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2013年11月8日Fedora、10歳になる

11月6日、Red Hat後援のオープンソースプロジェクト「Fedora」は誕生から10年というアニバーサリーを迎えた。現在、12月リリース予定のFedora 20(開発コード"Heisenbug")の開発が進んでいるが、プロジェクトリーダーのロビン・バージェロン(Robyn Bergeron)やRed HatのCEOであるジム・ホワイトハースト(Jim Whitehurst⁠⁠、最初のリリースとなった「Fedora Core 1」の開発責任者だったウォーレン・トガミ(Warren Togami)などがFedora10周年を祝うコメントを出している。

2003年当時、Red Hatはローエンド向けのディストリビューションであるRed Hat Linuxの開発を中止し、企業向けのRed Hat Enterprise Linuxに注力することを決めた。しかしこの決定に対するユーザの反発は大きく、多くの優秀なオープンソース開発者がRed Hatを見限ろうとしていた。Red Hatはここで大きなジレンマに悩むことになる。企業として利益を追求するためには、エンタープライズ向けにビジネスの舵を切るのは正しい判断である。しかし、企業ユースだけを見据えたビジネスを展開すれば、それまで同社を支えてきた多くのOSSユーザ/開発者の支持を失うことになるのは目に見えており、それはすなわち、最先端のLinux企業ではなくなることを意味していた。

エンタープライズとテクノロジとしての先進性、Red Hatはそのどちらも失わないために、Fedoraコミュニティの支援を決めた。Red Hatは現在、オープンソース企業としては唯一、年間収益が10億ドルを超えており、現在もその規模を拡大しているが、10年前にFedoraを置いたことが結果的には良い方に転んだと言っていいだろう。

FedoraとRed Hatの関係は、オープンソースと企業の理想的な関係として位置づけられることが多い。Fedoraプロジェクトにはロビン・バージェロンをはじめとする数多くのRed Hat社員が参加しているが、彼らは業務としてFedoraの開発に注力することができる。このRed Hatのスタイルは多くのスタートアップが踏襲しており、MongoDBやEucalyptusなどはその典型といえるだろう。

逆に企業のバックアップを得られないオープンソース開発は年々状況が厳しくなってきており、先日も初心者フレンドリーなLinuxとして人気があった「SolusOS」の開発中止という残念なニュースがあった。

10年という長い歳月に渡ってFedoraプロジェクトを存続させてきた多くの関係者に敬意を表明するとともに、12月のFedora 20のつつがなきリリースを心待ちにしたい。Happy Birthday Fedora!

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