Nokiaは6月21日、シンガポールで行われた同社の年次イベント「Nokia Conneection」において、同社初となるMeeGo搭載のスマートフォン「Nokia N9」を発表した。前面にはボタンをいっさい配置せず、すべてスワイプで操作するという独特のインターフェース。スマートフォンで大きく遅れをとったNokiaだが、はたしてこのN9が起死回生の一打となるのだろうか。
N9を特徴付けているのは、いっさいの前面ボタンを廃したワンピースタイプのユニボディデザインだ。画面ロックを外すときは、画面をダブルタップすることで行う。ディスプレイには有機ELの「AMOLED」を採用、ゆるくカーブした"ゴリラグラス"が特徴だ。サイズは3.9インチWVGA(854×480)で、AppleのiPhone 4が3.5インチなのに比べるとやや大きめ。カラーはブラック、シアン、マゼンダの3色が用意されており、ストレージ容量は16GBと32GBの2タイプ。メモリ(RAM)サイズは1024MB。
操作はタッチとスワイプですべて行える。4つまたは9つのアプリケーションを同時に開いておくことが可能で、アクティブなアプリ間をスイッチする際もスワイプで行う。
カメラは8Mピクセルのオートフォーカスで、28mmのカール・ツァイス広角レンズ、デュアルLEDフラッシュという仕様。動画はHDビデオが撮影可能。写真も動画も、撮った直後にFacebookやFlickrなどのオンラインサービスにアップロードできる。
対象ネットワークはWCDMA(850、900、1900、1700、2100MHz)とGSM/EDGE(850、900、1800、1900MHz)。
搭載OSはMeeGo 1.2(Harmattan)で、ブラウザには最新のWebkit 2テクノロジが採用されている。また、搭載されている地図システム「Nokia Maps」は3次元表示が可能な音声ガイド付きのナビゲーションシステム。85の都市の詳細な交通マップや徒歩ルートが収録されている。搭載アプリケーションはQtで開発されており、Nokiaのデザイン担当SVPであるMarko Ahtisaari氏は「N9はQtフォンでもある」と明言、アプリケーション開発者の参加を呼びかけている。
Nokiaは今年1月、同社のスマートフォン戦略としてWindows Phone 7に注力していくことを発表しているが、MeeGo搭載機に関してはコメントを控えていた。今回、満を持しての発表となったN9だが、発売時期が今年中という以外は、価格や発売地域などの詳細は明らかになっていない。日本では手にすることが難しい同機種だが、Nokiaの今後のスマートフォンビジネスを占う存在でもあるだけに、そのリリースも慎重に行われている感がある。またiOSとAndroidという強力なライバルが存在するモバイルデバイス市場で、MeeGoがどの程度シェアを獲得できるかという点でもN9の動向は興味深い。周回遅れにならないためにも、早期の販売開始のニュースを聞きたいところだ。