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2011年4月27日Ubuntuマシンが1万台! ドイツの大規模事例はLinuxデスクトップ普及の布石となるか

以前、このコーナーで「LinuxはMicrosoftに完全勝利した」とコメントしたLinux Foudation幹部の話を紹介した。だが、そこでも触れたとおり、いくらサーバサイドやモバイルの世界でLinuxが普及していてもデスクトップの世界で使われなければ、Linuxの完全勝利は見えてこない。誕生以来20年、デスクトップの普及に苦心し続けるLinuxだが、もしかしたら大きな突破口となるかもしれない明るいニュースが飛び込んできた。

TechEYE.netなどいくつかのIT系メディアが4月25日に伝えたところによると、ドイツの大手保険会社LVM Versicherungenが英CanonicalからUbuntuマシン1万台を導入したという。うち3,000台がデスクトップPC、7,000台がノートPC、全社規模のデスクトップ環境のリプレースだ。これだけの台数のLinuxマシンが一気に大企業に導入された例はほとんど聞いたことがない。

LVMがUbuntuリプレースに踏み切った最大の理由は、同社が使用している保険のクレーム処理用アプリケーション「LAS」にあると言われている。LASはカスタムアプリケーションで、Lotus Notes、Adobe Reader、OpenOfficeスイートが使われており、どんなOS上でも動くように設計されている。そしてどうもLVMは(明言はしていないものの⁠⁠、このアプリケーションをWindows XP上で従業員に使わせていたらしい。オフィスに常勤する従業員にとっては問題ないものの、何千人もの保険外交員やエージェントが携帯するノートPCからでは、使いにくいことこの上ないシステムだったようだ。

そして今回、そのインストールベースをいっせいにUbuntuに変更するという大規模、かつ大胆なリプレースが実現した。Canonicalのビジネスデベロップメント担当バイスプレジデント Steve George氏は今回の案件について「多くの企業が、何百万ドルも費やす終わりなきライセンス料の支払いサイクルから離れ、別の方法を探し当てたいと思い始めている。今回のLVMのUbuntuへの投資は、コスト削減への大きな効果を上げることができたと信じている」と語っている。

あるソリューションがブレイクするとき、大企業による大規模導入事例は重要なファクターとなる。日本でも、Salesforce.comが日本郵政のシステムを構築したことで世間一般からも大きな関心を集め、クラウド=Salesforce.comというイメージ付けに成功した例がある。今回のLVMによるUbuntu導入事例は、もともと公共機関でのOSS採用意欲が積極的な欧州での事例ということもあり、Linuxデスクトップの普及に大きなはずみをつけるきっかけになるかもしれない。

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