Greg Kroah-Hartmanは10月22日、Linux 4.19の正式リリースをカーネル開発者向けメーリングリスト「LKML.org」においてアナウンスした。LinuxファウンダーのLinus Torvalds以外のメンテナーが新バージョンのカーネルをリリースするのはLinux 4.19が初めてとなる。
- Linux 4.19 -Greg KH
Linux 4.19のおもな特徴は以下の通り。
- コンシューマデバイスのバッファブロートを解消し、ユーザのネットワークエクスペリエンスを高める「CAKE(Common Applications Kept Enhanced)」
- 次世代Wi-Fi規格「Wi-Fi 6(802.11ax)」の事前サポート
- 新しい非同期I/Oポーリングインタフェース「IOCB_CMD_POLL」の追加
- Overlayfsのメモリ管理機能の改善
- ライトウェイト&リードオンリーな新ファイルシステム「EROFS(Enhanced Read-Only File System)」
- なりすまし攻撃を防ぐため、/tmpなどスティッキービット設定のディレクトリ内のファイルやFIFOをオープンできる権限をファイルオーナーに限定(O_CREATフラグの制限を強化)
- Intel CPUのキャッシュ空間をアプリケーションに割り当てて疑似的に"ロック"する「Cache Pseudo-Locking」機能をサポート
Linusの"休養"やカーネル開発コミュニティにおけるCode of Conductなど、カーネルのアップデート内容とは別のところで大きな話題となったLinux 4.19だが、GKHはアナウンスメールにおいて「我々みんながシェアしているゴールの鍵はここにある。それは我々みんなが、自分たちが作りうる最高のカーネルを作りたいと願っていることだ(And that goal we all share is the key here. We _ALL_ want to create the best kernel that we possibly can.)」など、コミュニティ全員で協力し合うことの重要性を繰り返し訴えた。そして最後にLinusに向けて「カーネルツリーを君に返すよ。マージウィンドウに触れる喜びをどうぞ(And with that, Linus, I'm handing the kernel tree back to you. You can have the joy of dealing with the merge window :))」と結んでいる。長かったLinusの休養もそろそろ終わりを迎えそうだ。