FreeBSD Daily Topics

2013年1月28日ArchBSD、FreeBSDベースのArch Linuxパッケージ管理システム

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ArchBSD - Arch Linux package manager and tools for FreeBSD

FreeBSDをベースに、Arch Linuxのパッケージ管理システムを取り込んだディストリビューション「ArchBSD」のサイトが公開されました。サイトはまだ公開されたばかりで、提供されているパッケージも限られたものですが、興味深いディストリビューションです。

 ArchBSD
図 ArchBSD

ArchBSDに関する説明としては、FreeBSD Forumのこのトピックが参考になります。ArchBSDを開発した本人がArchBSDを説明しています。紹介されている内容は次のとおりです。

  • ArchBSDはユーザランド含め、プロジェクトからリリースされるFreeBSD成果物をそのまま使っている
  • FreeBSDベースシステムに対してはOpenRCを追加したのみで、それ以外の変更は加えていない。OpenRCはGPL系のアプリで使うので導入してある。OpenRCそのものはBSDライセンスのツール。このため、FreeBSD 10ではベースにインストールされるツールはBSDライセンスだけになる見通し
  • Arch Linuxで使われているパッケージ管理システムやツールはすべて/usr/local/へ導入し、ベースとは切り分けている
  • パッケージのビルドにはPorts Collectionをそのまま活用。Jail内部でビルドを実施しており、PKGBUILDを指定している

Arch Linuxとの違いという点に絞ると、次のような違いがあると説明されています。

  • パッケージマネージャにpacmanを採用
  • パッケージのビルドにはJail内のPorts Collectionを使用
  • initシステムとしてOpenRCを採用
  • ツールのインストール先を/usr/local/へ変更

FreeBSDカーネルとLinuxのユーザランドを組み合わせたディストリビューションとしてはDebian GNU/kFreeBSDが有名です。Debian GNU/kFreeBSDはFreeBSDカーネルとDebianのユーザランドを組み合わせたものですが、ArchBSDはFreeBSDカーネルとFreeBSDのユーザランドに、Arch Linuxのパッケージ管理システムを追加したものという違いがあります。ArchBSDの方が素のFreeBSDに近いといえます。ArchBSDはどちらかというとiXsystemsのPC-BSDのアプローチに近いといえます。

FreeBSDプロジェクトはデフォルトのパッケージ管理システムを従来のpkg_*(8)系のツールから、pkgngの名前で呼ばれてきた新しいパッケージ管理システムpkg(8)への移行を進めています。iXsystemsはPC-BSDのPBIを推進しており、こうした取り組みの一つとしてArchBSDが登場したことになります。ArchBSDは個人のプロジェクトだという説明がありますので、FreeBSDプロジェクトのpkg(8)やPC-BSDのPBIのように大きな流れになるようには見えませんが、ひとつの試みとして興味深いプロジェクトです。

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