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2009年6月1日≪注目≫日本語フォント関連一斉変更 - ipa-ttfontsからfont-stdへ (内容比較表あり)

heads-up

Reorganized of Japanese font ports

ports - Ports Collectionにおける日本語フォント関連portの整理が実施されました。port名称、インストール先ディレクトリ、シンボリックリンクの作成先、いくつかのフォントはインストール内容も変更されています。

  • japanese/ipa-ttfonts → japanese/font-mplus-ipa
  • japanese/ipa-ttfonts → japanese/font-ip
  • japanese/kochi-ttfonts → japanese/font-kochi
  • japanese/mplusfonts → japanese/font-mplus
  • japanese/sazanami-ttf → japanese/font-sazanami
  • japanese/shinonome → japanese/font-shinonome
  • japanese/umefont → japanese/font-ume
  • japanese/vlgothic → japanese/font-vlgothic

結論から先にまとめると、これまで「japanese/ipa-ttfonts」を使っていた場合、これをアンインストールして代わりに「japanese/font-std」「japanese/font-mplus-ipa」をインストールしてください。

表1 変更前の日本語フォント関連
portタイプ内容物
japanese/ipa-ttfonttruetype旧IPA明朝,旧IPA P明朝,旧IPAゴシック,旧IPA Pゴシック,旧IPA UIゴシック,M+2VM+IPAG-circle,M+2P+IPAG,M+2P+IPAG-circle,M+1VM+IPAG-circle,M+ 1P+IPAG,M+1P+IPAG-circle
japanese/sazanami-ttftruetypeさざなみ明朝,さざなみゴシック
japanese/kochi-ttfonttruetype東風明朝,東風ゴシック
japanese/vlgothictruetypeVL Pゴシック,VLゴシック
japanese/umefonttruetype梅フォント各種
japanese/shinonomebitmap東雲ビットマップフォント各種
japanese/mplusfontbitmapM+ BITMAP FONTS各種
表2 変更後の日本語フォント関連
portタイプ内容物
japanese/font-stdmeta port明朝(新IPA明朝),ゴシック(新IPAゴシック),Ryumin-Light(新IPA明朝),GothicBBB-Medium(新IPAゴシック)
japanese/font-ipatruetype新IPA明朝,新IPA P明朝,新IPAゴシック,新IPA Pゴシック
japanese/font-mplus-ipatruetype旧IPA UIゴシック,M+2VM+IPAG-circle,M+2P+IPAG,M+2P+IPAG-circle,M+1VM+IPAG-circle,M+ 1P+IPAG,M+1P+IPAG-circle ⁠旧IPA明朝,旧IPA P明朝,旧IPAゴシック,旧IPA Pゴシックはデータとしてはインストールされるがフォントととしては登録されない)
japanese/font-sazanamitruetype旧来と同じ
japanese/font-kochitruetype旧来と同じ
japanese/font-vlgothictruetype旧来と同じ
japanese/font-umetruetype旧来と同じ
japanese/font-shinonomebitmap旧来と同じ
japanese/font-mplusbitmap旧来と同じ
変更点:名称
portの名称がfont-*へと整理されました。
変更点:インストール先
フォントのインストール先が"/usr/local/share/フォント名/"へと整理されました。
変更点:シンボリックリンク作成先
インストールしたフォントのシンボリックリンク作成先が"/usr/local/share/fonts/フォントの種類やフォント名/"および"/usr/local/lib/X11/fonts/フォントの種類やフォント名/"へ変更されました。フォントの種類やフォント名にはOTFやTTF、micsなどが入ります。
変更点:TrueType廃止
/usr/local/share/fonts/TrueType/や/usr/local/lib/X11/fonts/TrueType/は廃止されました。代わりに/usr/local/share/fonts/OTF/、/usr/local/share/fonts/TTF/、/usr/local/lib/X11/fonts/OTF/、/usr/local/lib/X11/fonts/TTF/が使われます。これらのパスを直接指定している場合には設定の変更を実施してください。
変更点:メタport

日本語フォントを表現するメタportとしてjapanese/font-stdが導入されました。japanese/font-stdでは今のところもっとも広く使われている"明朝"、"ゴシック"、"Ryumin-Light"、"GothicBBB-Medium"の4つのフォントが定義されており、現在のところライセンスが改訂された新しいバージョンのIPAフォント(IPA明朝、IPAゴシック)へのリンクが作成されます。作成されるシンボリックリンクは次のとおりです。

  • /usr/local/share/fonts/std.ja_JP/Gothic
  • /usr/local/share/fonts/std.ja_JP/GothicBBB-Medium
  • /usr/local/share/fonts/std.ja_JP/Mincho
  • /usr/local/share/fonts/std.ja_JP/Ryumin-Light

日本語フォントを扱うアプリケーションはまずXLFDまたはfontconfigを経由してフォントファイルへアクセスすることが推奨されます。直接ファイルにアクセスする必要がある場合、フォントファイルを直接参照するのではなく、上記のstd.ja_JP/*ファイルをアクセスする方法が推奨されます。特定のフォントに依存した参照方法はフォントパスの変更を面倒なものにし、メンテナンス性を下げることにつながります。

変更点:IPAフォント

IPAフォントに関連するportは上記変更以外にも、インストールされる内容物の変更と分割がおこなわれています。単純な名前の置き換えではないので注意が必要です。

これまで日本語フォントとして使われていたjapanese/ipa-ttfontsは、ライセンスが変更される前のIPAフォントと、M+フォントを組み合わせたものとして作成されています。新しく追加されたjapanese/font-ipaは、ライセンスが変更された後の新しいIPAフォントだけが収録されています。古いIPAフォントに存在したUIゴシックはライセンス変更後のIPAフォントには含められていませんので、japanese/font-ipaものIPA UIゴシックフォントは含まれていません。

新しく追加されたjapanese/font-mplus-ipaは、従来のjapanese/ipa-ttfontsからIPA明朝、IPA P明朝、IPAゴシック、IPA Pゴシックを抜いた内容になっています。ライセンスが変更される前のIPAフォントのUIゴシックフォントもインストールされます。実際にはライセンスが変更される前のIPAフォントは一式インストールされますが、IPA明朝、IPA P明朝、IPAゴシック、IPA Pゴシックについてはフォントとして反映されるディレクトリにはリンクが作成されないため使われません。

つまりjapanese/ipa-ttfontsと、新しく追加されたjapanese/font-ipaおよびjapanese/font-mplus-ipaはただ単に分割されたというだけではなく、japanese/font-ipaの方は新しいライセンスのもとで配布されているIPAフォントに置き換わっています。

フォント整理とほかの言語のフォント
これまでフォント関連のportsにはインストール先やシンボリックリンクの作成に一貫性がないところがありました。今回主要な日本語フォントの構造を一斉に整理したことで、今後のフォントの追加や更新が従来よりも簡単にできるようになったといえます。日本語以外のフォントのportも同じ構造へ随従するかどうかは、各portのメンテナが判断することなので一概にはいえませんが、今回の整理は他のフォントportも見習う指針として優れたものといえます。

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