Linus Torvaldsは6月3日(米国時間)、Linuxカーネル開発者向けメーリングリスト「LKML.org」において「Linux 4.17」の正式リリースを発表した。7本のリリース候補(RC)版と約2ヵ月の開発期間を経たリリースで、サポートするハードウェアアーキテクチャの入れ替えが目立つバージョンとなっている。
- Linux 4.17 - Linus Torvalds - LKML
Linux 4.17における主なアップデートは以下の通り。
- ARMアーキテクチャのSCMI(System Control and Management Interface)サポート
- AMDGPUドライバでDC(Display Code)サポートをデフォルトに
- RISCライクなCPUアーキテクチャ「Andes NDS32」の追加
- 64ビットPowerPCアーキテクチャがメモリ4ペタバイトまでアドレス可能に
- 年内リリース予定の「AMD Radeon Vega 12 GPU」サポート
- 車載向けSoC「NVIDIA Tegra Xavier」サポート
- Intelの不正コピー防止技術「HDCP(High-Bandwidth Digital Content Protection)」サポート
- 最大32GBメモリの「Intel Cannon Lake」プロセッササポート
新アーキテクチャのサポートが増えたのと同時に、Blackfin、CRIS、MN10300などのサポートが除かれている。
なお、LinusはLinux 4.17のアナウンスと合わせて、以前にコメントした「Linux 5.0」について改めて言及、3つ後のバージョンとなる「Linux 4.20」あたりで5系に切り替える可能性を示している。このまま順調に開発が進めば、Linux 4.20は2018年11月から12月ごろのリリースとなる予定で、「そう遠くない将来のうちに」(Linus)、Linux 5.0のアナウンスを聞けるのは確かなようだ。
LinusはLinux 4.17のリリースとともにLinux 4.18のマージウィンドウをオープン、プルリクエストの受付を開始している。6月22日には東京・有明で開催される「Open Source Summit Japan」に登壇予定のLinusだが、ほぼ同じタイミングでLinux 4.18の最初のRC版が公開される予定だ。