Ubuntu Weekly Topics
2012年4月20日号 12.04のFinal Freeze・“AWSOME”・x64に関する議論・12.04の注意点(1)・Launchpad.netの商用利用・UWN#261
12.04の開発
12.
Ubuntuの新しい長期サポート版,
- 注1
- リリース関連ではいつものことながら,
「リリースノートが完成するのがリリース当日, むしろリリースの10分前」 「リリース直前のテストで問題が見つかるとリリースイメージの作り直しが発生する」 といった問題はありますが, こうした問題と, その問題を何とかしてしまう, というのがUbuntuのリリースにおけるお約束です。 - 注2
- その後継となる12.
10のコードネームが2012年4月19日現在, まだ公表されていない, というまた別の問題は残っています。
“AWSOME”
12.
AWSOMEはGNU Affero GPL v3で提供されるオープンソースソフトウェアで,
- 注3
- これにより,
たとえばUECを抽象化レイヤとしてEucalyptusとOpenStackを使うことができるようになります。
32bit or 64bit
リリースは目前に迫っていますが,
なお,
- 注4
- たとえば,
64bit化することで, 「無防備に」 整数型を使っているようなアプリケーションではデータ領域のサイズが二倍になります。これはそのままCPUやメモリに格納すべきデータ量が増大することにつながるため, 「搭載されている物理メモリが少ないマシンで64bit化すると, メモリまわりの占有量・ バンド幅が広がってしまい, むしろ逆ざや状態になる」 ことを意味します。もちろん64bit環境では4GB以上の仮想メモリ空間を確保できる, というメリットはあるのですが, デスクトップに要求されるワークロードとして4GB越えのメモリ空間が必要になるケースはあまり現実的ではなく (そういう要求をするプログラムは 「デスクトップで使うのにメモリ食い過ぎ」 と怒られるのが普通です), 得られるメリットとしては小さいと言えるでしょう。 - また,
x86からx64移行でのレジスタ拡張で得られる処理の効率化も考慮に入れるべきではありますが, CPUの設計によってはx64化でデコーダの効率が落ちる・ バンド幅問題が起こるといった問題から, 必ずしも性能が向上するわけではありません。 - ……などといったいろいろな問題を天秤にかけていくと,
デスクトップではx86+PAEで十分な気分になってくるのが複雑なところです。とはいえ, PAEは上限64GBで, 8GBメモリを使うとわずか8枚で越えてしまう容量です。現状, 上位のCPUはソケットあたり8~12枚のメモリを実装できることもあり, それが 「デスクトップ」 の範疇かどうかはともかく, ワークステーション的な利用では上限に達してしまう可能性もあります。 - 注5
- x64化の副次的なデメリットとして,
「一部の仮想化ハイパーバイザー (例:VirtualBox) は, x64ゲストを動作させるには単にホストがx64で動作しているだけでは不足で, 仮想化のハードウェア支援 (VT-x・ AMD-V) が必須である」 ということも注意すべきです。これにより, Core2世代のローエンド~メインストリームクラスのPCや, 仮想化支援機能をBIOSがサポートしていない一部のノートPCでは, 「実環境と仮想環境で同じOS・ アーキテクチャで扱う」 ことができなくなります。
12.04の注意点(1)
12.
12.04のカーネル
Ubuntu 12.
byobuのバックエンド変更
byobuは,
12.
これまでと同様,
なお,
Jujuの対応バージョン
12.
- 注6
- Software Design 2012年5月号で,
Jujuの概要と簡単な使い方を紹介しています (宣伝)。
Launchpadの商用プロジェクトでの利用
Launchpad.
この
UWN#261
Ubuntu Weekly Newsletter #261がリリースされています。
その他のニュース
- 12.
04で利用できる, Notificationをリストできるindicator-notifications。 - 12.
04で利用できる, Ubuntu OneをDropboxのIndicatorライクに操作できるindicator-ubuntuone。 - 12.
04のグッズがUbuntu shopで販売されるようになりました。 - 12.
04で利用できる, Wikipedia Lensの作り方。 - 12.
04版, アプリケーション開発者向けのUbuntu開発の勧め。 - GRUBからUSBドライブを起動する方法。
- Full Circle Magazineのバックナンバーをダウンロードする方法。
- 2012年3月のSoftware CenterのアプリケーションTop10。
今週のセキュリティアップデート
- usn-1421-1:Linux kernel
(Maverick backport) のセキュリティアップデート - https://
lists. ubuntu. com/ archives/ ubuntu-security-announce/ 2012-April/ 001659. html - Ubuntu 10.
04 LTS用の2. 6.35カーネルのアップデータがリリースされています。CVE-2011-4347, CVE-2012-0045, CVE-2012-1097, CVE-2012-1146を修正します。 - 対処方法:アップデータを適用の上,
システムを再起動してください。
- https://
- usn-1422-1:Linux kernelのセキュリティアップデート
- https://
lists. ubuntu. com/ archives/ ubuntu-security-announce/ 2012-April/ 001660. html - Ubuntu 11.
04用のアップデータがリリースされています。CVE-2011-4347, CVE-2012-0045, CVE-2012-1097, CVE-2012-1146を修正します。 - 対処方法:アップデータを適用の上,
システムを再起動してください。 - 備考:ABIの変更を伴いますので,
カーネルモジュールを自分でコンパイルしている場合は再コンパイルが必要です。カーネルモジュール関連のパッケージ (標準ではlinux-restricted-modules, linux-backport-modules, linux-ubuntu-modulesなど) は依存性により自動的にアップデートされるので, 通常はそのままアップデートの適用を行えば対応できます。
- https://
- usn-1423-1:Sambaのセキュリティアップデート
- https://
lists. ubuntu. com/ archives/ ubuntu-security-announce/ 2012-April/ 001661. html - Ubuntu 11.
10・ 11. 04・ 10. 04 LTS・ 8. 04 LTS用のアップデータがリリースされています。CVE-2012-1182を修正します。 - smbdに特定のパケットを送出することで,
root権限で任意のコードの実行が可能です。攻撃者にはSambaサーバーへパケットを送り込むことができる必要があります。 - 対処方法:通常の場合,
アップデータを適用することで問題を解決できます。
- https://
バックナンバー
Ubuntu Weekly Topics
- 2012年4月27日号 Ubuntu 12.04 LTS “Precise Pangolin”のリリース・12.10 “Quantal Quetzal”・Juju jitsu・12.04の注意点(2)・70ドルのARMデバイス・UWN#262
- 2012年4月20日号 12.04のFinal Freeze・“AWSOME”・x64に関する議論・12.04の注意点(1)・Launchpad.netの商用利用・UWN#261
- 2012年4月13日号 12.04のカーネルコンフィグ・Ubuntu Cloud Summit・Kubuntuの新しいスポンサー・UWN#260
- 2012年4月6日号 MAAS(Metal as a Service)プロジェクトの公開・日本語Remixのリリース予定・Ubuntu StudioのLTS化・FCM#59・UWN#259