Ubuntu Edge
前回触れた「Ubuntu Edge」が正体を表しました。Ubuntu.comのトップページ にも特大の画像が表示されている通り、Ubuntu Edgeは「Canonical自身による、ハイエンドスマートフォン」として姿を表します。特徴的なのは通常の製品としてではなく、クラウドファンディング方式で初期費用を調達する というモデルを取ることです。目標金額は驚異の$32,000,000(3,200万ドル=約32億円)で、ファンド開始日から2日で約15%程度を集めることに成功しています。Ubuntu Edgeに関連する各種案内はコミュニティ の重鎮たち のblog を参照してください。
なお、このファンディングでは「早いタイミングで参加すると、より少ない金額で報酬を得られる」というモデルを採用しており、発表初日/5,000台限定で$600(すでに完売) 、以降台数に応じて$625/$675/$725/$775……と、徐々に高くなっていく というモデルとなっています。購入する場合はなるべく早く手を出すのが良いでしょう。なお、目標金額である$32,000,000に大きく届かなかった場合はプロジェクトはキャンセルされ、リファレンスモデルとしてのUbuntu Edgeは登場せず、通常のキャリア/ベンダ経由のUbuntu Phoneが登場することになります。
Ubuntu Edgeの現在の仕様は次の通りです。ただし、この仕様はあくまでも「2013年7月現在」のもので、必要に応じて変更する可能性があると明言されています。
UbuntuとAndroidのデュアルブート
ドックに接続することでUbuntu Desktopとして利用可能
マルチコアCPU + 4GBメモリ + 128GBストレージ
4.5inch/1280x720の液晶ディスプレイ。サファイアガラスを採用。
8メガピクセルの背面カメラ+2メガピクセルのフロントカメラを搭載。
Dual-LTE(with microSIM) + Dual-band 802.11n + Bluetooth 4.0 + NFC
GPS・加速度センサー・ジャイロセンサー・近接センサー・コンパス・気圧計を内蔵。
ステレオスピーカー・デュアルマイク(+アクティブノイズキャンセリング)を搭載。
64 x 9 x 124 mm
Ubuntu Edgeは、「 Ubuntu Phone」のエンタープライズ向けのフル機能をカバーし、コンバージドスマートフォン(ふだんはUbuntu Touchベースのスマートフォンとして利用でき、クレードルやモニタ+キーボード+マウスを接続すると通常のUbuntu Desktopになる。もちろんこのモード変更には再起動は不要で、いつでもそのまま本体を持って外に持ち出すことができる)として利用することも可能です。コンバージド部分は「採用するかどうかはキャリアに任せる」という位置づけのもの(通常はエンタープライズ向けに大量導入される際、カスタムイメージとして統合される)なので、この機能を一般販売品で利用できるのはUbuntu Edgeのみ、という展開になる可能性もあります。
また、通常のAndroidフォンとして利用することも可能で、この状態でも「Ubuntu for Android」機能により、Ubuntu Touch版と同じようにコンバージドスマートフォンとして利用することができます(つまり必要に応じてUbuntu Desktopが起動できるということです。注1 ) 。Ubuntu Touch・Androidいずれの場合も、実装さえうまく行けば、Desktop環境を利用している時でも電話機として利用することも可能なので、「 これ一台で電話もデスクトップも統合」( Unityによる“ Converge” )することができます[2] 。
[1] Ubuntu Touchのコンバージドと、Androidにおける「Ubuntu for Android」は、いずれもUbuntu Desktop用の環境をLXCを用いてコンテナとして動作させます。必要に応じてコンテナを一時停止したり復帰させたりすることで、Ubuntu Desktopとスマートフォンを簡単に同居させることができます。
日本のハイエンドスマートフォンに慣れた目で見ると、ディスプレイの解像度に若干の不満が残るところではあります。今後の開発の進展(特にUbuntu Touchが複数解像度に対応し、かつ高解像度でも十分なパフォーマンスで動作するかどうか)によっては、もしかするとより高解像度なディスプレイに置き換えられるかもしれません。いずれにせよ、登場時期を考慮してもハイエンドスマートフォンとしての条件は満たしそうです。
Paypalアカウントがあれば、日本からのファンド参加も可能です[3] 。参加する場合は報酬にあたる「Perk」を選択し、条件を満たす金額に送料$30を加えたものを登録する、Paypalの登録アカウントも含めて名前他はローマ字表記にしておく、最悪は英語メールはおろか、電話による問い合わせぐらいまでは覚悟しておく、といった点に注意しておくと良いでしょう。なお、申込時に送料を忘れた場合は、あらためて「No Perk, Just a Contribution」で不足分を追加すれば良い、とFAQ に記載されています。
モックアップらしきものがすでに各種動画に登場しており(残念ながらOSが走る状態ではありません) 、サイズ感をつかむことができます。
[3] 問題は日本国内で利用するには各種規制をクリアする必要があり、おそらくWifiとBluetoothは仕様レベルで出力が高すぎて未適合、3Gも技適を通さない限りは適法状態での利用は難しい(グレーゾーンとして海外SIMのローミング利用はあるものの日本在住者が利用する場合はかなり微妙)といった理由により、無線関連の機能は電波暗室を準備しないと利用できないということです。
Ubuntu Forumのクラック
Ubuntu Forumがクラックされ、ハッシュされたパスワードを含むユーザー情報が流出 してしまっています。ユーザー登録をしていた場合、アナウンス を確認し、必要な対応を取る必要があります。通常、パスワードの使い回しさえなければ強い心配はありませんが、念のための確認をお勧めします。
UWN#326
Ubuntu Weekly Newsletter #326 がリリースされています。
その他のニュース
今週のセキュリティアップデート
usn-1904-2 :libxml2 regression
https://lists.ubuntu.com/archives/ubuntu-security-announce/2013-July/002194.html
Ubuntu 13.04・12.10・12.04 LTS・10.04 LTS用のアップデータがリリースされています。usn-1904-1で発生した問題 を解決します。
対処方法:アップデータをて起用の上、システムを再起動してください。