア開発などのアジャイル開発手法が生まれました。

中村氏のセッションでは,このように「アジャイル開発とは」について非常に丁寧に説明が行われ,これからアジャイル開発に取り組みたいエンジニアはもちろん,すでに実践しているエンジニアやチームにとっても役立つ内容になったのではないでしょうか。

そして,実際に行うためのツールや手法として,インセプションデッキ・全員同席・ドラッカー風エクササイズ・顔を合わせての対話・振り返りと改善などの,具体的なステップを紹介しました。

まとめとして,⁠プロジェクト管理ツールを使うことが目的ではなく,これまで説明したような成果を出すことが重要です。その中で適正なツールを選ぶこと,ときにプロジェクト管理ツールを捨てるという選択も必要です」と,ツールはあくまでツールであり,プロジェクト管理の本質は,チームメンバー一丸となって成果を出すことであるという,もっとも重要な意識を,中村氏は改めて教えてくれました。

サーバーワークスが語る BacklogでAWS導入プロジェクトが捗る3つの理由
大石 良 / 株式会社サーバーワークス

株式会社サーバーワークス代表取締役 大石良氏は,⁠サーバーワークスが語る BacklogでAWS導入プロジェクトが捗る3つの理由」と題し,実際に同社が活用しているAWSとその導入プロジェクトにおけるBacklog活用事例を紹介しました。

早くからクラウドをビジネスに取り入れ,それをブラッシュアップし続ける株式会社サーバーワークス代表取締役 大石良氏。AWS導入プロジェクトとBacklogの相性を紹介した

早くからクラウドをビジネスに取り入れ,それをブラッシュアップし続ける株式会社サーバーワークス代表取締役 大石良氏。AWS導入プロジェクトとBacklogの相性を紹介した

サーバーワークスでは2007年からAWSのテスト利用を開始し,2008年には社内サーバの購入を禁止しました。そして,2009年にAWS専業インテグレータに転換し,新規案件はすべてAWSを採用し,今に至ります。今回は,これまでのAWS導入プロジェクトの実績に基づいた内容で発表が進みました。

現在のクラウド市場が急激に立ち上がったのは,2011年,東日本大震災が1つのきっかけでした。同社はそのタイミングで,今後のビジネス拡大に必要になることとして「セキュリティ強化」⁠ISMS取得」に注目したのです。

セキュリティ強化およびISMS取得に向けて,実際の案件にもさまざまなクラウドサービスを導入した結果,プロジェクトごとのチケット管理が必要となりました。大石氏は数あるプロジェクト管理ツールの中から,それまで使っていたツールを捨ててBacklogに移行した理由として「使い勝手の良さ」⁠心地良いUI」⁠運用負荷」⁠価格(コスト)⁠を挙げました。

6年後,その利用規模はさらに拡大している中で,oneloginによるシングルサインオンで,各種サービスを横断的に利用できる点も,Backlogを選んだ理由として挙げています。

また,クラウド化により,実際の案件でもさまざまな自動化が行われるわけですが,サーバーワークスではBacklogの運用も業務改善ツール「Questetra BPM」と連携して自動化しているとのこと。このあたりは,エンジニアリング企業ならではの強みとも言えます。この点について,大石氏は「Backlogは単なるプロジェクト管理ツールではなく,業務自動化の一基盤」と表現しました。

このような自動化推進の背景には,日本の少子高齢化もあるとして,働き方改革よりも関係性改革が必要(大石氏)とし,これまでの発表内容とともにサーバーワークスが目指す世界を「クラウドで,世界を,もっと,はたらきやすく」と表現しました。

この世界を実現するための選択肢の1つとしてBacklogを選んだとのことで,Backlogが実現する成果の可視化や理由の共有などが,同社が求める会社や環境を支える「カルチャー」の構築につながるとして,セッションを締め括りました。

“プロジェクト管理”の前に考えること
永野 英二 / 601works

福岡市中央区大名にあるシェアオフィス「601works」に参加し,チーム601worksのメンバーでもある永野英二氏は,他のスピーカーとは異なった視点から「“プロジェクト管理⁠の前に考えること」と題した発表を行いました。

プロジェクト管理の前に,まず,最初に考えることを改めて説明したチーム601worksのメンバーでもある永野英二氏

プロジェクト管理の前に,まず,最初に考えることを改めて説明したチーム601worksのメンバーでもある永野英二氏

永野氏が着目したのは,そもそもとしてプロジェクト管理をする前にもたくさん考えることがあるという点です。プロジェクト管理の目的は,言わずもがな「プロジェクトの完遂」です。そのために,プロジェクトが始まってからさまざまな管理が発生しますが,その前にも必要な事項が多々あります。

永野氏自身がプロジェクトをスタートする前に実際に行うこととして,⁠関わる人のリサーチ」⁠適切なツールの選定」⁠ツールの使い方の策定」⁠情報共有レイヤの策定」⁠注意喚起プレイヤーの策定」などを挙げました。言語化するとあたりまえな部分もありますが,これらの基本がしっかりと押さえられているかどうかは,その後のプロジェクト遂行,そして,プロジェクト管理の成功の鍵を握ります。

永野氏はこれらの具体的な手法をさらに汎用的な表現として,⁠面倒と思われることを先にやる」⁠リアルなコミュニケーション」⁠合意形成の場を作る」とまとめ,この先,1つでもより良い,そして,メンバーが幸せになるプロジェクトが増えることを願って発表を終えました。

著者プロフィール

橋本正徳(はしもとまさのり)

1976年福岡県生まれ。福岡県立早良高等学校を卒業後上京し,飲食業に携わる。劇団主催や,クラブミュージックのライブ演奏なども経験。1998年,福岡に戻り,父親の家業である建築業に携わる。2001年,プログラマーに転身。2004年,福岡にて株式会社ヌーラボを設立し,代表取締役に就任。現在,福岡,東京,京都,シンガポール,ニューヨーク,アムステルダムに拠点を持ち,世界展開に向けてコツコツ積み上げ中。


五十川慈

1989年福岡県生まれ。Meggyと呼ばれている。株式会社ヌーラボの広報兼コミュニティマネージャーとして,会社とプロダクトの「ファン作り」に取り組む。九州大学卒業後5年間,東京のスタートアップ企業で営業や人事に従事し,2017年にヌーラボ福岡本社にUターン転職。お菓子作りが好きで,将来は企業の人として働きながらも,実店舗を持たないお菓子屋さんとしても仕事をしたいと考えている。


馮富久(ふぉんとみひさ)

株式会社技術評論社クロスメディア事業室室長。

1975年生まれ。横浜市出身。1999年4月株式会社技術評論社に入社。入社後から『Software Design』編集部に配属され,2004年1月に編集長へ就任。同2004年9月に『Web Site Expert』を立ち上げ,同誌編集長に就任,現在に至る。その後,2008年9月に設立したクロスメディア事業部(現クロスメディア事業室)に配属。現在,社外活動として電子書籍を考える出版社の会の代表幹事やWebSig 24/7のモデレーター,TechLIONプロデューサーなども務める。過去にIPAオープンソースデータベースワーキンググループ委員やアックゼロヨン・アワード他各賞審査員などの経験を持つ。

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