10月25日(米国時間)、SUSEはARM主催の年次カンファレンス「ARM TechCon」において、「SUSE Linux Enterprise Server(SLES)」で64ビットARMアーキテクチャ(ARMv8-A)をサポートすることを発表した。サポートの開始は2016年末の予定で、SLES 12のコードに含まれることになる。AMD、Applied Micro、Cavium、NXP、XilinxなどのSoC(Software-on-Chip)がサポートされる予定だ。
SUSEは2015年からARMとのパートナープログラムを開始しており、「イノベーターとしてだけでなく、イノベーションを支持する立場として、ARMアーキテクチャをサポートしていく」と宣言、64ビットARM市場の拡大を推進する立場を取ってきたが、今回のSLESでのサポートにより、エンタープライズ市場でもそのアプローチを強化していくことになる。
SUSEが「ARM TechCon」に合わせて“SLES for ARM 64”発表した背景には、エンタープライズ分野で競合するRed Hatへの牽制がある。日本市場では存在感を出せていないものの、米国や欧州ではSLESとRHELが競合するケースも多い。RHELに先んじることで、SUSEが“エンタープライズグレードなARMサポートを実現した最初のLinuxディストリビューション”の称号を獲得し、RHELよりも先進性にすぐれているイメージを強調する目的があったと見られる。なお、RHEL for ARMは現時点ではまだテクノロジプレビューの段階だ。
スマートフォンなどモバイルデバイスとともに進化してきたARMは、パフォーマンスよりも省電力にすぐれているアーキテクチャであり、その特性がエンタープライズ市場でも求められるケースが着実に増えている。64ビットARMのエンタープライズアダプションが今後、拡大していくことは確実で、そうした意味でも今回のSUSE for ARMの発表はSUSEにとって大きな追い風となる可能性は高い。