Flatpak開発者のAlexander Larsson(Red Hat)は1月14日、「Flatpak 1.10」のリリースを発表した。開発版の「Flatpak 1.9.2」でサポート済みの新しいリポジトリフォーマットがサポートされ、FlathubなどのFlatpakリポジトリにおけるスピーディな差分アップデートが実現する。
- Release 1.10.0 /flatpak -GitHub
FlatpakはOSTreeを使ってデータの配布/デプロイを行っているため、FlathubなどのFlatpakリポジトリはOSTreeのリポジトリそのものとなる。OSTreeのコアはサマリファイル(summary file)と呼ばれるリポジトリの内容が記述されたメタデータ的なファイルで、リポジトリの内容に変更があればサマリファイルもアップデートされる。
Flatpakアプリケーションはインストール時にこのサマリファイルを必要とするが、これまではリポジトリに変更が生じるたびにローカルファイルもアップデートしなければならず、ダウンロードデータの肥大化や更新スピードの低下が懸念されていた。そこでLarssonらFlatpak開発者はサマリファイルをCPUアーキテクチャごとに分離し、さらにデルタ(差分)ベースのアップデートが可能になるようにリポジトリフォーマットを改善している。これを実装した開発版のFlatpak 1.9.2が2020年11月にリリースされ、代表的なFlatpakリポジトリであるFlathubにも適用されてきたが、これらの成果を反映した安定版リリースとして今回のFlatpak 1.10に至っている。
- Scaling Flathub 100x -Alexander Larsson
Larssonによれば、オリジナルのサイズが6.6Mバイトのサマリファイルの場合、x86_64版だけのサイズは2.7Mバイトとなり、さらにデルタベースのアップデートであれば20Kバイト、オリジナルの1/100以下の通信量で済むという。Flathub上のアプリケーションは2021年1月14日時点で1000を越えており、Flatpakエコシステムのよりいっそうの拡大を図る上でも重要なアップデートだといえる。