Linus Torvaldsは2月19日(米国時間)、Linux 4.10を正式公開した。Linusの出張のため、当初の予定より1週間後ろにずらしたリリースとなったが、Linuxは「エクストラウィークのおかげですべてコトがうまく運んだ」と報告している。
- Linux 4.10 :Linus Torvalds
Linux 4.10の最大のアップデートポイントとしては、Intelが発表したGPU完全仮想化(full GPU virtualization)技術の1つである「Intel GVT-g for KVM(KVMGT)」のサポートが挙げられる。これは「mediated pass-through」という技術を採用することで、各VMからのアクセスのうち、パフォーマンスクリティカルなリソースへのアクセスはダイレクトにアサインし、それ以外はハイパーバイザ上に実装された「Mediated Device」上で命令を実行する。これにより、複数のVMがGPUにアクセスする際にパフォーマンスを落とすことなく、各VM間でGPUを共有することが可能になる。
このほかにもNUMA上のキャッシュラインコネクション(c2c: cash-to-casch)を追跡/解析する新ツール「perf c2c」、DRMドライバ「Nouveau」の改善、Nexus 5/6などのARMデバイスのサポート改善、MD5サブシステムでのraid5ライトバックキャッシュ(writeback cash)の実装などが挙げられる。
当初、前バージョンのLinux 4.9が数多くの変更点を含む大きなバージョンとなったため、Linux 4.10は比較的小規模なリリースに収まると見られていたが、結果としては「平均的なモダンカーネルのリリース」(Linus)らしく、約1万3,000ものコミットが生じるほどのサイズになったという。
Linusは翌2月20日(米国時間)には次のバージョンとなるLinux 4.11のマージウィンドウをオープンしている。