「Linuxカーネルを4.0.2にアップグレードしたらいくつかのシェアードライブラリやディレクトリが壊れて起動しなくなったんだけど」
─こんな投稿がArch Linuxユーザのメーリングリストに投稿されたのは5月14日のことだった。
- [SOLVED] RAID0 data corruption caused by upgrade to linux-4.0.2
このユーザは2台のSSDでRAID 0を組んでおり、Windowsとのデュアルブートにしているという。Linuxのファイルシステムはext4で、「4.0.2にしたらext4パーティションがおかしくなった。NTFS(Windows側)はなんともないのでハードウェアの問題ではない。これ、Linuxカーネルのバグじゃないの?」と疑問を投げかけている。
同じような現象が発生しているユーザはほかにもいたようで、ArchだけでなくDebianやFedoraなどでも報告されている。5月21日時点での最新LinuxカーネルはLinux 4.0.4だが、このバグに対するパッチはまだ当たっていないという。
ext4によるファイルの破壊や書き込みできないといったトラブルはLinux 3系でもよく報告されてきた経緯があり、LTS(長期サポート)として現在もメンテナンスが続けられているLinux 3.10やLinux 3.14ではこうしたext4がらみのパッチ当てが地味に行われている。おそらく次のポイントリリースであるLinux 4.0.5では今回の問題(ext4によるファイル破壊がRAIDを組むと発現しやすい)への対策が取られるはずだ。
この話題が出てから1週間経つが、最新バージョンのバグの疑いが強いにもかかわらず、さしてクリティカルな話題として扱われることはなかった。ext4でRAID 0を組むというケースがあまり見られなくなっていることに加え、ここ最近は分散システム上ではBtrfsをメインに利用しているユーザが多く、「Btrfsにはext4のバグは関係ない」と無関心を装う風潮がとくにネット上では強かったのだ。さらに次のLinux 4.1ではBtrfsの大幅な改善が期待されており、20テラバイトを超える容量を扱う場合でも高速な処理を発揮できるという。当然、RAID構成のパフォーマンスも大きく向上するとみられる。クラウド&ビッグデータ時代のファイルシステム、主流は確実に移りつつある。