Ubuntu Weekly Topics

2011年9月23日号Ubuntu 11.10のBeta2・“Orchestra”デモ・Ubuntu One for Windows Beta2・UWN#233

Ubuntu 11.10のBeta 2とKernel Freeze

Oneiric(11.10)「最後のベータ」にあたるBeta2がリリース準備のためのフリーズに入っています。Beta2候補版はすでにミラーサーバーに配布され、Goを待つのみ、という状態になっていますので、9月23~24日(日本時間)のどこかでリリースされるでしょう。

編注
Beta2が無事リリースされています(23日15時追記⁠⁠。

11.10リリース版までの日程もあと20日を切り、開発作業は最終段階に入っています。また、翻訳を含めた作業の〆切りも近づいています。

また、カーネルバージョンの確定(3.1ではなく3.0になりました⁠⁠、カーネルコンフィグの確定が行われ、カーネルは「リリース版」に達しています。きわめて大きなバグがなければ、このカーネルがリリースCDに含まれることになります。

11.10をまだ評価していない場合、リリース前にバグを潰す最後のチャンスでもあります[1]⁠。ただし、やや大きめの問題は起きているので、現状でも「本番」環境は別に準備し、テスト用マシンや仮想環境での利用をお勧めします。

Ubuntu Friendly/Ubuntu Server Guideのテスト/レビュー要請

Ubuntu 11.10で広く実施される予定の「Ubuntu Friendly」⁠ユーザーによるハードウェア互換テスト)で用いられる各種ツール・Webインターフェースのテスト要請が行われています。現状のUbuntu Friendlyの各種UIも確認できます。

同様に、Ubuntu Server Guideも「仕上げ」のフェーズに入り、レビュアーを募集しています。

Orchestra

Ubuntu 11.10の「目玉」である⁠Orchestra⁠を用いた大規模デプロイの操作例が公開されています。⁠Orchestra⁠は、CobblerによるKickstart(PXE BootによるOS自動インストール)やJujuによる自動ソフトウェアインストール・Puppetによる設定管理などを統合したソフトウェアスタックです[2]⁠。大規模管理に必要な、⁠DHCPサーバと連携するDNS」も簡易なものであればあわせて構築できます。

操作例では、Ubuntu ServerのインストールCDを用いることで、Ubuntu Enterprise Cloudと同じように簡単にセットアップできることが示されています。Cobblerによるインストールサーバーは複数台のUbuntuを使う場合に非常に便利なので、二桁台のマシンのセットアップを予定しているのであれば、試してみる価値があるでしょう。

Ubuntu OneのWindowsクライアント(Beta2)

Ubuntuユーザーに向けたオンラインストレージサービスであるUbuntu Oneの、⁠Windows向けクライアント」のBeta2がリリースされています図1⁠。このソフトウェアを導入することで、Windows上でもUbuntu環境と同じようにUbuntu Oneを利用できるようになります。

図1 Ubuntu One for Windows/Beta2の画面
図1 Ubuntu One for Windows/Beta2の画面

ただし、現状ではWindows環境で新規アカウントを作成してもログインできないバグがあるため、これまでUbuntuアカウント(≒Launchpadアカウント)を持っていなかった方が試す場合は、事前にlaunchpad.net上でサインアップを済ませておくと安全です。

Ubuntu User Days

前回お伝えした「Ubuntuを使い始めた人」向けのオンラインセッション、Ubuntu User Daysがこの土日に行われます。興味のある方は参加方法を確認の上、IRCチャンネルを訪れてみてはいかがでしょうか。

UWN#233

Ubuntu Weekly Newsletter #233がリリースされています。

その他のニュース

今週のセキュリティアップデート

usn-1207-1:CUPSのセキュリティアップデート
  • https://lists.ubuntu.com/archives/ubuntu-security-announce/2011-September/001417.html
  • Ubuntu 11.04・10.10・10.04 LTS・8.04 LTS用のアップデータがリリースされています。CVE-2011-2896, CVE-2011-3170を修正します。
  • CUPSが画像を処理する際、LZWストリームを解釈するコードに問題があり、特定のケースでスタックバッファオーバーフローが発生することがありました。これによりプロセスのクラッシュや任意のコードが実行される可能性があります。
  • 対処方法:通常の場合、アップデータを適用することで問題を解決できます。
usn-1208-1:Linux kernel (Marvel DOVE) のセキュリティアップデート
  • https://lists.ubuntu.com/archives/ubuntu-security-announce/2011-September/001418.html
  • Ubuntu 10.10用のアップデータがリリースされています。CVE-2010-4076, CVE-2010-4077, CVE-2010-4251, CVE-2010-4805, CVE-2011-1020, CVE-2011-1493, CVE-2011-1577, CVE-2011-2213, CVE-2011-2484, CVE-2011-2492, CVE-2011-2700, CVE-2011-2723, CVE-2011-2918を修正します。
  • 対処方法:アップデータを適用の上、システムを再起動してください。
  • 備考:ABIの変更を伴いますので、カーネルモジュールを自分でコンパイルしている場合は再コンパイルが必要です。カーネルモジュール関連のパッケージ(標準では linux-restricted-modules, linux-backport-modules, linux-ubuntu-modulesなど)は依存性により自動的にアップデートされるので、通常はそのままアップデートの適用を行えば対応できます。
usn-1209-1/usn-1209-2:FFmpeg/Libavのセキュリティアップデート
  • https://lists.ubuntu.com/archives/ubuntu-security-announce/2011-September/001419.html
  • https://lists.ubuntu.com/archives/ubuntu-security-announce/2011-September/001420.html
  • Ubuntu 10.10・10.04 LTS用のアップデータがリリースされています。CVE-2011-1196, CVE-2011-1931, CVE-2011-2161, CVE-2011-3362を修正します。
  • FFmpeg・Libavに含まれる、ogg・AMV・CAVSデコーダに問題があり、悪意ある加工の施されたメディアファイルを開くと、ヒープバッファオーバーフローによる任意のコードの実行、あるいはプロセスのクラッシュの可能性があります。FFmpegにはAPEデコーダにも同様の問題があります。
  • 対処方法:通常の場合、アップデータを適用することで問題を解決できます。

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