EC事業者が注目、.shopドメインとドメイン名をとりまく新たな流れ

インターネットの可能性を広げる新たな動きが、ドメイン名をめぐって起こりつつあります。

gTLD(Generic Top-Level Domain)とは、.com、.netなど、ドメイン名の一番右に来る名前(トップレベルドメイン:TLD)の中でも世界共通で利用できるドメインです。ここ数年、新しいgTLDを策定するプロセスが大幅に緩和され、多くのgTLDが誕生しました。

これにより、すでに他の組織に使われていた短い文字列やわかりやすい文字列を使ったドメインを取得できる可能性が増し、gTLDを選ぶ自由度が増えたことで、とくに商号等をダイレクトにドメイン名に反映できる可能性が出てきました。新しく誕生したgTLDECのうち、Eコマース分野から注目を集めるであろうgTLDが、⁠.shop」ドメインです。

その「.shop」のレジストリとしてこのドメインを一手に販売できる権利を手に入れたのは日本のGMOグループです。同グループでドメイン登録サービス等を行っているvalue-domain⁠GMOデジロック)では、このほど.shopドメインの優先登録予約を開始しました。

ついに始まった.shopドメインの登録サービス

.shopドメインの最も大きな特徴は、一目で「お店」であると認識できるわかりやすさ。⁠ショップ」はもはや日本語といってもいいでしょう。日本人ならつづりを言わなくても口頭で確実にドメイン名(URL)が伝わります。

また、世界的にもそうですがもちろん日本でも誰もが知っている認知度の高い文字列は.com、.jpなどのドメインで大半が使われてしまっています。これから本格的に利用の始まる.shopドメインなら、こうした文字列も取得できる可能性があるため、人気の文字列を希望するユーザからの注目度も高いといえます。

このような事情から、GMOデジロックがまず最初に.shopドメインを利用するユーザ層として期待しているのが、やはりネットショップやリアル店舗の運営者、そしてそうした顧客を多くもつサイト制作会社です。いずれも「value-domain」等のドメイン管理サービスやホスティングサービスを利用し、.shopというドメインを使って新たな顧客を開拓できると考え、動きはじめています。

ここで、.shopドメイン名の予約方法について紹介しておきましょう。

「.shop」優先登録
URL:https://www.value-domain.com/newgtld/shop/

まず.shopドメインの「商標権者向け先行登録期間」があり、商標を取得されている方の登録が優先されました。これは2016年8月29日で登録受け付けが終了しています。

次に、2016年9月2日からの優先登録期間では、ダッチオークション形式による先行登録を行い、登録料金が一般登録よりやや高額となりますが、希望者全員に優先的に登録できる機会が提供されています。ダッチオークションとは、つり上げ式ではなく上限価格から下がっていく、いわゆる「逆オークション⁠⁠。通常のオークションと逆に上限が決まっていて、誰かが値を付けるまで値段が下がっていくため、取得予算を決めて取得に動くことが可能です。

優先登録期間が終了すると、2016年9月27日から、今度は先着順の一般登録期間となります。ここからは早い者勝ちで取得を競うことになります。この一般登録料金は初年度2,139円(税込)です。

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初期登録の要望が落ち着いた後も、定期的に.shop取得キャンペーンなどが予定されているとのこと。ただ、.shopも今後は.comや.jpのように一般に浸透していくとも見られていて、ドメイン自体の人気は維持されていくのではないかとの予測もあります。また.comや.jpでのドメイン名取得に「乗り遅れて」ドメインに興味の無かった人が.shopドメインを知ることによって、新たにわかりやすい文字列を入れたドメイン取得の要望を掘り起こす効果も期待されています。

一方、スマートフォンやタブレット端末からの利用が進んでいるインターネット、URLやドメインを意識して使うことはなくなってきているのではないかと思われる方も多いでしょう。ただこれも、ドメイン名として使えるわかりやすい文字列が少なかったことが一因と言えます。わかりやすいドメイン名を付けることができれば、⁠○○で検索!」といった間接的な宣伝ではなく「○○.shop」と直接ドメイン名を打ち出せます。.shopドメインの利用開始は、ドメイン名を見直す動きが生まれるきっかけになるかもしれません。

