ご存知の通り、エンタープライズLinuxとして最も普及しているRed Hat Enterprise LinuxにはOracle Linux、CentOS、Scientific LinuxなどのクローンOSが存在する。そしてたいてい、商用Linuxの意地があるのか、RHELが新バージョンをリリースしてから2週間程度でOracle Linuxもアップデートされるのが常だ。
ところが12月6日にリリースされたRHEL 6.2をめぐっては少々様子が違っていた。RHEL 6.2とほぼ同時期にCentOS-6.1が公開されたのだが、ここ1、2年、開発スピードが目立って遅れていたCentOSが6.1公開と同時に「6.2もまもなく準備が整う」と明言したのである。そしてそれは言葉だけではなく、翌12月10日には最初のISOツリーを用意し、「6.2のパッケージのうち99%はコンプリした」と開発ブログで明らかにしている。この時点でOracle Linuxはまだ準備ができていない。
一方、Oralceは12月15日、Oracle Linux 6.2のリリースを発表した。しかし15日の段階では、ダウンロードページに行っても6.1用のDVDイメージしかなく、実際に6.2が入手できるようになったのは20日になってから。この間、CentOSも6.2公開へ向けて猛ダッシュをかけており、Oracleがリリースを発表したのと同じ15日に「インストールメディアが完成、まもなくリリースできる」という報告をしている。
もしかしたら正式リリースのタイミングでCentOSがOracle Linuxを抜くのでは……と淡い期待を寄せたのだが、やはりそうはならず、15日以降、CentOS側からの情報発信はほとんど行われていない。公開直前で大きなバグが発見されたのでは? と推測する向きもあるが、現状では不明だ。とりあえずこの勝負、Oracle側に軍配が上がった形になる。
だが多少のもたつきはあるものの、CentOSがいつにない速さ - 6.1およびRHEL 6.2リリースからたったの2週間で、開発が進んだのはユーザにとっては嬉しい限りだ。願わくばクリスマスプレゼントに間に合うようにCentOS-6.2がリリースされることを祈るばかりである。
ちなみにCentOSのオルタナティブ的存在なScientific Linuxは、6.2に関しては完全に出遅れており、現在はまだAlpha 1の段階にある。
追記:
本稿執筆後、12月20日(米国東部時間)にCentOS-6.2が32/64ビットともに無事にリリースされた。ミラーサイトなどからダウンロード可能になっている。