レポート

地域Ruby会議・アンド・ナウ

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地域Ruby会議(Regional RubyKaigi)は,プログラミング言語Rubyの年に一度の大イベントである日本Ruby会議(RubyKaigi)のようなものを日本国内のいろいろな地域で開催してみようというプロジェクト。2008年8月の東京からスタートし,すでに8都市で開催されてきました。本記事ではそんな地域Ruby会議に注目し,Rubyコミュニティならではの活溌なイベント開催の現状,この活動にこめられたさまざまな思い,そして気になる今後の見通し(!?)について,プロジェクトの提案者である角谷信太郎氏による特別レポートをお届けします。

もっとRubyKaigiを!!

地域Ruby 会議(またはRegional RubyKaigi・リージョナルルビーカイギ)は,2006 年から毎年開催されている日本Ruby 会議(RubyKaigi)とは別の枠組みで,RubyKaigiのようなものを日本国内のいろんな地域で開催してみよう,というプロジェクトです。

公式サイトは,regional.rubykaigi.orgです。

地域Ruby会議プロジェクトは,RubyKaigi2008の終了後に行われたRejectKaigi2008での筆者による提案から始まりました。現在は日本Rubyの会の後援によって進められています。本記事では,地域Ruby会議の現状と今後の見通し(!?)をお伝えします。

これまでの地域Ruby会議

原稿執筆時点(2009年3月)までに,地域Ruby会議は2008年8月の東京開催を皮切りとして,札幌,大阪,福岡,仙台,松江,那須塩原,広島の8都市で開催されました。平均すると,毎月日本のどこかで地域Ruby会議が開催されている計算になります。

個別の地域Ruby会議の模様は,Rubyist Magazine(るびま)「RegionalRubyKaigiレポート」のコーナーで順次お伝えしていく予定です注1)。原稿執筆時点では,0024号で東京Ruby会議010025号で札幌Ruby会議01関西Ruby会議01のレポートが掲載されています。ここでは地域Ruby会議全体を通じた特徴を簡単に紹介します。

注1)
Rubyist Magazine。レポート記事の寄稿は開催条件の一つになっています。

「多様性は善」

地域Ruby会議それぞれの規模やスタイルは開催ごとにまちまちです。30名程度の開催(とちぎRuby会議01)もあれば,200名規模の開催(九州Ruby会議01,図1~図3もありました。現場での参加者とUstream.tvでの視聴者数がほぼ同数という開催(札幌Ruby会議01)もありました。

図1 開会挨拶をする実行委員長の永井 秀利氏(九州Ruby会議01)

図1 開会挨拶をする実行委員長の永井 秀利氏(九州Ruby会議01)

図2 会場ロビーの様子(九州Ruby会議01)

図2 会場ロビーの様子(九州Ruby会議01)

図3  開会時に挨拶させられた(!)ときに撮りました(九州Ruby会議01)

図3  開会時に挨拶させられた(!)ときに撮りました(九州Ruby会議01)

平日の夜に2時間半だけの開催(東京Ruby会議01)もあれば,2日間での開催(関西Ruby会議01)もありますし,オープンソースカンファレンス2009 Sendaiと併催させてもらった開催(仙台Ruby会議01,図4がある一方で,ホテルの会議室を利用したフォーマルな開催(広島Ruby会議01)もありました。

図4  須藤 功平氏のセッションで満員の教室(仙台Ruby会議01)

図4  須藤 功平氏のセッションで満員の教室(仙台Ruby会議01)

もちろんプログラム内容についても実にさまざまです。なかには,まつもとゆきひろ氏をはじめとしたRuby開発チームによるパネルディスカッション(松江Ruby会議01)や,「達人プログラマー」の一人として知られるAndy Huntによるビデオ講演(九州Ruby会議01)など,RubyKaigiでも実現していないようなセッションもありました。

開催ごとにまったくことなるスタイルを採用している地域Ruby会議は,悪くいえば統一感がありません。しかし,Rubyコミュニティは「多様性は善である」ことがポリシーです。ですから,これは良いことなのです。実際,筆者自身はそれぞれの開催の独自性をいつも楽しませてもらっています。

地域Ruby会議の背景

このようにRubyコミュニティに新たな多様性の可能性をもたらした地域Ruby会議プロジェクトが発足した背景はおもに2つあります。一つは,gihyo.jpのRubyKaigi・アンド・ナウですでにお伝えしたとおり,RubyKaigiでの一般公募発表枠への応募数が多過ぎることで,せっかくの発表応募を却下せざるをえなくなっている状況に対処するためです。

理由のもう一つは,Rubyコミュニティの人たちと交流できるきっかけを増やしてみたかったからです。これはイベントへの参加という面はもちろんですが,それと同等以上に,イベントの運営に関わる人が増えてほしいと思っています。

他ならぬ筆者自身が,RubyKaigiの運営に突撃したことからRubyと深く関わっていくようになり,数々の貴重な経験をすることになりました。ですから,こうしたきっかけとなる場がRubyKaigi以外にもあると,Ruby の世界がもっと豊かになるのではと思っています。

地域Ruby会議の枠組み

地域Ruby会議は,事前に連絡用メーリングリストに参加したうえで,いくつか開催に必要な条件を満たしてもらえれば開催できます注2)。開催にあたっては,日本Rubyの会から次のような支援を受けられます。

  • 公式サイトやRubyKaigi日記などのインフラの提供
  • 講演者の交通・宿泊費の補助(限度はあります:-<)
  • 開催ノウハウの提供や困りごとの相談

これまでのところ「何をもって地域Ruby会議とするか」についての明確な定義はありません。主催者が「これが地域Ruby会議だ」といえば,それが地域Ruby会議です。基本的に主催者の思いと判断に委ねています(もちろん相談には乗ります)。「私の地元でも地域Ruby会議を開催したい」と思われた方は,まずは連絡用メーリングリストに参加してみてください。

注2)
具体的に満たすべき条件やMLへの参加方法はこちらを参照。

これからの地域Ruby会議

昨年秋から続いた地域Ruby会議ラッシュは(原稿執筆時点では)一段落しており,今後の見通しは不明です:-)

個人的な思いとしては,地域Ruby会議は一過性のムーブメントとして終わることなくRubyコミュニティに定着してほしいと思っています。

そのための活動の一環として,7月に開催されるRubyKaigi2009の一般発表応募に「Regional RubyKaigi会議」というセッションを応募しました注3)。無事にこの発表が通れば,地方Ruby会議の1年間をふりかえる予定です。また,東京Ruby会議02も遠くないうちに開催したいと思っています。

みなさんとどこかの地域Ruby会議でお会いできる日を楽しみにしています。

注3)
記事掲載後に,RubyKaigi2009会期中、7月19日(日)にRegional RubyKaigiのご報告というセッションタイトルで発表することが決定しました。

著者プロフィール

角谷信太郎(かくたにしんたろう)

(株)永和システムマネジメント,サービスプロバイディング事業部所属プログラマ。「『楽しさ』がシステム開発の生産性を左右する」と信じてRubyによるアジャイル開発を現場で実践するテスト駆動開発者。目標は達人プログラマ。好きな言語はRuby。好きなメソッドはextend。著書に『アジャイルな見積りと計画づくり』(共同翻訳),『JavaからRubyへ』(翻訳),『アジャイルプラクティス』(共同監訳),『インターフェイス指向設計』(監訳)。

URLhttp://kakutani.com/

著書

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