Ubuntu Weekly Topics

2011年8月19日号OneiricのFeature Freeze・新しいUnityとログイン画面・ia32-libsの削除

OneiricのFeature Freeze

8月11日にOneiricのFeature Freezeが行われ、⁠建前上)⁠新機能」の投入が終了しました。これで開発フェーズは終了となり、以降はリリースエンジニアリングとして、完成度の向上・機能のブラッシュアップ・バグフィックスを中心とした作業となります。

例年の動向から、Feature Freezeからベータリリース前後までの期間に「次」⁠Oの次なので「Pで始まるなにか⁠⁠)のコードネームが公表されるはずです。名実ともに、11.10は開発版から「リリースを控えた新バージョン」へと姿を変えていきます。

とはいえ、Feature Freeze Exception(FFe)と呼ばれるレビューを受ければまだまだ新機能の追加投入は可能ですし、Ubuntuの開発ではベータ以降に大きな変更が入ることもしばしばです。Ubuntu 11.10の姿がきちんと見えてくるには、まだ時間がかかるでしょう。

ただし、すでにリリースまでは2ヶ月を切っていますから、Ubuntu環境で動作するソフトウェア・ハードウェアでビジネスを行っている場合はテスト開始のデッドラインとなります[1]⁠。具体的なテストを行えていない場合は、今すぐQA計画を立てるべきでしょう[2]⁠。

Oneiric版Unityのデザインと新しいログイン画面

Oneiricに投入されたUnityが新しいデザインになり、徐々に「11.10」としての姿になりつつあります。Mark Shuttleworthのblogに掲載されているものは現在のOneiricよりもさらに新しいものですが、リリースまでにはこの画面が実際にデスクトップ上で動くようになるでしょう。Unityの開発は現在も続いており、開発の協力者の募集が続いています。興味のある方は参加してみてください。

また、ログイン画面についても、LightDMをベースに構成された新しいログイン画面(Unity Greeter)に切り替わりました。この2週間ほどで、⁠見た目」の面では大幅な変化があったと言えるでしょう。

図1 現在のOneiric版Unity。これまでに比べて明るい配色になったこと、⁠背景」のぼかしがより鮮明になったことなど、見栄えが大きく向上している。
図1 現在のOneiric版Unity。これまでに比べて明るい配色になったこと、「背景」のぼかしがより鮮明になったことなど、見栄えが大きく向上している。

ia32-libsの削除

現在のCPUの多くはAMD64互換の64bit動作モードを備えており、⁠x64」⁠x86_64」などという名称で各OSがサポートを提供しています。Ubuntuも例外ではなく、x64環境をサポート(Desktop⁠⁠、あるいは標準(Server)としています[3]⁠。

AMD64互換の64bitCPUは、64bitモードを基本としつつ32bit命令を受け取る、という動作が可能なため、32bitのソフトウェア資産をバイナリのまま転用することができます。しかし、OSとしては32bit動作用のライブラリを準備しておく等、互換モードのための備えをしておく必要があります。これまでのDebian・Ubuntu環境では、ia32-libsがその役を担っていました。

これは普遍的な仕組みではなく、近い将来訪れるであろうARMの64bit化[4]や各種CPUの混在利用などを考慮した、より新しい仕組みが必要となっており、Debian・Ubuntu共通のプロジェクトとしてMultiarchと通称される対応作業が開始されています。

Oneiricでは、Nattyで導入されたMultiarchサポートのための基本フレームワークを利用し、ia32-libsの撤廃と、それに伴うパッケージングの調整が行われます。これに伴い、各種パッケージの調整、ビルドスクリプトやMakefileの修正など多岐に渡る作業が予定されています。

ユーザーとして覚えておくべきことは、⁠ia32-libsはもう要らないので、削除される予定である」ことと「Oneiricを新規に導入した場合、自動的にMultiarchを利用した構成になるが、もし8月15日までにインストールorアップグレードしていて、かつ開発を行う場合は自分で設定を変更する必要がある」の2点です。Oneiricのamd64環境をテストしている場合はこれまで想定されていなかった不具合に遭遇する可能性もありますので、注意しておいてください。

UWN#228

Ubuntu Weekly Newsletter #228がリリースされています。

その他のニュース

今週のセキュリティアップデート

usn-1190-1:DHCPのセキュリティアップデート
  • https://lists.ubuntu.com/archives/ubuntu-security-announce/2011-August/001393.html
  • 現在サポートされている全てのUbuntu(11.04・10.10・10.04 LTS・8.04 LTS)用のアップデータがリリースされています。CVE-2011-2748, CVE-2011-2749を修正します。
  • 悪意ある加工を施したパケットを送出することで、DHCPdを任意にクラッシュさせることが可能です。
  • 対処方法:通常の場合、アップデータを適用することで問題を解決できます。
usn-1191-1:libXfontのセキュリティアップデート
  • https://lists.ubuntu.com/archives/ubuntu-security-announce/2011-August/001394.html
  • Ubuntu 11.04・10.10・10.04 LTS用のアップデータがリリースされています。CVE-2011-2895を修正します。
  • libXfontが利用する圧縮/展開ルーチンの問題により、フォントファイルの展開時に任意のコードが実行されるおそれがありました。
  • 対処方法:アップデータを適用の上、システムを再起動してください。
usn-1192-1:Firefoxのセキュリティアップデート

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