この記事を読むのに必要な時間:およそ 3 分
10.10のAlpha2
Ubuntu 10.10 “Maverick Meerkat”のAlpha2のリリースのための準備が行われ,間もなくリリースとなっています。Alpha2は日常的な用途やテストに推奨されるバージョンではなく,基本的には開発者向けのリリースです。なんらかの重要なアプリケーションがある等,特異な事情がなければアップグレードする必要はないでしょう。
Alpha段階で進捗を評価することは困難ですが,少なくともAlpha2段階のマイルストーン上,大きな開発上の問題は見られません。例年のリリースと異なり,Ubuntu 10.10は「10月末」ではなく,10月10日にリリースされます。平時よりも20日程度開発にかけられる時間が短くなるため,開発の進度が非常に重要になります(注1)。Alpha1・Alpha2のリリースが無事に進行していることは,良い兆しと言えるでしょう(注2)。
Ubuntu 10.07 for Smartbook
Ubuntuのリリースは通常4月と10月(6ヶ月おき)に行われ,バージョン番号の小数点以下には「リリースされた月」が入り,「X.04」もしくは「X.10」となるのが基本です。しかし,「ARM搭載Netbook」(Smartbook)向けに,「10.07」という特別バージョンがリリースされる可能性が出てきました(注3)。
現時点では不確定な情報が多いため,筆者は明確なことをお伝えできる状態にありませんが,ARM搭載デバイスについてなんらかの期待;) ができそうです。
Hundred Paper Cuts for Maverick
最近のUbuntuリリースでは,「Hundred Paper Cuts」(注4)と題して,「すぐに直せる」「ユーザーの使い勝手を損ねる」バグを100個(ぐらい)修正する,というプロジェクトが行われています。9.10・10.04と続いたこのプロジェクトは,10.10のリリースでも同様に行われる予定で,すでに約100個のバグが登録され,対応が始められています。今回の対象は次の通りです。
- Nautilus
- Evolution, gedit, OOo.org
- Empathy, Gwibber
- その他いろいろ
- Shotwell(F-Spotの代わりとなる予定の写真管理ソフトウェア)
- Rhythmbox, Totem, Pitiviその他
- GTK, NotifyOSD, 各種ダイアログ
- その他いろいろ(二度目)
- Software Center(そのもの)
- Software Center(でインストールできるもの)
具体的なバグの内容については,次回以降順次お伝えする予定です。
Ubuntu Developer Week & Ubuntu User Days
Ubuntuコミュニティのお祭り,Developer WeekとUser Daysの時期になりました。いずれも主な対象は一般的なユーザーで,Developer Weekは「開発に関わろうと思っている人が,既存の開発者に質問をする」ための,User Daysは「Ubuntuを使い初めて間もない人が,色々なノウハウを尋ねる」場所です。
いずれもIRC上,かつ英語と若干の障壁はありますが,開発に興味がある方やUbuntuの使いこなしに困っている方は,ぜひ覗いてみてください。
- Ubuntu Developer Week
- Ubuntu User Days
Full Circle Magazine #38
Ubuntuに関する記事を集めた月刊のWebマガジン,Full Circle Magazineの38号がリリースされました。主な内容は次の通りです。
- コマンド操作のすすめ。今回はdiffのとり方・パッチの作り方を学びます。
- Pythonプログラミング入門。前回に続き,XMLファイルの取り扱いを学びます。
- HowTo: 仮想化入門。VirtualBoxの使い紹介です。
- HowTo: ScribeFireによるblogへの記事投稿方法など。
- Ubuntu 10.04のレビュー。
- などなど。
Ubuntu Weekly Newsletter #199
Ubuntu Weekly Newsletter #199がリリースされています。
その他のニュース
- GIMP 2.6.9を10.04で利用する方法。
- vmbuilderを用いて,「Ubuntu ServerがインストールされたHDDイメージ」を作成する方法。一般的なP2V(Physical to Virtual)とは逆に,V2P(Virtual to Physical)を行ないます。
今週のセキュリティアップデート
- usn-927-4:nssのセキュリティアップデート
