Fedoraプロジェクトは5月12日、2020年秋にリリース予定の「Fedora 33」において、systemdに含まれるDNSリゾルバ「systemd-resolved」をデフォルトにすることを明らかにした。
- Changes/systemd-resolved -Fedora Project Wiki
この変更により、DNSリゾルバの設定ファイル「/etc/resolve.conf」はsystemdの下で管理され、「/run/systemd/resolve/stub-resolv.conf」にシンボリックリンクが張られることになる。また、glibcは名前解決のために/etc/resolve.confを見る必要がなくなり、かわりにnss-resolve経由でsystemd-resolvedとダイレクトにやり取りを行うため、nss-dnsを利用するよりも大幅にパフォーマンスが向上するとされている。ただし一般的なアプリケーション(glibcをバイパスするアプリケーション)の場合は、従来通り/etc/resolve.confを参照した名前解決を行う。
一方で、systemd-resolvedがサポートするDNSSEC(DNS Security Extensions)に関しては互換性に問題が多いことから、Fedoraにおいてはデフォルトで無効に設定する意向だとしている。
systemd-resolvedはUbuntuなど多くのLinuxディストリビューションですでにデフォルトとなっているが、Fedoraの場合は現状の初期設定では無効となっており、第1段階としてこのプリセットを変更するとこから始めるという。
2016年10月にリリースされた「Ubuntu 16.10」からsystemd-resolvedを採用しているUbuntuから3年以上遅れての対応となるが、Fedoraプロジェクトは「Ubuntuは現在もnss-resolveではなくnss-dnsを使っており、したがってUbuntuでglibcを実行する際にはいまも/etc/resolve.confを読み込まなくてはならず、むだなステップは踏んでいる」とコメントしている。だが「systemdアップストリームが提供する標準的なサービスに準拠することはLinuxエコシステムの拡大に大きな利益をもたらす。FedoraがUbuntuに3年以上もの遅れをとっており、すでにこの分野(DNSリゾルバ)のリーダーでないことは悲しいが事実だ」として、今後はsystemdが提供するサービスに準拠し、より標準化を進めていく方針を示している。