レポート

座談会『Web関連メディアの編集長がWEB業界の2009年を大予測!』 前編

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11月18日,loftwork Groundにて,Web関連メディアの編集長による座談会が開かれました。そのレポートを2回にわたってお届けします後編はこちら)。

座談会のスピーカーは以下の6名です。

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「2009年の注目!」を披露しつつ,自己紹介

ロフトワーク 林千晶氏

今日の座談会は,Web関連の主要なメディアの編集長に集まっていただいて,「Web業界の2009年を大予測する」というものです。最初は各メディアの皆さまに,「今注目しているテーマ(サービス)」について自己紹介も兼ねて,お話いただきたいと思います。

日経ネットマーケティング 渡辺博則氏

『日経ネットマーケティング』は月刊誌で,11月号で創刊1周年です。テーマは「ネットと携帯で,売れる仕組みをつくる」というものです。今日はWebの話題ですが,どちらかというと「マーケティング全体の中のネットマーケティング」という捉え方をしています。読者層は,企業のマーケッターさんたち。「昔からWebをやってました」といった方,事業部のマーケッター出身の人たちをターゲットとしています。そして「紙・イベント・Webサイトの三つ巴で情報提供をすることで,「広告にはあまり依存せずに,会費的な枠組の中でやっていきたい」というところからスタートしています。

日経ネットマーケティング 渡辺博則氏

日経ネットマーケティング 渡辺博則氏

さて,「注目のテーマ」ですが,われわれが見ている「企業のWebサイトの使い方はどうなっているか?」という観点から言うと,「2009年は,よりメディア化が進んでいく」というのが,1つあります。その上で,「おもてなし」という言葉が去年あたりからすごく流行っていますが,「サイトを訪れた人に,いかに幸せになってもらうか?」とか,「いかに心の満足感を得てもらうか?」といったことが焦点になっています。ですからWebサイトもだんだん,目的にしても,作り方にしても,変わっていきそうだなと思っています。

Web担当者forum 安田英久氏

『Web担当者forum』(Web担)は,以前は雑誌も発行していましたが,現在は定期的な雑誌発行はいったん止めて,Webサイトを中心に,イベントやセミナーなどを組み合わせてメディアを展開しています。「Webサイト」「マーケティング」という2つの軸があります。

今注目のテーマは……やっぱり「ユーザ中心設計」かな。一昔前には「やっぱりユーザビリティって大切だね」ということでしたが,ユーザビリティだけじゃなく,企画そのもの,物事の考え方とかも,一昔前のマスマーケティングの考え方ではたち行かなくなってきています。ユーザなり顧客なりを「マス」という固まりではなくて,1人1人の人間に対して,「その人がどういうニーズを持っているのか?」「どういう背景があるのか?」,さらには「顕在化していないニーズは何か?」みたいなところまで,コンテンツや,施策のプランニングをはじめ,サポートの仕方も含めて設計していく必要がある。そこに,ユーザビリティとか,ペルソナとか,そういう話が入ってきます。──媒体をやってて,いちばん今気になっているのは,そこですね。

ウェブエキスパート 諏訪光洋氏

今日は『ウェブエキスパート』の責任者として,この座談会を開催させていただいています。そもそもどうして『WebEXP』を作ったか。ロフトワークという企業は制作を主体にしていますが,「もはや1社で何かを作る時代ではない」ということです。われわれは競合している会社と一緒に制作することが増えいてますし,システム会社やマーケティングの会社など,いろんな会社と一緒に作るケースがすごく増えている。そのあたりに関して,「うまく,リアルな形で結びつけられるメディアを作りたい」というところからスタートしました。

