Microsoftは4月16日(米国時間)、米サンフランシスコで開催中のセキュリティカンファレンス「RSA 2018」において、セキュリティにフォーカスしたクラウドベースのIoTプラットフォーム「Azure Sphere」のコンセプトを発表した。名前の通り、Microsoftが提供するパブリッククラウド「Microsoft Azure」上で構築されるIoTプラットフォームだが、そのコアとなるOSにWindowsではなく、同社が独自開発したLinux OS「Azure Sphere OS」が搭載されていることが話題を呼んでいる。
- Introducing Microsoft Azure Sphere: Secure and power the intelligent edge | Blog | Microdsoft Azure
- Azure Sphere - a solution for creating highly-secured, connected MCU powered devices | Microsoft
Azure Sphereは以下の3つのコンポーネントから構成される。
- Azure Sphere certified microcontrollers(MCU)
- リアルタイムプロセッサとアプリケーションプロセッサの両方を配置し、Microsoftのセキュリティ技術を組み込んだシリコンチップ
- Azure Sphere OS
- LinuxカーネルをベースにカスタマイズしたIoTコネクティビティに特化したOS
- Azure Sphere Security Service
- 接続されたIoTデバイス(Azure Sphereデバイス)に対し、Azure経由で認証や脅威の検知、セキュリティアップデートなどを提供するサービス
通常、MCUにはリアルタイムOS(RTOS)が実装されることが多いが、Azure Sphere OSはそれらとは異なり、「セキュリティモニタ」「カスタムLinuxカーネル」「オンチップのコネクティビティサービス」「コンピュートおよびリアルタイムI/O用のアプリケーションコンテナ」という4つのレイヤで構成された独自開発のOSがMCU上に搭載されている。「世界中で毎年90億を超えるIoTデバイスがビルド&デプロイされている」(Microsoft Azure Sphere担当マネージングディレクター Galen Hunt)という現状において、デバイス間、あるいはデバイス-クラウド間のセキュリティを担保するためのコアOSとして、MicrosoftがWindowsではなくLinuxを選んだことは、同社のオープンソースビジネスが拡大しているとはいえ、やはり時代の変化を感じさせる。
Azure Sphereは今後、2018年中に最初のMCUとして「MediaTek MT3620」をリリース、順調に行けば2019年にはAzure Sphere仕様のIoTプラットフォームが現実に構築されることになる。なお、MicrosoftはAzure Sphereのエコシステムを拡大する方針を打ち出しており、パートナーとなるチップベンダにはロイヤリティフリーでシリコンセキュリティテクノロジをライセンス提供するとしている。また、IoT開発者向けのSDKは2018年中にリリースする予定だという。