Ubuntu Weekly Topics

WSL向けUbuntu Pro⁠Dragonwing IQ-9075用Ubuntu⁠wikiとPlanet UbuntuのリニューアルとAIの導入

WSL向けUbuntu Pro

WSL(Windows Subsystem for Linux)は、Windows上で手軽にLinuxユーザーランドを利用できるツールです。Ubuntuももちろん利用できます。おそらく、現実的な話をすると「対話的な用途でもっとも多くインストールされているUbuntu」はWSLにインストールされた環境になるはずです。

このWSL上のUbuntu環境において、Ubuntu Proが利用できるようになりました。セットアップ方法はUbuntu Proの標準的な導入方法である、トークン文字列をターミナルに貼り付ける形です。具体的な手順は非常に簡単な形で整理されており、数行のコマンドをコピー&ペーストすることでUbuntu ProをWSL上に構成できます。

この環境を利用することで、WSL上のUbuntuにおいて、最大15年間(LTSの標準5年に加えてUbuntu Proの提供するESMを用いることでさらに+5年、そしてLegacy Supportを用いることでさらに+5年)の間セキュリティメンテナンスを入手できるようになります。また、Landscapeから一元管理することも可能なので、⁠長期間同じ環境を維持できる」⁠企業のような大規模環境で使いやすくなる」というメリットを受け取ることができます。Ubuntu Proは個人で利用する場合は最大5台まで無料で利用できるため、試してみてはいかがでしょうか。

Dragonwing IQ-9075用Ubuntu

QualcommのDragonwingシリーズは、IoT環境に向けたARM SoCです。これまでリリースされてきたQCS6490、QCS5430向けのリリースに続く形で、Dragonwing IQ-9075向けのUbuntuイメージ(24.04 LTSベース)がリリースされました。

Server版だけではなくDesktop版も含まれており、対話的な操作環境を含むさまざまな環境で利用できます。IQ-9075は最大100TOPSの推論性能と過酷な環境(マイナス40度から115度まで)の耐候性を備え、工場やIoT文脈でさまざまな環境で利用できます。最大で16並列でカメラを接続することも可能ということで、ロボティクス向けにも利用可能です。各種の「インテリジェントな」デバイスの中身はUbuntu、という展開がますます増えそうなリリースです。

resolute(Ubuntu 26.04 LTS)の開発; wikiとPlanet UbuntuのリニューアルとAIの導入

Linkedin上で、resoluteの開発プランが共有されています。どうしてもサイトの特性上、⁠人材募集」という方向性があり、現在のところ開発コミュニティの視点では目新しいものはありません。一方、⁠今後もresoluteの進捗をLinkedinで共有する」ことが示されており、新しいニュースソースとして展開されそうです。

新しい動きとしては、questing(25.10)から開始された各種開発環境のリニューアルについて、wikiplanet.ubuntu.comの更新、というテーマが提示されています。現時点では「既存のwikiは2026年8月をもってリタイア」⁠ただし、既存のコンテンツをマイグレーションするかそれとも完全に捨ててしまうか、といった点は完全に未定⁠⁠、planet.ubuntu.comは「バックエンドがbzrなのでもう保持しようがない」といったことが示されているだけで、具体的なプランはこれからというフェーズですが、⁠古くなったツール」を置き換えていくことになりそうです。

また関連する興味深い実験として(必ずしもresolute向けとは言えないものの)merges.ubuntu.comの代替になるものをVibe Coding的に作ってみた」というチャレンジが共有されています。⁠とりあえず動くものはすぐに作ってくれる」⁠バグもそれなりに自力で直せる」⁠見た目は完全にモダンなUI/UXを備えている」⁠ものとしてはNode.JS+TypeScript+React)と、すばらしい出来となっています。

一方ある種のオチとしては、⁠楽しく使えたものの、⁠本番』用に利用するには中身を理解できておらず(セキュリティ的に)怖すぎる」というもので、AIの可能性と現在の可能性を感じさせるものとなっています。ローカル版としてはテスト用のコードが提供されており、⁠ここまではAIでできる」ということを感じ取ることができるでしょう。

