Ubuntu Weekly Topics

2014年5月16日号OpenStack Summit Atlanta 2014・The Orange Box・apt-venv・UWN#367

OpenStack Summit Atlanta 2014

OpenStackの祭典、OpenStack Summitがアトランタで開催されています。Ubuntu/Canonicalの創始者であるMark Shuttleworthによるキーノートが行われ、UbuntuとOpenStackに関するいくつかの発表が行われました。

このキーノートに伴ってアナウンスページも準備されており、文字ベースで確認することもできます。一般的なユーザーにとっても興味深いであろう内容を簡単に見ていきましょう。

まず最初にアピールされているのが、OIL(OpenStack Interoperalibily Lab)です。これはCanonicalが推進する、⁠OpenStack上で利用できる、あるいはOpenStack互換のソフトウェア・ミドルウェア・ハードウェア群について、相互利用性を担保するための互助会」に相当するもので、Labに参加する各企業のサービスが組み合わされ、毎月3,000以上のクラウドがデプロイされて、テストされているとアピールしています。

OILに関連して、IBMとCanonicalの連携もアピールされています。いわく、⁠Big news is that IBM is coming to the Ubuntu ecosystem and collaborating with Canonical in a few areas.」⁠大きなニュースがある。IBMがUbuntuエコシステムに参加し、そしてCanonicalといくつかの分野で協働している⁠⁠。Jujuを用いて、IBM製ソフトウェアの一部がデプロイできるようになったこと、POWERプロセッサ環境を協働して推進していく旨のアナウンスが行われています。

Cloudbaseとの協働により、CentOSとWindowsもJujuからデプロイできるようになったというアナウンスが行われました。これにより、⁠JujuからデプロイできるのはUbuntuだけ」という大きな弱点がカバーされることになります。上層(デプロイされる側)だけでなく、Hyper-VベースのOpenStack Nova(EC2相当)も利用できるということがアピールされており、さまざまな混在環境がサポートされるようになります。また、これによってAD等の、Microsoft系サービスとの連携も可能となるだろうと示されています。

AMD(旧Seamicro)の、SM15000シャーシを、UbuntuベースのOpenStack環境として簡単に利用できるようになったという旨のアナウンスとデモンストレーションも行われました[1]⁠。SM15000はいわゆる「マイクロサーバー」の一種で、10Uに64ノードを押し込めることが可能な超凝縮型サーバーハードウェアです。

これらのサービスを補完する位置づけのYour Cloudというサービスが開始されることもアナウンスされました。Your Cloudは、⁠クラウドサービスの構築と運用をCanonicalに任せることができる」というサービスで、1ホストにつき$15/日を支払うことで、24/7体制(≒24時間365日)モニタリングを含め、完全お任せ型の利用が可能というサービスです。ユーザーが所持しているハードウェアに対してサービスを提供してくれるため、⁠クラウドサービスを所有しつつ、しかし構築や管理はCanonicalが行ってくれる」という体制を取ることができます。少々割高ではありますが、⁠プライベートクラウドに手を出してみたいが、しかし構築のために大がかりな予算が取れない」といった場合の選択肢になりそうです。

……ここまでは一般ユーザーにとってはあまり縁のなさそうな話ですが、このキーノートに関連して、⁠The Orange Box」というハードウェアもアナウンスされています。

The Orange Boxは一種の「おかもち」型のクラスタ環境で、横倒しにしたタワーPCライクなケースに、Intel NUC10枚(D53427RKE。Core i5モデル・16GBメモリ・128GB SSD)+VLAN対応16ポートスイッチ・電源を納めることで、⁠持ち運べるOpenStack環境」を実現したプロダクトです。上位のNUCを搭載し、16ポートスイッチのうち6ポートを外部接続に回しているため、計算ノードとしても決して低くない性能を持ちます。