そこで,今注目のトピックスは……僕がこの間「おっ!」と思ったのが,テレビ東京とテレビ朝日,民放キー局2社が,赤字決算を出したことです。相対的に言ってテレビの力が非常に落ちてきていると思います。「Webが主流のメディアになりつつあるな」というのを,キー局2つが赤字決算を出したというニュースに感じました。ブランド構築というものに,テレビが果たしている役割というのが,極端に減ってきている。Webの果たしていく役割が,今後ますます大きくなってくるでしょう。2009年は「メディアの主流としてWebが出ていく年」に,不況だからこそなっていくのではないかと思っています。

※)
『ウェブエキスパート』:企業のWebエキスパートのための情報ポータルサイト。Web制作・開発に欠かせないCMS,SEO,ECなどの製品やサービス情報,イベント情報,導入事例などを掲載。
Web Site Expert 馮富久

『Web Site Expert』は,2004年9月に創刊,5年目を迎えました。Webの制作・デザインなどについて,リファレンスやTipsというよりは,「人」に注目して,読み物的な要素を多くもりこみながら掲載しています。概念的な部分ですとか,人の持っている温度みたいなものをお伝えしていきたいと考えています。

今注目しているのはサイトよりはサービスで,動画サービス,とくに生中継,ライブ系がすごく増えていると思うんです。これまでWebというものは,ライブとは相反するというか「いつでもどこでも見たいときに見られる」ものでした。でも近ごろは,ニコニコ動画がライブをやったり,Ustream.tvとかStickamというのが出てきて,セミッターやキッズプレートチャンネルのようにそれを活用した配信が行われています。その場を共有した人たちに対してユーザエクスペリエンスを高めていきつつ,そこで配信した動画をアーカイブとして,コンテンツの形で残していくという,まさにクロスの展開が実現できてきていると思うんです。

このように,Webが,その場の臨場感を伝えられるメディアとしても認知されてきました。その1つの理由はインフラ。10年前のインターネットではありえなかった仕組みが,今はもう普通に家庭に普及しているし,それこそ携帯でも見られます。このあたりが2009年に,またさらに強まっていくのではないかと思います。

もう1つ気になっているのが,「日本産,日本発のWebサービス」です。mixiをはじめ,徐々に出てきていますが,たとえば楽天やYahoo! JAPANのような大規模サイトでも「勝負できるものが増えてきた」と思います。日本発の情報やテクノロジーが盛り上がっていくとおもしろいなと思っていて,2009年はこのあたりに注目していきたいと思っています。

Web Designing 馬場静樹氏

『Web Designing』は,2001年に創刊しました。主にWebの受託制作をしているクリエイターの方々に向けた雑誌で,デザイン的要素を強くしていますが,Web制作に関する全般的な部分を取り上げています。

皆さんがおっしゃっていたこととちょっと違う,技術的な話をすると,2009年はやっぱり2008年の延長上にしかないと思うのです。2008年,明らかに盛り上がったのは,ActionScript 3.0を使った新しい開発コミュニティです。Flashを作るフローが変わってきているし,それによって作られるものや,参加できるクリエイターの種類や質も変わってきている。これが大きな影響を与えるのではないかと思っています。ActionScript Libraryの世界でも,日本人のエンジニアの方で,突出した技術力やアイデアを持ってる方がいらっしゃるので,そのあたりに注目していきたいです。

たまたま先週,広告業界の方と話していたのですが,景気の後退が進む中で,「これからどうしたらいいんだ?」とみたいなところが,Webの業界の人たちとぜんぜん違うと感じました。広告制作業界でも,とくに紙媒体中心の方々と一緒だったんですけどね。

Web Designing 馬場静樹氏

Web Designing 馬場静樹氏

2003~2004年ぐらいまで,Webは広告業界の中でも下に見られていた。「好きなやつがやってればよくて…お金にならなくて…」というような世界でしたが,今は「クリエイティブとしておもしろいのは,やっぱりWebだよな!」という空気になっている気がします。そういう意味でも,「2009年は何が起るんだろう?」という気持ちがすごくあります。大きなトレンドというより,それをベースとしてクリエイターさんたちがどういうものを作ってくるかということに,非常に興味があります。

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