レポート

Webサービスつくってるけど何か質問ある?―「ボケて」のゆーすけべーと「nanapi」のけんすうが答えました!(後編)

この記事を読むのに必要な時間:およそ 2 分

前編に続いて,和田裕介さん著『Webサービスのつくり方 ――「新しい」を生み出すための33のエッセイ 』の出版記念イベント「Webサービスつくってるけど何か質問ある?」の内容をレポートします。

ユーザは特定のスマフォアプリだけを交互に起動している

普段からご自身でWebサービスを作っているお二人が,どのようなサービスに関心を持っているかも興味のあるところです。注目する開発者を聞かれると,和田さんはTwilogやSEOチェキ!の作者である@roprossさんを挙げられ,的を得ていてつい使ってしまうサービスだと話していました。また,海外で注目しているサービスについては,古川さんがYeeyanという中国のサービスを挙げました。このサービスはユーザの力で著作物を中国語に翻訳しそれを原著者に売ることまでするというもので,中国でしか生まれないサービスだと評価していました。

さらにスマフォのサービスでどのようなものがヒットするかという質問もありました。興味深いことに,古川さんによれば,PCからの検索は探し物が多いのに対し,スマートフォンからの検索語は感情に関するものが多いそうです。一方和田さんは,スマートフォンが隙間時間に使われ,ユーザは何種類かのアプリを何度も順番に起動して情報を見ていることに着目。この起動のループに入れるようなサービスを作ることが大事で,⁠ボケて」もそのようなアプリとなっていると話しました。

古川健介(けんすう)さん(左)と和田裕介(ゆーすけべー)さん(右)

古川健介(けんすう)さん(左)と和田裕介(ゆーすけべー)さん(右)

その会社でしかできないことがあれば会社員でもよい

起業に興味がある参加者も多く,働き方に関する質問もありました。それぞれ独立して働いている二人ですが,もう他の企業へ入社したりすることはないのでしょうか。この質問に対してお二人は,サラリーマンとして働くことの可能性を否定することはありませんでした。和田さんはこのことを需要と供給のタイミングで決まることだと表現し,以前ある企業さんに声をかけられた時には別サービスを立ち上げたかったので断ったものの,興味の方向があえば就職することもあるかもしれないと話しました。また,古川さんは,例えばオリンピックの運営をしたければ大手企業で様々な資源や権利がないと携わることができず,組織に所属しなければできない仕事もあることを挙げました。もし,その会社でなければ絶対にできない仕事があれば入社して働きたいと,所属会社よりも目的が大事であることを述べました。

また,起業はしてみたいものの,本当にそれできちんと食べていけるのかは誰しも不安なところです。それについて,起業は現実的であるという点で二人とも答えは一致していました。第三者の資本を入れるかどうかなど,やり方によって差はあるものの,平均的にはサラリーマンの年収は超えることができるのではないかと質問者に対してアドバイスしました。

データは無料で配り,検索方法で付加価値をつける

起業してどの程度の利益を得ることができるかは,マネタイズがきちんとできるかで決まると言っても過言ではないでしょう。古川さんはマネタイズの難しさについて話し,実は一般には大変なものだと言われている受託開発の方が,特に施策を打たなくてもお金が入ってくる点では安定していてよいという考えを延べました。一方で和田さんは,近年では自分でサービスを作る場合でもマネタイズは比較的しやすくなっていると広告収入にまつわる近況を整理。1日100万ページviewを目指すことで広告収入によるマネタイズは可能で,サービスを作る側としてはこれは大変わかりやすくてよい状況ができていると説明しました。

マネタイズの今後の形として,古川さんは,データは無料にする代わりにデータをよりよく利用するためのサービスを付加価値として有料で提供するやり方が主流になるだろうと予測しました。例えば,料理のレシピは無料で手に入るものの,よりよい検索方法を実施したければ有料になるといった形式です。さらに別の切り口として,海外にあるおばあちゃんがニットを手作りで作ってくれるというサービスを例に出し,ごくありふれたものに大きな付加価値をつけて売ることの重要さを伝えました。

子供にはスポーツを教えたい

イベントもいよいよ終盤となり,未来について色々な話題が出ました。定年後何をしたいかと聞かれ,和田さんはIT系ではなくても,何かを作っていられると嬉しいと答えました。また,古川さんは,現在世界からマラリアを完全になくそうとしているビルゲイツ氏のように,何か不可能な課題に立ち向かっていたいと夢を語りました。

自分の子供を教育して同じ仕事を極めさせたいかという質問には,10年後は今の仕事の7割がなくなると言われているので無理だろうと古川さん。和田さんも,教えるならスポーツを教えたいと,子供がエンジニアの道を歩むことには否定的でした。しかしその一方で,10年後のインターネットはどうなっていると面白いと感じるかという問いに関しては,日常生活の全ての行動がネットに記録されれば面白いとか,様々な情報がホログラムのように現実世界に表示されていると面白いとか,未来のITで実現したいことが山のようにあり,将来を楽しみにしている様子をうかがい知ることができました。

「Webサービスのつくり方」はいい意味でのハッカー文化を伝える本

最後に和田さんが,⁠Webサービスのつくり方」にこめた思いについて話しました。⁠Webサービスのつくり方」では,Webサービスがどういう行程を経て作られるかということが網羅的に書かれています。また,Webサービスを作る原動力となっている「ハッカー文化」を前面に出しており,Webサービスの界隈に居る人であれば誰でも楽しくハッカー文化に触れられる内容となっています。学生や初学者に読んでもらい,Webサービス界隈について知ってもらえると嬉しいと,イベントを締めくくりました。

古川さん,和田さんと,モデレーターを務めた菅野吉郎さん(中)

古川さん,和田さんと,モデレーターを務めた菅野吉郎さん(中)

著者プロフィール

本間雅洋(ほんままさひろ)

北海道苫小牧市出身のプログラマー。好みの言語はPerlやPython,Haskell,Scala,Objective-Cなど。在学中は数学を専攻しており,今でも余暇を利用して数学を嗜む。現在はFreakOutに在籍し,自社システムの開発に力を入れている。

共訳書に「実用Git」(オライリー・ジャパン),共著書に「FFmpegで作る動画共有サイト」(毎日コミュニケーションズ)がある。

twitter:@hiratara
blog:http://d.hatena.ne.jp/hiratara/

コメント

コメントの記入