heads-up
- FreeBSD Status Reports 2009Q1
2009年5月9日
(米国時間)、 2009Q1 FreeBSD Status Reportが公開されました。報告されているプロジェクトからとくに興味深いプロジェクトを次に紹介します。 - Clang replacing GCC in the base system
FreeBSDプロジェクトではシステムビルドコンパイラとしてGCCではなくLLVM Clangを使えないか模索しており、
すでにシステムの99%がLLVM Clangでコンパイルでき、 ブート可能なカーネルを生成できることが確認されています。LLVM開発チームはFreeBSDビルドのための修正に積極的で、 すでに100をこえるバグ修正を取り組んでくれたと報告されています。 - Device mmap() Extensions
最近のGPUデバイスドライバはユーザランドとカーネルランドの双方に対してマッピングオブジェクトのより複雑な機能を要求しています。John Baldwin氏はこれら要望に答えるための3つの新機能をmmap(3)に追加するパッチを作成したと報告しています。この機能によって今のところサポートされていないamd64版におけるNVIDIAドライバが動作するようになると見られます。また、
将来的に行うX. Org DRMサポートが現在よりも行いやすくなると見られます。 この拡張は比較的すぐにHEADブランチにマージが予定されている他、
FreeBSD 8. 0に間に合うようにマージしたいと希望を述べています。7. x系へのバックポートも可能とのことです。 - Sysinfo - a set of scripts which document your system
H/
W情報を簡単に取得するためのツールsysinfo (sysutils/ sysinfo)が追加されました - VirtualBox on FreeBSD
Sun MicrosystemでVirtualBoxを開発しているAlexander Eichner氏がメーリングリストにFreeBSDで動作するようになったことを伝えてから6日後に、
VirtualBoxのportが開発されました。まだ問題が残っており実験的な導入という位置づけといえますが、 かなり早いタイミングでportが用意されたことになります。 - BSD licensed grep(1)/sort(1)
BSDライセンスで実装されたgrep(1)は必要な機能の実装が終わり、
Ports Collectionビルドで動作試験の結果を待っている状況にあります。sort(1)についてはまだいくから実装が必要なのとパフォーマンス試験を実施する必要があります。 - FreeBSD/
powerpc G5 Support、 FreeBSD/ sparc64 UltraSPARC III support
mmap(3)の拡張機能パッチが作成された点は注目に値します。これまで必要な機能が足りなかったことからNVIDIAドライバをamd64アーキテクチャで利用できないでいました。mmap(3)の拡張機能をマージしたあとで関連するほかのコードも書き換える必要がありますが、
これでamd64でNVIDIAドライバが使えるようになります。NVIDIAドライバがamd64で動作しないことは、 amd64への移行を躊躇させる原因の1つであっただけに、 今後の進捗が注目されます。 FreeBSDシステムのビルドをGCCからLLVM Clangへ置き換えるための取り組みが進められている点も注目です。LLVMの開発チームはFreeBSDをLLVM Clangで動作させることに協力的で、
今後も優れた互恵関係が構築できそうという点でも興味深いものがあります。作業的に大変なことが多いのもまた事実ですが、 ライセンス的にもLLVMの採用を求める声があり、 FreeBSD 9での実験的導入を目指して作業が進められることになると見られます。 このあたりの話題はBSDCan2009でも話題にあがったため、
簡単なまとめをgihyo. jpに、 詳細な解説を 『Software Design』 に掲載する予定です。そちらも合わせてご覧ください。 - Clang replacing GCC in the base system