個別販売もしており、送料無料で入手可能です。お値段は7,575ポンド=約130万円と少々手が出しにくいものの、自動車を買うつもりで購入すれば大きな問題はなさそうです。購入する、あるいは購入は不可能なのでECS LIVAベースでケースを自作して類似品を構築するといった猛者が登場することを期待しています。

apt-venv

Ubuntuのユーザーのうちの何割かはDebianを併用し、さらにUbuntuは複数のリリースを使い分けつつ、Debianではsidとstableを併用しているはずです。そうしたユーザーやパッケージ開発者にとって、⁠今ログインしているこの環境にあるこのパッケージ、どのマシンには入っているんだっけ?」⁠あっちのホストにあるパッケージ、こっちでは古いぞ!」といったセルフ落とし穴にはまることはとても日常的なイベントになります。

こうした事態を緩和するため、apt-venvというプログラムが開発されています。これは、異なるバージョンのUbuntuやDebianのapt-cacheコマンドを再現するツールで、⁠apt-cenv sid -u; apt-venv sid」としてサブシェルを起動し、その上で実行するapt-cacheコマンド(と、aptのDBを利用するコマンド)はsidのDBを参照するというものです。

これまでも各リリースに含まれるパッケージバージョンを確認するだけであればrmadisonコマンドを用いることで代替できましたが、単にバージョンを確認するだけでなく、apt-cache policyやapt-cache showによる詳細情報の確認・searchなどの検索コマンドを利用できるのがメリットです。