ECサイトと.shopドメイン

.shopドメインを取得しても、Eコマースなどの事業にうまく生かすことができなければもったいない。実際にECサイトを運用する際にドメイン名をどう活用すれば良いのか? そのためにはいくつか技術的なポイントをクリアしたサービスを利用することが重要です。

  • 自由度の高い設定ができるDNSサーバが提供されている
  • 独自SSL、IP分散化などのネットワークオプションをもつ
  • スケーラブルなサーバ運用が可能なプランが揃っている

このような点に着目して.shopドメインを運用すると、より高い効果をあげることができるでしょう。先に挙げたvalue-domainの提供するサービスはもちろん上記の条件を備えており、さらに2016年9月26日までに優先登録、一般登録予約することで、同社のWordPress専用のクラウド型ホスティングサービスCOREPRESS Cloudの2017年4月末までの無料利用、VALUE-SERVERの初期費用無料の両方の特典を受けることができます

より手軽に利用したいユーザ向けに、.shopドメインにも対応したドメイン取得とサーバの設定運用をセットにしたサービスも始まっています。このサービスでもサーバの初期費用が無料となっているほか、WordPressを簡単に利用でき、WordPress専用プランでは利用料が半年間無料となっています。今やドメインの取得や設定、維持を意識せず、安価で手軽に利用できる環境を探すのも容易になってきたと言えるでしょう。

またこのような初心者の利用を助ける動きと並んで、ECを利用するユーザの利用の仕方もどんどん変わってきました。とくに日本のECはアメリカなどに比べても、まだまだ発展の余地があると言われています。たとえば、いま最も利用者が多い大手のECサイトへの出店についても、もちろん多くの利用者を集め成功された皆さんも多くおられますが、業種や販売品によっては出店・運営コストなどが課題となり、個人や中小事業者には向き不向きが判断できない面があります。

一方で、個人間取引(CtoC)の盛り上がりやソーシャルネットによる口コミ効果で大きなヒットを飛ばす例など、個人や中小の販売者が参加しやすいステージも揃ってきました。.shopの誕生を機に、今までは自らのサイトや商号で商売ができなかった個人や中小業者が自らの「お店」をインターネット上でオープンさせ繁盛させるのも絵に描いた餅ではなくなってくるでしょう。

.shopドメインの今後

先に例に挙げた個人間取引(CtoC)では、当然個人間決済が行われます。ここで最も重要なのは「信用度⁠⁠。.shopドメインを使っただけでは信用の保証にはなりませんが、よく知れた名前を使った独自ドメインのサイトであること、SSL証明書の利用を組み合わせることで信用を高めていくことができるはずです。こうしたサイトを簡単に作成できるサービスも揃い始めています。

ユーザニーズの多様化やフレキシビリティに備えるには、サービスの選択肢が多いことはもちろん、カスタム化に対応してもらえるパートナーを選ぶことが重要です。たとえばvalue-domainの場合は、元のサーバプランの豊富さ、自由度の高さもさることながら、ユーザの要望から次々と新しいプランやアプリケーションを利用可能になる可能性があります。さらにGMOグループのさまざまなサービスを紹介可能で、組み合わせたサービスも展開しています。ECのことを一から学びたい初心者に対しても、本格的なECを構築可能な同じGMOグループのMakeShopをお勧めするといった、ユーザの状況に合ったサービスをさまざまな方向から提案できる強みがあります。

.shopドメインの提供開始とともに、単なるサーバの提供だけでなく、Eコマース利用をより快適にする試みも始まっています。たとえば、動画共有サイトとコラボして360度VR動画をEC店舗やリアル店舗で簡単に利用できるサービス「mizica」は、もう実用段階に入っています。新たなサービス、UI/UXとの組み合わせが生む次世代のECを構築したいと思っている方は、まず.shopドメインの利用からはじめてみてはいかがでしょうか?

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