Ubuntu Weekly Topics

HiFive Premier P550のUbuntu対応⁠BPI-F3のRVV 1.0のテスト⁠Ubuntu 25.04(plucky)開発; Foundationのロードマップ

HiFive Premier P550のUbuntu対応、BPI-F3のRVV 1.0のテスト

RISC-Vにおける「Ubuntu対応」ハードウェアがまたひとつ増えました。HiFiveのリリースするPremier P550について、Ubuntuの対応がSiFive, ESWIN Computing, Canonicalの連名でアナウンスされています。

HiFive Premier P550はESWIN EIC7700Xを中心にした「開発者向け」ボードで、1.4GHzで動作するCPUを中心に、16もしくは32GBのメモリ、2つの1GbE、SATA3、5つのUSB3.2ポートと管理用イーサネット、そしてHDMIとPCIe、JTAGを備えた汎用性の高い構成になっています。電源は通常の24pinのATX電源をそのまま利用する形となっています。今回のアナウンスでは、先行していたハードウェアとしてのリリースに続き、⁠Ubuntuがプリインストールされる」というものとなっています。インストールされるのはUbuntu 24.04です。

特にビデオアクセラレーション系の機能については「currently not supported in software」⁠現在はソフトウェア的には未サポート)という記載がある状態で、まだまだ「開発者向けボードのプレビュー」という性質が残っており、⁠すべての機能を過不足なく使いたい」という要望を満たせるものではありません。一方、こうしたボードを「使いこなす⁠⁠、あるいはハードウェアの仕組みを学びたいといった場合にはたまらないものになるでしょう日本語のGetting Startedガイドも提供されています。ただしこれはUbuntuがまだ動かなかった時期に、仮版のOSが導入されていたタイミングのものであることに注意してください⁠⁠。

またRISC-V関連の動きとしては、BPI-F3を利用したRVV 1.0のテストが開始されています。Vector Extension(RVV)はRISC-Vにおけるベクトル演算の実装で、古典的な「マルチメディア命令」などを含む並列処理のための命令セットです。RISC-Vは命令セットの拡張が進められているフェーズで、テストもあくまで「……ということができました」というレベル感のものですが、⁠RISC-Vを利用する場合の標準OS」を目指すための動きが続いていると言えそうです。

pluckyの開発; Foundationのロードマップ

pluckyの開発はシーズン的な影響もあり、順調だが静かな様子が続いています。今週の比較的大きな動きとしては、GIMP 3へのトランジションのため、RC1が導入され関連するパッケージの準備が進められていること、そしてsystemd v257の導入が行われた、という程度になるでしょう。

その中で、デスクトップのロードマップ(その1)に続き、Foundation[1]ロードマップが公開されています。

このロードマップでは、すでに公表されている内容の整理として、コンパイルオプションとしてO3を利用すること、そしてglibc 2.41、systemd v257、OpenSSL 3.4やDracutへの移行、APTのソルバーの更新や、ARM Dekstopへの対応(Snapgragon X EliteノートPC向けの調整を含む)などがピックアップされています。

また、LLVMによるアーカイブリビルドを行った上で、パフォーマンス比較のための情報を提示・検討する予定があること、アップグレードにおける各種トラブルの低減のために、⁠典型的な問題」を整理すること、.NET関連の開発者体験をsnapベースのパッケージで改善すること、RISC-Vのautopkgtestを準備すること、そして仮想マシンベースのISOイメージのテストを評価していることなどが提示されています。大きな動きとは言えないものの、LTSを目指していくリリースとしては非常に妥当なものと言えそうです。

今週のセキュリティアップデート

usn-7136-1, usn-7136-2:Djangoのセキュリティアップデート

  • https://lists.ubuntu.com/archives/ubuntu-security-announce/2024-December/008821.html
  • https://lists.ubuntu.com/archives/ubuntu-security-announce/2024-December/008823.html
  • Ubuntu 24.10・24.04 LTS・22.04 LTS・20.04 LTS・18.04 ESM・16.04 ESM用のアップデータがリリースされています。CVE-2024-53907, CVE-2024-53908を修正します。
  • 悪意ある入力を行うことで、DoS・SQLインジェクションが可能でした。
  • 対処方法:通常の場合、アップデータを適用することで問題を解決できます。

