heads-up
2009Q4 FreeBSD Status Reportが公開されました。報告されているプロジェクトから興味深いプロジェクトを紹介します。
- Clang replacing GCC in the base system
ベースシステムのGCCをLLVM Clangに置き換えるための作業が進められています。各アーキテクチャにおける状況は次のように報告されています。
- FreeBSD/
amd64 - 起動可能カーネルの構築可能 - FreeBSD/
i386 - 起動可能カーネルの構築可能 - FreeBSD/
powerpc - Nathan Whitehorn氏の修正で大部分が動作するようになる - FreeBSD/
arm - 実験的試験段階を終了 - FreeBSD/
mips - 実験的試験段階を終了 - FreeBSD/
sparc64 - サポートするための調査段階
C++に関連してさまざまな作業が実施され、
groff(1)、 gperf(1)、 devd(1)などを服務ベースシステムのC++関連コードの多くがビルドできるようになったと報告されています。ただし、 builtinsとlibstdc++のライブラリが別の理由でビルドできない状況のままだと説明があります。 今後の作業としてPorts Collectionからビルドするサードパーティアプリケーションのビルドのテストと、
FreeBSDにLLVM/ Clangをマージすることに関する議論をすることがあげられています。 - FreeBSD/
- Flattened Device Tree for embedded FreeBSD
FDT
(Flattened Device Tree) 技術をサポートするプロジェクトの進捗状況が報告されています。FDTはハードウェアリソースの状況をファイルに記述して、 さまざまなハードウェアでの起動を実現するためのものです。似たような構成であるものの微妙に違うというARM、 AVR32、 MIPS、 PowerPCなどの搭載した組み込みプラットフォームを主な対象としています。現在の状況は次のように説明されています。 - デバイスツリーコンパイラ(dtc)とlibfdtをFreeBSDへ統合
- デバイスツリーブロッブハンドリングのフルサポート
- デバイスツリーノードやプロパティの読み込み、
走査、 追加、 削除のサポート - デバイスツリーブロッブのカーネルへの受け渡し
- ARMおよびPowerPC loader(8)のサポート
- MPC8555CDSおよびMPC8572DSのFDT変換の成功確認
FDTの取り組みはまだ9-CURRENTにはマージされていません。今後の作業としてPowerPCにおけるPCIブリッジドライバのFDTへの変換やARMサポートの追加などが挙げられています。
- FreeBSD/
mips base/
projects/ mipsブランチで進められていたFreeBSD/ mipsの成果物が9-CURRENTへマージされました。Ubiquiti RouterStation (ビッグエンディアン) およびgxemul (リトルエンディアン) での起動が確認されたと報告されています。この1年間の間に実施された作業は次のとおりです。 - Atheros AR71xxシリーズプロセッサへの移植。結果、
UbiquitiからリリースされているRouterStationおよびRouterStation PROボードが動作するとともに、 ほかのボードも若干の調整で動作するようになります。この移植作業の主な担当者はOleksandr Tymoshenko氏だと報告されています - BCM91250評価ボードにおけるSiByte BCM1250 SoCへの移植。この移植作業の主な担当者はNeel Natu氏だと報告されています
- Caviumから寄贈されたOcteonおよびOcteonプラスシリーズ
(CN3xxx and CN5xxx) への移植。まだ実験段階にあり、 現時点ではシングルコアのみ動作します - RMIから寄贈されたXLRシリーズへの移植。現時点ではシングルコアのみ動作
- ソースコードベースからmips64カーネルをビルドするための仕組みを追加。まだ作業が必要であるものの、
OCTEON1およびMALTA64に関しては64ビットモードでのビルドに成功 - N32およびN64 ABIの初期サポート
- 圧縮されたカーネルから起動する機能のサポート
- 新しいプロセッサに対するキャッシュハンドリングの改善
開発に使われていたブランチは過去に何度か誤ったアップデートが実施されているため使うことを止め、
当面の間は9-CURRENTブランチをそのまま開発ブランチとして利用すると説明があります。8-STABLEへマージできるかどうかについては現在調査段階にあるとされています。 - Atheros AR71xxシリーズプロセッサへの移植。結果、
- FreeBSD/
sparc64 残っていたPCIに関する問題が修正され、
9-CURRENT (r202023) へマージされたと報告されています。7. 3-RELEASEには同修正が取り込まれることになります。そのほかいくつかのバグが修正されています。 - FreeBSD/
ia64 ia64への移植は継続しており、
最近の作業で安定性の向上が実現したと報告されています。またia64-8向けのパッケージビルドが再び開始されたことが報告されています。 - DAHDI (Zaptel) support for FreeBSD
Asterisk SVNリポジトリにFreeBSD向けDAHDIサポートモジュールが追加されたと報告されています。移植されているドライバはDAHDIドライバ、
ソフトウェアエコーキャンセリングドライバ、 dahdi_ dynamic、 dahdi_ dynamic_ locとあります。また試験段階にあるもののwct4xxpおよびwcb4xxpドライバも移植されているようです。