今週のセキュリティーアップデート

usn-7878-2:cups-filtersのセキュリティアップデート

  • https://lists.ubuntu.com/archives/ubuntu-security-announce/2025-November/009961.html
  • Ubuntu 25.04用のアップデータがリリースされています。CVE-2025-64524を修正します。
  • usn-7878-1の25.04向けパッケージです。
  • 対処方法:通常の場合、アップデータを適用することで問題を解決できます。

usn-7851-2:runCの再アップデート

  • https://lists.ubuntu.com/archives/ubuntu-security-announce/2025-November/009962.html
  • Ubuntu 25.10・25.04・24.04 LTS・22.04 LTS用のアップデータがリリースされています。
  • usn-7851-1において発生した不具合を修正します。
  • 対処方法:通常の場合、アップデータを適用することで問題を解決できます。

usn-7886-1:Pythonのセキュリティアップデート

  • https://lists.ubuntu.com/archives/ubuntu-security-announce/2025-November/009963.html
  • Ubuntu 24.04 LTS・22.04 LTS・20.04 ESM・18.04 ESM・16.04 ESM・14.04 ESM用のアップデータがリリースされています。CVE-2025-6075, CVE-2025-8291を修正します。
  • 悪意ある入力を行うことで、DoSが可能でした。
  • 対処方法:通常の場合、アップデータを適用することで問題を解決できます。

usn-7887-1:Linux kernel (Raspberry Pi Real-time)のセキュリティアップデート

usn-7884-1:OpenJDK 25のセキュリティアップデート

  • https://lists.ubuntu.com/archives/ubuntu-security-announce/2025-November/009965.html
  • Ubuntu 25.10・25.04・24.04 LTS・22.04 LTS用のアップデータがリリースされています。CVE-2025-53057, CVE-2025-53066, CVE-2025-61748を修正します。
  • OpenJDK Vulnerability Advisory: 2025/10/21のUbuntuパッケージ版です。
  • 対処方法:アップデータを適用の上、Javaアプリケーションを再起動してください。
  • 備考:upstreamの新しいリリースをそのまま利用したパッケージです。

usn-7885-1:OpenJDK 21のセキュリティアップデート

  • https://lists.ubuntu.com/archives/ubuntu-security-announce/2025-November/009966.html
  • Ubuntu 25.10・25.04・24.04 LTS・22.04 LTS・20.04 ESM用のアップデータがリリースされています。CVE-2025-53057, CVE-2025-53066, CVE-2025-61748を修正します。
  • 悪意ある入力を行うことで、本来秘匿されるべき情報へのアクセスが可能でした。
  • OpenJDK Vulnerability Advisory: 2025/10/21のUbuntuパッケージ版です。
  • 対処方法:アップデータを適用の上、Javaアプリケーションを再起動してください。
  • 備考:upstreamの新しいリリースをそのまま利用したパッケージです。

usn-7887-2:Linux kernel (Raspberry Pi)のセキュリティアップデート

usn-7889-1:Linux kernelのセキュリティアップデート

  • https://lists.ubuntu.com/archives/ubuntu-security-announce/2025-November/009968.html
  • Ubuntu 24.04 LTS・22.04 LTS用のアップデータがリリースされています。CVE-2025-21729, CVE-2025-38227, CVE-2025-38616, CVE-2025-38678を修正します。
  • 対処方法:アップデータを適用の上、システムを再起動してください。
  • 備考:ABIの変更を伴いますので、カーネルモジュールを自分でコンパイルしている場合は再コンパイルが必要です。カーネルモジュール関連のパッケージ(標準ではlinux-restricted-modules, linux-backport-modules, linux-ubuntu-modulesなど)は依存性により自動的にアップデートされるため、通常はそのままアップデートの適用を行えば対応できます。

usn-7882-1:OpenJDK 11のセキュリティアップデート

  • https://lists.ubuntu.com/archives/ubuntu-security-announce/2025-November/009969.html
  • Ubuntu 25.10・25.04・24.04 LTS・22.04 LTS・20.04 ESM・18.04 ESM用のアップデータがリリースされています。CVE-2025-53057, CVE-2025-53066を修正します。
  • OpenJDK Vulnerability Advisory: 2025/10/21のUbuntuパッケージ版です。
  • 対処方法:アップデータを適用の上、Javaアプリケーションを再起動してください。
  • 備考:upstreamの新しいリリースをそのまま利用したパッケージです。