- Ubuntu 8.04用のアップデータがリリースされています。CVE-2009-3555を修正します。
- CVE-2009-3555は,TLS・SSLv3のプロトコル上に存在する脆弱性です。秘匿された通信時にrenegoが行われた場合,中間者攻撃により平文の挿入を許します。
- 対処方法:アップデータを適用の上,セッションを再スタート(一般的にはログアウトして再ログイン)してください。
- usn-927-5:nsprのアップデート
- Ubuntu 8.04用のアップデータがリリースされています。usn-927-4で更新されたnssとバージョンを合わせるためのアップデートです。
- 詳細はLP#599920を参照してください。
- 対処方法:アップデータを適用の上,nsprを利用しているアプリケーション(Firefox等)を再起動してください。一般的にはセッションを再スタート(一般的にはログアウトして再ログイン)するのが確実です。
- usn-930-1:Firefox・xulrunnnerのセキュリティアップデート
- Ubuntu 8.04 LTS・10.04 LTS用のアップデータがリリースされています。Firefox 3.6.6に相当するアップデートです。
- 修正されたセキュリティ問題については,mozilla-japan.orgのリリースノートを参照してください。
- 備考:Firefox 3.0.x系のサポート終了に伴い,8.04のFirefoxは3.0.xから3.6.6へ更新されます。9.04・9.10用のFirefox 3.6.6相当アップデータは,Firefox 3.0=>3.6系の移行に伴う問題の洗い出しが完了した時点でリリースされる予定です。
- 対処方法:アップデータを適用した上で,Firefoxと,Xulrunnerを利用している全てのアプリケーションを再起動してください。
- Firefox 3.6.6へのアップデートにおいて,Ubuntu 8.04では次の点に注意してください。
- Fireofx 3.6ではSun Java Plugin 5系は動作しません。icedtea-java7-pluginもしくはsun-java6-pluginを利用してください。
- アップデート後,ユーザーが個別に導入した各種拡張のうち,Firefox3.6系に対応していないものが機能しなくなる可能性があります。また,3.6系に対応している拡張については,アップデートするか確認されます。
- 8.04環境でFirefox 3.6系を使い始めると,Ubuntu 8.10へアップグレードするとブラウザ環境が破綻する可能性があります。Ubuntu 8.10はすでにサポートを終了しているバージョンですので,基本的には10.04へLTS Upgradeを行うか,あるいは8.10から即座に9.04へアップグレードしてください。
- 3.6系列では,今のところGNOMEの設定画面からフォント表示の設定を変更することができません。LP#559149を参照してください。この問題は将来的なアップデートで解決される予定です。
- helix-playerがFirefox 3.6ではサポートされません。この問題は将来的なアップデートで解決される予定です。
- totemのプラグインとしてRealAudioを利用することができません。RealAudioを利用したい場合,コミュニティによってサポートされる(universeの)パッケージを利用してください。
- xine-plugin・gxinepluginが機能しません。これらはアンインストールが推奨です。
- Epiphanyを利用している場合,外部アプリケーション(例:Totem)が呼び出された際,自動的に終了しなくなります。LP#599796を参照してください。この問題はUbuntu上のFirefox 3.6環境に普遍的なものではなく,8.04 LTSに限定された問題です。この問題は将来的なアップデートで解決される予定です。
- usn-930-2:apturl, Epiphany, gecko-sharp, gnome-python-extras, liferea, rhythmbox, totem, ubufox, yelpのアップデート
- Ubuntu 8.04において,Fireofx 3.6系/Xulrunner 1.9.2への更新に伴って行われるアップデートです。
- 備考:これらのアプリケーションではXulrunnerをなんらかの形で利用している・あるいは関与しているため,Firefox 3.6系への更新時に同時に更新する必要があります。
- 対処方法:アップデータを適用した上で,これらのアプリケーションを再起動してください。