Fedora Projectは11月17日(米国時間)、Fedora Linuxの最新バージョン「Fedora 12」を正式公開した。数多くの最新機能が取り込まれているFedora 12だが、最も注目すべき要素として「次世代ビデオコーデック"Ogg Theora"」「仮想化機能の改善」「NetworkManagerの向上」が挙げられる。
採用されている主なソフトウェアは以下の通り。
- Linuxカーネル 2.6.31.5
- KDE 4.3.2
- GNOME 2.28(GNOME 3.0のシェルプレビュー)
- Ext4(デフォルトファイルシステム)
- X.Org Server 1.7
- KVM(デフォルト仮想マシン)
- Empathy(デフォルトIM)
- Ogg Theora 1.1.0
- PolicyKit 1.0
- ABRT(自動バグ報告ツール)
- Dracut(新ブートシステム)
また、ネットブックでの利用を考慮し、Intel Atomプロセッサへの最適化が行われているほか、Moblinのサポートも実現している。
今回のリリースでFedoraおよびRed Hatの開発チームが最も力を入れたのが、フリーのビデオフォーマット"Theora 1.1"の採用だ。今年9月にリリースされたTheora 1.1はエンコーダの品質が大きく改善され、H.264とも互換性をもつことから、Red Hatが各方面に強く推奨してきたもの。現在、HTML5で採用されるビデオ規格に関して、H.264とTheoraが競合関係にあるが、権利関係が複雑なH.264に対し、オープンな規格のTheoraのほうがHTML5には適しているという声が大きくなってきている。TheoraはWikipedia、VideoPress、DailyMotionといったメジャーなWebサイトでの導入例が増えてきており、Fedora 12での正式採用により、さらなる普及に弾みをつけたいところだ。
Fedora 7から採用されているデファクトスタンダードのネットワーク設定ツール"NetworkManager"は、今回のバージョンアップでIPv6対応やモバイル通信環境の大幅な向上が図られている。
その他、マルチメディア環境(PulseAudioのエンハンスメント)、セキュリティ(SELinuxサンドボックス)、Webカメラサポート、対応ハードウェア、など、多くの面で改良が加えられている。
FedoraはRed Hatが公式にサポートする唯一の一般向けLinuxディストリビューション。そのため、開発方針として、最先端/最新のテクノロジを意欲的に取り込むことで知られる。この秋、数多くのLinuxディストリビューションが公開されたが、"Cutting Edge(最先端)"という意味ではFedora 12が一歩リードしているのは間違いないようだ。