usn-7883-1:OpenJDK 17のセキュリティアップデート

  • https://lists.ubuntu.com/archives/ubuntu-security-announce/2025-November/009970.html
  • Ubuntu 25.10・25.04・24.04 LTS・22.04 LTS・20.04 ESM・18.04 ESMを修正します。CVE-2025-53057, CVE-2025-53066を修正します。
  • OpenJDK Vulnerability Advisory: 2025/10/21のUbuntuパッケージ版です。
  • 対処方法:アップデータを適用の上、Javaアプリケーションを再起動してください。
  • 備考:upstreamの新しいリリースをそのまま利用したパッケージです。

usn-7881-1:OpenJDK 8のセキュリティアップデート

  • https://lists.ubuntu.com/archives/ubuntu-security-announce/2025-November/009971.html
  • Ubuntu 25.10・25.04・24.04 LTS・22.04 LTS・20.04 ESM・18.04 ESM・16.04 ESM用のアップデータがリリースされています。
  • OpenJDK Vulnerability Advisory: 2025/10/21のUbuntuパッケージ版です。
  • 対処方法:アップデータを適用の上、Javaアプリケーションを再起動してください。
  • 備考:upstreamの新しいリリースをそのまま利用したパッケージです。

usn-7888-1:MuPDFのセキュリティアップデート

  • https://lists.ubuntu.com/archives/ubuntu-security-announce/2025-November/009972.html
  • Ubuntu 25.04・24.04 LTS(Ubuntu Proのみ⁠⁠・22.04 LTS(Ubuntu Proのみ⁠⁠・20.04 ESM・18.04 ESM用のアップデータがリリースされています。CVE-2023-51103, CVE-2023-51104, CVE-2023-51105, CVE-2023-51106, CVE-2024-46657, CVE-2025-46206を修正します。
  • 悪意ある入力を行うことで、DoSが可能でした。
  • 対処方法:通常の場合、アップデータを適用することで問題を解決できます。

usn-7879-3:Linux kernelのセキュリティアップデート

usn-7889-2:Linux kernel (FIPS)のセキュリティアップデート

  • https://lists.ubuntu.com/archives/ubuntu-security-announce/2025-November/009974.html
  • Ubuntu 24.04 LTS(Ubuntu Proのみ)用のアップデータがリリースされています。CVE-2025-21729, CVE-2025-38227, CVE-2025-38616, CVE-2025-38678を修正します。
  • 対処方法:アップデータを適用の上、システムを再起動してください。
  • 備考:ABIの変更を伴いますので、カーネルモジュールを自分でコンパイルしている場合は再コンパイルが必要です。カーネルモジュール関連のパッケージ(標準ではlinux-restricted-modules, linux-backport-modules, linux-ubuntu-modulesなど)は依存性により自動的にアップデートされるため、通常はそのままアップデートの適用を行えば対応できます。

usn-7889-3:Linux kernel (Real-time)のセキュリティアップデート

  • https://lists.ubuntu.com/archives/ubuntu-security-announce/2025-November/009975.html
  • Ubuntu 24.04 LTS(Ubuntu Proのみ⁠⁠・22.04 LTS(Ubuntu Proのみ)用のアップデータがリリースされています。CVE-2025-21729, CVE-2025-38227, CVE-2025-38616, CVE-2025-38678を修正します。
  • 対処方法:アップデータを適用の上、システムを再起動してください。
  • 備考:ABIの変更を伴いますので、カーネルモジュールを自分でコンパイルしている場合は再コンパイルが必要です。カーネルモジュール関連のパッケージ(標準ではlinux-restricted-modules, linux-backport-modules, linux-ubuntu-modulesなど)は依存性により自動的にアップデートされるため、通常はそのままアップデートの適用を行えば対応できます。

usn-7893-1:Valkeyのセキュリティアップデート

  • https://lists.ubuntu.com/archives/ubuntu-security-announce/2025-November/009976.html
  • Ubuntu 25.10・25.04・24.04 LTS用のアップデータがリリースされています。CVE-2025-46817, CVE-2025-46818, CVE-2025-46819, CVE-2025-49112, CVE-2025-49844を修正します。
  • 悪意ある入力を行うことで、メモリ破壊を伴うクラッシュを誘発することが可能でした。任意のコードの実行・DoSが可能でした。
  • 対処方法:通常の場合、アップデータを適用することで問題を解決できます。

usn-7892-1:H2Oのセキュリティアップデート

  • https://lists.ubuntu.com/archives/ubuntu-security-announce/2025-November/009977.html
  • Ubuntu 22.04 LTS(Ubuntu Proのみ⁠⁠・20.04 ESM用のアップデータがリリースされています。CVE-2023-44487を修正します。
  • 悪意ある入力を行うことで、DoSが可能でした。
  • 対処方法:通常の場合、アップデータを適用することで問題を解決できます。