UWN#367

Ubuntu Weekly Newsletter #367がリリースされています。

その他のニュース

今週のセキュリティアップデート

usn-2183-2:dpkgの再アップデート
  • https://lists.ubuntu.com/archives/ubuntu-security-announce/2014-May/002489.html
  • Ubuntu 14.04 LTS・13.10・12.10・12.04 LTS・10.04 LTS用のアップデータがリリースされています。
  • usn-2183-1において、誤った古いpatch utilityが同梱されていました。
usn-2190-1:JBIG-KITのセキュリティアップデート
  • https://lists.ubuntu.com/archives/ubuntu-security-announce/2014-May/002490.html
  • Ubuntu ・14.04 LTS・13.10・12.10用のアップデータがリリースされています。CVE-2013-6369を修正します。
  • JBIG-KITに悪意ある加工を施したイメージを認識させることで、任意のコードの実行の可能性を含む、メモリ破壊を伴うクラッシュを発生させることが可能です。
  • 対処方法:通常の場合、アップデータを適用することで問題を解決できます。
usn-2191-1:OpenJDK 6のセキュリティアップデート
usn-2192-1:OpenSSLのセキュリティアップデート
  • https://lists.ubuntu.com/archives/ubuntu-security-announce/2014-May/002492.html
  • Ubuntu 14.04 LTS・13.10・12.10・12.04 LTS用のアップデータがリリースされています。CVE-2010-5298, CVE-2014-0198を修正します。
  • OpenSSLの利用時、ssl3_read_bytes()・do_ssl3_write()に不正な入力が行われるとクラッシュが生じることがありました。
  • 対処方法:アップデータを適用の上、システムを再起動してください。
usn-2193-1:OpenStack Glanceのセキュリティアップデート
  • https://lists.ubuntu.com/archives/ubuntu-security-announce/2014-May/002493.html
  • Ubuntu 13.10用のアップデータがリリースされています。CVE-2014-0162を修正します。
  • GlanceのバックエンドとしてSheepdogを利用している場合、外部入力によるコマンドインジェクションが可能でした。
  • 対処方法:通常の場合、アップデータを適用することで問題を解決できます。
usn-2194-1:OpenStack Neutronのセキュリティアップデート
  • https://lists.ubuntu.com/archives/ubuntu-security-announce/2014-May/002494.html
  • Ubuntu 13.10用のアップデータがリリースされています。CVE-2014-0056を修正します。
  • Neutronにおいて、l3-agentへのポート設定の引き渡しに問題があり、悪意ある細工を施した入力を行うことで、本来アクセスできない異なる空間にアクセスすることが可能でした。
  • 対処方法:通常の場合、アップデータを適用することで問題を解決できます。
usn-2196-1:Linux kernelのセキュリティアップデート
  • https://lists.ubuntu.com/archives/ubuntu-security-announce/2014-May/002495.html
  • Ubuntu 10.04 LTS用のアップデータがリリースされています。CVE-2014-0196を修正します。
  • 対処方法:アップデータを適用の上、システムを再起動してください。
  • 備考:CVE-2014-0196はローカルユーザーがroot特権に昇格できるタイプの脆弱性です。早期の対応を推奨します。
usn-2197-1:Linux kernel (EC2)のセキュリティアップデート
  • https://lists.ubuntu.com/archives/ubuntu-security-announce/2014-May/002496.html
  • Ubuntu 10.04 LTS用のアップデータがリリースされています。CVE-2014-0196を修正します。
  • 対処方法:アップデータを適用の上、システムを再起動してください。
  • 備考:CVE-2014-0196はローカルユーザーがroot特権に昇格できるタイプの脆弱性です。早期の対応を推奨します。
usn-2198-1:Linux kernelのセキュリティアップデート
  • https://lists.ubuntu.com/archives/ubuntu-security-announce/2014-May/002497.html
  • Ubuntu 12.04 LTS用のアップデータがリリースされています。CVE-2014-0196を修正します。
  • 対処方法:アップデータを適用の上、システムを再起動してください。
  • 備考:CVE-2014-0196はローカルユーザーがroot特権に昇格できるタイプの脆弱性です。早期の対応を推奨します。
  • 備考:ABIの変更を伴いますので、カーネルモジュールを自分でコンパイルしている場合は再コンパイルが必要です。カーネルモジュール関連のパッケージ(標準ではlinux-restricted-modules, linux-backport-modules, linux-ubuntu-modulesなど)は依存性により自動的にアップデートされるため、通常はそのままアップデートの適用を行えば対応できます。
usn-2199-1:Linux kernel (Quantal HWE)のセキュリティアップデート
  • https://lists.ubuntu.com/archives/ubuntu-security-announce/2014-May/002498.html
  • Ubuntu 12.04 LTS用のアップデータがリリースされています。CVE-2014-0196を修正します。
  • 対処方法:アップデータを適用の上、システムを再起動してください。
  • 備考:CVE-2014-0196はローカルユーザーがroot特権に昇格できるタイプの脆弱性です。早期の対応を推奨します。
usn-2200-1:Linux kernel (Raring HWE)のセキュリティアップデート
  • https://lists.ubuntu.com/archives/ubuntu-security-announce/2014-May/002499.html
  • Ubuntu 12.04 LTS用のアップデータがリリースされています。CVE-2014-0196を修正します。
  • 対処方法:アップデータを適用の上、システムを再起動してください。
usn-2201-1:Linux kernel (Saucy HWE)のセキュリティアップデート