usn-7137-1:recutilsのセキュリティアップデート

usn-7138-1:Ghostscriptのセキュリティアップデート

  • https://lists.ubuntu.com/archives/ubuntu-security-announce/2024-December/008824.html
  • Ubuntu 18.04 ESM・16.04 ESM用のアップデータがリリースされています。CVE-2024-46951, CVE-2024-46953, CVE-2024-46955, CVE-2024-46956を修正します。
  • 悪意ある入力を行うことで、メモリ破壊を伴うクラッシュを誘発することが可能でした。任意のコードの実行・DoSが可能でした。
  • 対処方法:通常の場合、アップデータを適用することで問題を解決できます。

usn-7139-1:Apache Shiroのセキュリティアップデート

  • https://lists.ubuntu.com/archives/ubuntu-security-announce/2024-December/008825.html
  • Ubuntu 16.04 ESM用のアップデータがリリースされています。CVE-2016-4437を修正します。
  • 悪意ある入力を行うことで、任意のコードの実行・本来秘匿されるべき情報へのアクセスが可能でした。
  • 対処方法:通常の場合、アップデータを適用することで問題を解決できます。

usn-7117-3:needrestartの再アップデート

  • https://lists.ubuntu.com/archives/ubuntu-security-announce/2024-December/008826.html
  • Ubuntu 24.10・24.04 LTS・22.04 LTS・20.04 LTS・18.04 ESM・16.04 ESM用のアップデータがリリースされています。
  • usn-7117-1において、LXCコンテナでの動作に問題が生じていました。
  • 対処方法:通常の場合、アップデータを適用することで問題を解決できます。

usn-7140-1:Tinyproxyのセキュリティアップデート

  • https://lists.ubuntu.com/archives/ubuntu-security-announce/2024-December/008827.html
  • Ubuntu 22.04 LTS(Ubuntu Proのみ⁠⁠・20.04 LTS・18.04 ESM・16.04 ESM用のアップデータがリリースされています。CVE-2022-40468を修正します。
  • 悪意ある入力を行うことで、メモリの一部読み取りが可能でした。
  • 対処方法:通常の場合、アップデータを適用することで問題を解決できます。

usn-7142-1:WebKitGTKのセキュリティアップデート

  • https://lists.ubuntu.com/archives/ubuntu-security-announce/2024-December/008828.html
  • Ubuntu 24.10・24.04 LTS・22.04 LTS用のアップデータがリリースされています。CVE-2024-44308, CVE-2024-44309を修正します。
  • 悪意ある入力を行うことで、メモリ破壊を伴うクラッシュを誘発することが可能でした。任意のコードの実行・DoSが可能でした。
  • 対処方法:アップデータを適用の上、WebKitGTKを利用するソフトウェアを再起動してください。

usn-7143-1:RabbitMQ Serverのセキュリティアップデート

  • https://lists.ubuntu.com/archives/ubuntu-security-announce/2024-December/008829.html
  • Ubuntu 20.04 LTS用のアップデータがリリースされています。CVE-2021-32718, CVE-2021-32719を修正します。
  • 悪意ある入力を行うことで、XSS・本来秘匿されるべき情報へのアクセスが可能でした。
  • 対処方法:通常の場合、アップデータを適用することで問題を解決できます。

usn-7144-1:Linux kernel (Intel IoTG)のセキュリティアップデート

usn-7141-1:oFonoのセキュリティアップデート

  • https://lists.ubuntu.com/archives/ubuntu-security-announce/2024-December/008831.html
  • Ubuntu 24.10・24.04 LTS・22.04 LTS・20.04 ESM・18.04 ESM・16.04 ESM用のアップデータがリリースされています。CVE-2023-2794, CVE-2023-4233, CVE-2023-4234を修正します。
  • 悪意ある入力を行うことで、DoSが可能でした。
  • 対処方法:アップデータを適用の上、oFOnoを再起動してください。

usn-7146-1:Dogtag PKIのセキュリティアップデート

  • https://lists.ubuntu.com/archives/ubuntu-security-announce/2024-December/008832.html
  • Ubuntu 22.04 LTS(Ubuntu Proのみ⁠⁠・16.04 ESM用のアップデータがリリースされています。CVE-2017-7537, CVE-2020-25715, CVE-2022-2414を修正します。
  • 悪意ある入力を行うことで、認証の迂回・本来秘匿されるべき情報へのアクセスが可能でした。
  • 対処方法:通常の場合、アップデータを適用することで問題を解決できます。

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