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2011年4月28日AttachmateがNovellの買収を完了、OSS関連パテントはひとまず保持へ

この28年間、Novellは数多くの節目を刻んできた。そして今日、新しく、エキサイティングな節目から再びスタートする─NovellのCMOであるJohn Dragoon氏は同社のブログにこう記した。4月27日(米国時間)はNovellが上場企業としてNASDAQ市場で取引される最後の日となった。同社は今後、Attachmateグループの傘下の一プライベート企業として生まれ変わることになる。

2010年11月に発表されたAttachmateによるNovellの買収は、多くのOSS関係者に少なからぬ不安を与えた。UNIXのほか、数多くのOSS関連パテントを保持するNovellがこれらを売却してしまえば、オープンソースはSCO騒動と同じ、いやそれ以上の危機を迎えるかもしれないと誰もが疑念を抱いたのは当然だろう。

事実、Novellは882ものパテントを、4億5,000万ドルでCPTNホールディングスというグループに売却するとしていた。CPTNにはMicrosoft、Apple、EMC、Oracleなどが参加している。この取引が成立すればオープンソースは壊滅的な打撃を受けると、Free Software FoundationはじめとするOSS関係者が強く反対を唱えた。重要なパテントを得たCPTNが、OSSでビジネスをしている大小さまざまのベンダを訴える可能性が高まるからだ。

これに対してNovellおよびAttachmateは、最も重要なパテントであるUNIXに関しては、引き続き同社が保持することを早々に表明していた。長年に渡るSCOとの抗争がようやく完全終了したものの、一連の騒動の記憶はまだOSS関係者にとって生々しいものだ。現時点でUNIXに関して少しでも怪しまれる動きを見せるのは、Novellにとって経営的にも得策ではないからだろう。

そして882のパテント売却については、4月20日、米司法省(DoJ)「オープンソースエコシステムに多大な影響を与える懸念がある」として、この契約の大幅な修正を勧告している。DoJは「NovellがもつパテントはすべてGPLv2のライセンス下にある。またLinuxにはOIN(Open Invention Network)ライセンスが適用されており、CPTNがこれに先んじた権利を主張をすることはできない」と明言している。

つまり、これらのパテントがCPTNに売却されても、それをタテにOSS関係者を訴えたりすることはできないとしたのだ。またこれを受けて、MicrosoftはAttachmateから購入したパテントを、再びAttachmateに売り戻したようだ。ただし、それらのパテントを使用できる権利は保持したままだという。

なお、Linuxユーザにとっては気になるSUSE関連のビジネスは、SUSEユニットとしてドイツ・ニュルンベルクを本拠に活動が展開されることになる。

また、CEOのRon Hovsepia氏や、冒頭に引用したDragoon氏などのNovell前経営陣は全員、同社を退職する。

とりあえず、OSS関係者がひとまず安心できる形で新たなスタートを切ったNovell。世界中のLinuxユーザのためにも、今後の行く先に幸あらんことを!

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