  • https://lists.ubuntu.com/archives/ubuntu-security-announce/2014-May/002500.html
  • Ubuntu 12.04 LTS用のアップデータがリリースされています。CVE-2014-0196を修正します。
  • 対処方法:アップデータを適用の上、システムを再起動してください。
usn-2202-1:Linux kernelのセキュリティアップデート
  • https://lists.ubuntu.com/archives/ubuntu-security-announce/2014-May/002501.html
  • Ubuntu 12.10用のアップデータがリリースされています。CVE-2014-0196を修正します。
  • 対処方法:アップデータを適用の上、システムを再起動してください。
usn-2203-1:Linux kernelのセキュリティアップデート
  • https://lists.ubuntu.com/archives/ubuntu-security-announce/2014-May/002502.html
  • Ubuntu 13.10用のアップデータがリリースされています。
  • 対処方法:アップデータを適用の上、システムを再起動してください。
usn-2204-1:Linux kernelのセキュリティアップデート
  • https://lists.ubuntu.com/archives/ubuntu-security-announce/2014-May/002503.html
  • Ubuntu 14.04 LTS用のアップデータがリリースされています。CVE-2014-0196を修正します。
  • 対処方法:アップデータを適用の上、システムを再起動してください。
usn-2205-1:LibTIFFのセキュリティアップデート
  • https://lists.ubuntu.com/archives/ubuntu-security-announce/2014-May/002504.html
  • Ubuntu 14.04 LTS・13.10・12.10・12.04 LTS・10.04 LTS用のアップデータがリリースされています。CVE-2013-4231, CVE-2013-4232, CVE-2013-4243, CVE-2013-4244を修正します。
  • git2tiff・tiff2pdfにメモリ破壊を伴う問題がありました。悪用により権限の奪取が可能な疑いがあります。
  • 対処方法:通常の場合、アップデータを適用することで問題を解決できます。
usn-2206-1:OpenStack Horizonのセキュリティアップデート
  • https://lists.ubuntu.com/archives/ubuntu-security-announce/2014-May/002505.html
  • Ubuntu 13.10用のアップデータがリリースされています。CVE-2014-0157を修正します。
  • Horizon上でHeatテンプレートを利用する際、テンプレートに含まれるパラメータの確認が不十分なため、XSSが可能でした。これにより細工を施したHeatテンプレートを送りつけることで、WebUIへ入力された値の奪取等の攻撃が可能です。
  • 対処方法:通常の場合、アップデータを適用することで問題を解決できます。
usn-2207-1:OpenStack Swiftのセキュリティアップデート
  • https://lists.ubuntu.com/archives/ubuntu-security-announce/2014-May/002506.html
  • Ubuntu 13.10・12.10・12.04 LTS用のアップデータがリリースされています。CVE-2014-0006を修正します。
  • SwiftがTempURLを利用する際、タイミング攻撃が可能な余地がありました。本来第三者がアクセス可能であることを意図していないURLへのアクセスが可能です。
  • 対処方法:通常の場合、アップデータを適用することで問題を解決できます。
usn-2208-1usn-2208-2:OpenStack Cinderのセキュリティアップデート
  • https://lists.ubuntu.com/archives/ubuntu-security-announce/2014-May/002507.html
  • https://lists.ubuntu.com/archives/ubuntu-security-announce/2014-May/002508.html
  • Ubuntu 12.10用のアップデータがリリースされています。CVE-2013-6491を修正します。
  • Cinderが、設定ファイルでqpid_protocolでsslを指定しているにも関わらず、QPidを利用する際にHTTPSを強制しない動作をしていました。
  • 対処方法:通常の場合、アップデータを適用することで問題を解決できます。
usn-2209-1:libvirtのセキュリティアップデート
  • https://lists.ubuntu.com/archives/ubuntu-security-announce/2014-May/002509.html
  • Ubuntu 13.10用のアップデータがリリースされています。CVE-2013-6456, CVE-2013-7336を修正します。
  • libvirt経由でLXCを利用している場合、古典的symlink攻撃が可能でした。これにより本来意図しないホストの削除・シャットダウン・任意のファイルの作成等が可能です。また、SPICEマイグレーションを利用する際、特定の操作でクラッシュを誘発させることが可能でした。
  • 対処方法:アップデータを適用の上、システムを再起動してください。
usn-2210-1:cups-filtersのセキュリティアップデート
  • https://lists.ubuntu.com/archives/ubuntu-security-announce/2014-May/002510.html
  • Ubuntu 14.04 LTS用のアップデータがリリースされています。CVE-2014-2707を修正します。
  • 異常な名前のプリンターを準備することで、任意のコマンドの実行が可能でした。
  • 対処方法:通常の場合、アップデータを適用することで問題を解決できます。
usn-2211-1:libXfontのセキュリティアップデート
  • https://lists.ubuntu.com/archives/ubuntu-security-announce/2014-May/002511.html
  • Ubuntu 14.04 LTS・13.10・12.10・12.04 LTS・10.04 LTS用のアップデータがリリースされています。CVE-2014-0209, CVE-2014-0210, CVE-2014-0211を修正します。
  • 悪意ある加工を施したフォントメタデータか、X font serverを準備することでメモリ破壊を伴うクラッシュを誘発することが可能でした。これによりroot権限を確保できる可能性があります。
  • 対処方法:アップデータを適用の上、システムを再起動してください。

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