usn-7894-1, usn-7894-2:EDK IIのセキュリティアップデート

usn-7891-1:rust-opensslのセキュリティアップデート

  • https://lists.ubuntu.com/archives/ubuntu-security-announce/2025-November/009979.html
  • Ubuntu 24.04 LTS(Ubuntu Proのみ⁠⁠・22.04 LTS(Ubuntu Proのみ⁠⁠・20.04 ESM用のアップデータがリリースされています。CVE-2023-53159, CVE-2025-24898, CVE-2025-3416を修正します。
  • 悪意ある入力を行うことで、DoSが可能でした。
  • 対処方法:通常の場合、アップデータを適用することで問題を解決できます。

usn-7886-2:Pythonのセキュリティアップデート

  • https://lists.ubuntu.com/archives/ubuntu-security-announce/2025-November/009980.html
  • Ubuntu 25.10・25.04用のアップデータがリリースされています。CVE-2025-6075, CVE-2025-8291を修正します。
  • usn-7886-1の25.10・25.04用パッケージです。
  • 対処方法:通常の場合、アップデータを適用することで問題を解決できます。

usn-7890-1:FFmpegのセキュリティアップデート

  • https://lists.ubuntu.com/archives/ubuntu-security-announce/2025-November/009981.html
  • Ubuntu 16.04 ESM用のアップデータがリリースされています。CVE-2023-6603を修正します。
  • 悪意ある入力を行うことで、DoSが可能でした。
  • 対処方法:通常の場合、アップデータを適用することで問題を解決できます。

usn-7895-1:WebKitGTKのセキュリティアップデート

  • https://lists.ubuntu.com/archives/ubuntu-security-announce/2025-November/009982.html
  • Ubuntu 25.10・25.04・24.04 LTS・22.04 LTS用のアップデータがリリースされています。CVE-2025-43343を修正します。
  • 悪意ある入力を行うことで、メモリ破壊を伴うクラッシュを誘発することが可能でした。任意のコードの実行・DoSが可能でした。
  • 対処方法:アップデータを適用の上、WebKitGTKを利用するアプリケーションを再起動してください。

usn-7852-2:libxml2のセキュリティアップデート

  • https://lists.ubuntu.com/archives/ubuntu-security-announce/2025-November/009983.html
  • Ubuntu 20.04 ESM・18.04 ESM・16.04 ESM用のアップデータがリリースされています。CVE-2025-7425を修正します。
  • usn-7582-1の20.04, 18.04, 16.04向けパッケージです。
  • 対処方法:通常の場合、アップデータを適用することで問題を解決できます。

usn-7896-1:libxml2のセキュリティアップデート

  • https://lists.ubuntu.com/archives/ubuntu-security-announce/2025-November/009984.html
  • Ubuntu 14.04 ESM用のアップデータがリリースされています。CVE-2025-32414, CVE-2025-32415, CVE-2025-7425を修正します。
  • 悪意ある入力を行うことで、メモリ破壊を伴うクラッシュを誘発することが可能でした。任意のコードの実行・DoSが可能でした。
  • 対処方法:通常の場合、アップデータを適用することで問題を解決できます。

usn-7898-1:OpenVPNのセキュリティアップデート

  • https://lists.ubuntu.com/archives/ubuntu-security-announce/2025-November/009985.html
  • Ubuntu 25.10・25.04・24.04 LTS用のアップデータがリリースされています。CVE-2025-13086を修正します。
  • 悪意ある入力を行うことで、アクセス元IPアドレスの識別を誤認させることが可能でした。
  • 対処方法:アップデータを適用の上、システムを再起動してください。

usn-7897-1:CUPSのセキュリティアップデート

  • https://lists.ubuntu.com/archives/ubuntu-security-announce/2025-November/009986.html
  • Ubuntu 25.10・25.04・24.04 LTS・22.04 LTS・20.04 ESM・18.04 ESM・16.04 ESM用のアップデータがリリースされています。CVE-2025-61915を修正します。
  • 悪意ある入力を行うことで、メモリ破壊を伴うクラッシュを誘発することが可能でした。任意のコードの実行・DoSが可能でした。
  • 対処方法:通常の場合、アップデータを適用することで問題を解決できます。

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