Ubuntu Weekly Topics

2011年11月11日号UDS-Pの成果物・11.10カーネルの更新・Japanese RemixでのAdobe Reader提供終了・UWN#240

UDS-P

UDS-Pが無事終了し、成果物が続々とBlueprintにまとめられています。今回はそのうち、デスクトップとFoundation(Canonicalが直接面倒を見る、インストーラーなどのコア部分)の開発予定を眺めてみましょう。

なお、UDSはあくまで「開発者会議」であり、そこで話し合われた内容は「こんなことをしたいね、では実現するためのアクションアイテムは何だろう」という段階にあります。これらが実際に実装され、さらにUbuntuとして統合されるには、これから約半年の間の、開発者の作業の進捗に依存します。ここに掲載されているからといって、Preciseで採用されることが確定したわけではありません。

最終的にこれらのうち何割が完成するかは、半年後に答えが出ます。

デスクトップ関連

  • desktop-p-ubuntu-one-cloud-printing:CUPSからUbuntu Oneを経由して、HP ePrintやGoogle Cloud Printで接続できるプリンタを、一種の「ローカル」プリンタとして見せるようにしよう。
  • desktop-p-google-cloud-print-integration:Google Cloud Printerを、システム設定から設定できるようにしよう。
  • desktop-p-freerdp:rdesktopからFreeRDPへ移行し、さらにUIを整備してWindowsのリモートデスクトップへ簡単に接続できるようにしよう。
  • desktop-p-sign-in-with-u1-credentials:Ubuntu SSO ID(LaunchpadやUbuntu Oneで利用されているID)を用いて、デスクトップへログインできるようにしよう。
  • desktop-p-multi-monitor:マルチモニタサポートを強化し、接続しただけでクローンやマルチディスプレイ等、適切な設定を簡単に行えるようにしよう。
  • desktop-p-unity-greeter:Unity Greeterの適用範囲の拡張。Unity Greeterをスクリーンロックの解除に使えるようにしたり、ネットワークインジケータを表示したり、デザインを変更できるようにしよう。
  • desktop-p-fingerprintauthentication:指紋認証を積極的に利用できるようにしよう。Foundationで行う予定のTPMの強化foundations-p-tpm-toolsと連携して、企業向けシステムとして適切な認証系を構成できるようにしよう。
  • desktop-p-usb-modeswitch-needs-to-get-extended-to-printers「いまどき」のプリンタのために、usb-modeswitchを同梱してプリンタとして正しく見えるようにしよう。usb-modeswitchなしだと、⁠いまどき」のプリンタはドライバ置き場のストレージデバイスとしてだけ見えてしまう。
  • desktop-p-calendar-integration:Ubuntuには「カレンダー」アプリケーション(予定表管理のためのスケジュール機能。いわゆるPIM的なもの)がないので、何らかのソフトウェアを選定してデスクトップ一式に含めよう。
  • desktop-p-text-free-boot:起動時にテキストが表示されるのは負けだ。意味不明な文字列を表示させずに、スムーズにブートするようにしよう。

Foundation関連

11.10のカーネル

Ubuntu 11.10にいくつかパッチが受け入れられています。

  • USB3.0ドライバが、モジュールからカーネル組み込みに変更されました。これにより(BIOSもしくはEFIがUSB3.0チップからのブートをサポートしている前提で⁠⁠、USB3.0接続のストレージデバイスからの直接ブートが可能になるかもしれません。
  • IvyBridgeの内蔵GPUの周波数スケーリング対応が追加されました。
  • ごく最近のPCに搭載されているBluetoothチップ、BCM20702A0のサポートが追加されました。

Japanese RemixリポジトリからのAdobe Readerの提供終了

Ubuntu Japanese Teamでは、Japanese Remixのadobereader-jpn(Adobe Reader日本語版)パッケージの配布を終了することにしました。今後はpartnerリポジトリ経由でadobereader-jpnを入手してください。

この背景は、⁠partnerリポジトリから提供されるのであれば、重複して提供するのは混乱を招くだけ」というだけでなく、partnerリポジトリで提供されているAdobe Readerにはx64環境向け(≠x64バイナリ)ビルドも存在する[1]ことです。

UWN#240

Ubuntu Weekly Newsletter #240がリリースされそうです。

その他のニュース

今週のセキュリティアップデート

usn-1252-1:Tomcatのセキュリティアップデート
  • https://lists.ubuntu.com/archives/ubuntu-security-announce/2011-November/001470.html
  • Ubuntu 11.10・11.04・10.10・10.04 LTS用のアップデータがリリースされています。CVE-2011-1184, CVE-2011-2204, CVE-2011-2526, CVE-2011-3190を修正します。
  • Tomcat 6.0.33に相当するセキュリティアップデータです。
  • 対処方法:通常の場合、アップデータを適用することで問題を解決できます。
usn-1253-1:Linux kernelのセキュリティアップデート
  • https://lists.ubuntu.com/archives/ubuntu-security-announce/2011-November/001471.html
  • Ubuntu 10.04 LTS用のアップデータがリリースされています。CVE-2011-1576, CVE-2011-1833, CVE-2011-2494, CVE-2011-2495, CVE-2011-2497, CVE-2011-2695, CVE-2011-2699, CVE-2011-2905, CVE-2011-2928, CVE-2011-3188, CVE-2011-3191を修正します。
  • 対処方法:アップデータを適用の上、システムを再起動してください。
  • 備考:備考:ABIの変更を伴いますので、カーネルモジュールを自分でコンパイルしている場合は再コンパイルが必要です。カーネルモジュール関連のパッケージ(標準ではlinux-restricted-modules, linux-backport-modules, linux-ubuntu-modulesなど)は依存性により自動的にアップデートされるので、通常はそのままアップデートの適用を行えば対応できます。

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