Linux Daily Topics

2011年8月31日 どうなるScientific Linux!? チーフアーキテクトがRed Hat移籍

この記事を読むのに必要な時間:およそ 0.5 分

Red Hat Enterprise Linux(RHEL)のクローンといえば,これまでCentOSが強い人気を誇っていた。とくにホスティング事業者やデータセンター事業者にとって,サブスクリプション料金のいらないCentOSは,激しい価格競争を勝ち抜くための重要なプラットフォームであった。

だが本稿で何度かお伝えしてきたとおり,ここにきてCentOSの開発は大幅な遅れが目立つようになった。とくにCentOS 6.0は本家のRHEL 6.0がリリースされてから8ヵ月以上も遅れての公開となり,多くのユーザをいらつかせたことは記憶に新しい。

CentOSの評判が下り坂になってきたところで,オルタナティブな存在のRHELクローンとして注目され始めたのが米フェルミ研究所と欧CERNが開発するScientific Linuxだ。6.0の開発でもたついていたCentOSを尻目に,3月にScientific Linux 6.0を,そして7月末にはアップデートバージョンであるScientific Linux 6.1を,ほぼスケジュール通りに公開している。ちなみにCentOS 6.1についてのアナウンスは今のところ聞こえてこない。

このように非常に順調に開発を続け,ユーザ層も拡大しつつあるScientific Linuxだが,先日,プロジェクトの命運を左右しかねないニュースが入ってきた。開発チームの中心人物であるTroy Dawson氏が9月2日をもってフェルミ研究所を離れ,なんとRed Hatに移籍することになったのである。当然,Scientific Linuxの開発からも離れることになる。

Farewell from Troy-Troy Dawson
URL:http://listserv.fnal.gov/scripts/wa.exe?A2=ind1108&L=scientific-linux-users&T=0&P=30820

Dawson氏は,Scientific Linuxのリードデベロッパ/チーフアーキテクトとして8年もの間プロジェクトを統括してきた。CentOSの開発体制に遅れが生じた要因として,Red Hatがクローン対策を強化していることが挙げられるが,にもかかわらずScientific Linuxが順調な開発を続けてこれたのは,Dawson氏の力に拠るところが大きい。その要の人物をよりによってRed Hatに引き抜かれてしまったのだから,今後のプロジェクト運営にも大きな支障が出ることが予想される。

Dawson氏の後に誰がチーフアーキテクトを務めるかはまだ決まっておらず,今後のプロジェクトの行く末が気になるところだ。

著者プロフィール

階戸アキラ(かいとあきら)

起きてからまず海外ニュースサイトのハシゴをしないと1日を始められない海外ニュースウォッチャー。英語は英検準一級の資格を持ち,日本人と話すより英語圏の人のほうがウマが合う。