MongoDBは10月19日(米国時間)、NASDAQ証券市場における株式上場(IPO)を発表した。シンボル名は「MDB」で、初日の売り出し価格は1株あたり24ドル×800万株。上場前の売り出し予想レンジは20~22ドルだったが、期待値を上回る価格でスタート、19日の終値は32.07ドルで、最高値は33ドル。結果、約34%増となる順調な滑り出しで、オープンソース企業のIPOとしては久しぶりの大成功だといえる。
- MongoDB, Inc. Announces Pricing of Initial Public Offering | MongoDB
MongoDBは10年前の2007年10月19日に「10gen」という社名で創業、翌日からMongoDBの最初のソースコードをGitHubリポジトリとしてApache Licenseの下で公開し、以後、オープンソースのNoSQLデータベース企業として展開してきた。2010年ごろから始まったビッグデータのブームもあり、NoSQLへの注目度が高まるにしたがってMongoDBを採用する企業も増えることになる。創業から10年後の同じ日にIPOを果たしたことについて、MongoDB共同創業者のEliot Horowitzはブログで「Dwight(Dwigth Merriman、MongoDBの共同創業者で現チェアマン)と自分がMongoDBというプロジェクトを始めた10年前、自分たちが今日立っている場所をとても想像できなかった」と振り返っている。
- A Founder's Reflections on 10 Years of MongoDB | MongoDB
MongoDBの2016年度の売上は約1億ドルで、前年度の約6530万ドルから大幅に伸ばしているが、その一方で損益は8670万ドルを計上しており、いわゆる"増収減益"状態が続いている。初日の株価が予想を上回ったことについてMongoDBのCEOであるDev Ittycheriaは「今日のMongoDBではなく、将来のMongoDBに期待してもらった結果だと思っている。ほとんどのアプリケーションはいまだに1970年代に設計されたデータベーステクノロジの上で動いており、人々はあたらしい、モダンなプラットフォームを求めている。その期待を我々は感じている」とコメントしており、MongoDBの将来性に自信を見せている。
2、3年前はNoSQLに対して「RDBに較べて信頼性で劣る」と言われることが多かったが、ここ最近はNoSQL、とくにMongoDBのようなドキュメント指向データベースへの再評価が高まっており、データレイクを構築する最初のデータ格納場所としてMongoDBが使われるケースも多い。市場の高い期待を受けて上場を果たしたMongoDB、創業からちょうど10周年のアニバーサリーの日に、最高の新章スタートを切ったといえそうだ。