Webサイトを公開するための環境として考えられるのは、仮想サーバを提供するIaaSと、Webサイトのホスティングに必要な機能があらかじめ用意されたレンタルサーバでしょう。ただ、それぞれメリットとデメリットがあるため、どちらを選択すべきかの判断は難しいところです。NTTスマートコネクトが提供する「スマートコネクト マネージドサーバ」は、IaaSとレンタルサーバのメリットを組み合わせることで、こうした悩みを解決できるサービスになっています。
IaaSとレンタルサーバのメリットとデメリット
サーバを自社で所有することなくサービスとして利用できるIaaSの強みとして、CPUやメモリといったハードウェアリソースを柔軟に設定できる拡張性、そしてOSやミドルウェアなどを用途に合わせて選択できる自由度の高さが挙げられます。ただ、自由度の高さはユーザ側での運用負担が増すことにもつながります。たとえば、OSやWebサーバに障害が発生したときの対応やパッチの適用といった運用作業はユーザ側で行わなければなりません。
Webサイトの公開、あるいはメールサーバとしての利用といった特定の用途であれば、そのための機能があらかじめセットアップされたレンタルサーバを利用するのも手でしょう。こちらはOSやミドルウェアの運用管理をサービス提供事業者側が行うのが基本となるため、手間をかけずに利用できるメリットがあります。ただ、固定されたハードウェアリソースを複数のユーザで共有するレンタルサーバでは、ほかのユーザが高負荷状態になった際に影響を受けてしまううえ、IaaSのようにサーバの利用状況に応じてCPUやメモリ容量を強化するといった対応も不可能です。
ハードウェア構成の変更や複数台構成も可能
NTTスマートコネクトが提供する「スマートコネクト マネージドサーバ」は、IaaSとレンタルサーバのメリットだけを組み合わせたホスティングサービスであり、それぞれのサービスの課題を解消しているのが特徴です。
具体的には、IaaSのようにCPUやメモリ容量、ディスク容量を柔軟に変更可能である一方、OS/ミドルウェアの運用管理はNTTスマートコネクト側で行われるため、運用負荷を大幅に軽減できます。複数台構成にも対応し、Webサーバとデータベースサーバを分けたり、ロードバランサオプションを利用して負荷分散を行ったりすることも可能であり、IaaSのような柔軟性とレンタルサーバの手軽さを併せ持つサービスになっています。
スマートコネクト マネージドサーバで提供されている5つのプラン。上位プラン、もしくは下位プランに変更でき、アクセス数の増加などにも柔軟に対応できる
| プランA | プランB | プランC | プランD | プランE |
初期料金 (税抜) | 1万5,000円 |
月額料金 (税抜) | 1万9,000円 | 2万7,000円 | 4万3,000円 | 5万9,000円 | 7万5,000円 |
vCPU | 1コア | 2コア | 4コア | 6コア | 8コア |
メモリ | 2GB | 4GB | 8GB | 12GB | 16GB |
ディスク容量 | 標準100GB(最大2TB) |
回線速度 | 1Gbps共用(ベストエフォート) |
Webサイトの運用に便利なステージング機能
外部からのアクセスを制御できるサーバファイアウォール機能やSSHでのアクセス、バックアップ、PHPのバージョン切り替え機能など、Webサイトを運営する際に便利な機能も豊富に用意されています。中でもとくに注目したいのが「ステージング機能」です。
Webサイトの運営において、PHPのバージョンのアップデートによる影響を調べたい、あるいはアップロードしたコンテンツを公開する前に検証したいといったケースは多いでしょう。その際、本番環境とは別に検証環境用のサーバを構築することは珍しくありませんが、そのためのセットアップは大変です。
スマートコネクト マネージドサーバであれば、同一サーバ内に検証環境を作れるステージング機能が用意されているため、別途サーバを構築することなく検証ができます。さらに、コントロールパネルで本番環境と検証環境を切り替えられるため、確認した内容に問題がなければ即座に本番環境に反映できることもポイントです。
Webサイト構築の“プロ”が語るホスティングサービス選びのポイント
大阪と東京を拠点に、Webサイト構築に関わる企画設計から制作開発、そして運用管理まで対応しているのがプラスデザインカンパニーです。今回、NTTスマートコネクトの「スマートコネクト マネージドサーバ」をすでに活用していて導入実績も持つ同社に、このサービスを選んだ理由や使い勝手などについて伺いました。
検証環境を手軽に構築できるステージング機能を高く評価
企業のWebサイトやキャンペーンサイトの構築で豊富な実績を持つプラスデザインカンパニーでは、完成したWebサイトのホスティング先として、顧客の要件に応じてさまざまなクラウドサービスやレンタルサーバを使い分けているとのこと。同社のチーフエンジニア/サーバーエンジニアの松井啓介氏(写真1)は、実際にスマートコネクト マネージドサーバを利用したうえで「ステージング機能」を高く評価します。
松井氏「検証環境を同一ドメイン内に作れるステージング機能は、開発者にとって本当にうれしい機能ですね。とくに便利なのは、本番環境と検証環境で異なるバージョンのPHPが使えるところです。たとえば本番環境では5.3系を使いつつ、検証環境は5.5系でテストするといったことが簡単にできます。しかも検証環境を素早く本番環境に移行できるので、移行のための手間もかかりませんし、トラブルが発生したときの切り戻しも迅速に行えます。これまで検証環境の構築には手間がかかっていたので、素早く検証環境を構築できるステージング機能があるメリットは大きいですね」
このステージング機能は標準で提供されており、複雑な設定を行うことなく手軽に使い始められます。具体的には、ステージング専用のフォルダにファイルを配置するだけで、Webブラウザからステージング専用のポート番号に接続してステージング環境の内容を確認できます。また、ステージングフォルダと本番サイト用のフォルダはコントロールパネルで簡単に切り替えられるため、移行のたびにいちいちファイルをアップロードしなおすといった手間がないこともポイントでしょう。
運用管理の負担を軽減できる使い勝手の良いサービス
さらに松井氏は、運用管理の負担が少ないこともスマートコネクト マネージドサーバの魅力だと語ります。
松井氏「Webサイトを運用する際、お客様からの要件としてセキュリティ保守、つまりパッチの適用などの作業が求められますが、実際にパッチを適用するには、検証環境を用意してパッチを適用し、確認したうえで本番環境へ適用するといった作業が必要です。スマートコネクト マネージドサーバなら、NTTスマートコネクト側でパッチが適用されるため負担がありません。また、NTTスマートコネクト側で万が一のトラブルに備えてコンテンツ領域がバックアップされるため、安心して利用できることもポイントです」
多くのWebサーバがさまざまな攻撃を受けている現状を考えると、脆弱性を解消するためのパッチ適用は運用管理において欠かせません。ただ、パッチ適用によって影響が生じる可能性もあるため、その影響を十分に見極めることが求められます。現在、Webサイトを公開するためのサーバとしてIaaSが使われるケースが増えていますが、OSやミドルウェアへパッチを適用する作業はユーザ側で対応しなければなりません。これにかかる労力やコストまで考えると、運用管理を担当するエンジニアにとってスマートコネクト マネージドサーバは非常に魅力的なサービスと言えるのではないでしょうか。
次回も引き続き、スマートコネクト マネージドサーバについてお話を伺っていきます。
- 問い合わせ先:NTTスマートコネクト株式会社
- TEL:0120-194-238
URL:http://mngsv.nttsmc.com/