欲しい機能が山盛り!─⁠─ホームサーバも可能なNASサーバを試す

多機能がウリの小型NASサーバ「TS-109Pro」、RAID5構築も可能な「TS-409Pro」

一般家庭だけでなくSOHOなどにもファイルサーバの需要が増え続けている昨今、小型ストレージケースは人気の高い製品です。USB接続タイプやeSATA接続タイプも人気ですが、複数台のPCから接続できるファイルサーバ、いわゆるNAS(Network Attached Storage)は利便性も高く、導入を考えている方も多いでしょう。

今回紹介するQNAPのNASサーバTS-109 ProTS-409 Proは、ネットワーク上でのファイル共有のほか、さまざまな機能を盛り込んだ製品。NASとしてだけではなく、Webサーバとしても使うことができるうえ、マルチメディアサーバ機能が追加されているので、フォトギャラリーやiTunesの音楽も共有することができます。NASとしてはもちろん、ちょっとした便利な使い方もできてしまうのが特長です。

TS-109 Pro
TS-109 Pro
TS-109 Pro(背面)
TS-109 Pro(背面)
TS-409 Pro
TS-409 Pro
TS-409 Pro(背面)
TS-409 Pro(背面)

TS-109 Proの主な仕様

プロセッサ SoC 500MHz
メモリ 128MバイトDDR II RAM+8Mバイト Flash
HDD搭載可能容量 3.5"SATA-I/II HDD×1 最大1Tバイト
⁠eSATA/USBによる2Tバイトまで拡張可能)
※HDDは本体に含まれません
LANポート RJ-45 Gigabit Ethernetポート×1
USB 2.0 3ポート
eSATA 1ポート
サイズ(mm) 210(奥行)×60(幅)×182(高さ)
重量 本体1.2kg/総重量2.1kg
動作環境 気温0~35℃/湿度~95%
電力供給 外部ACアダプタ、12V、 36W、100~240V
電力消費 スリープモード 6.6W/動作中 14.4W

TS-409 Proの主な仕様

プロセッサ Marvell 5281 500MHz
メモリー 256Mバイト
HDD搭載可能容量 3.5"SATA-I/II HDD×4 最大1Tバイト×4
※HDDは本体に含まれません
LANポート RJ-45 Gigabit Ethernetポート×1
USB 2.0 3ポート
eSATA なし
サイズ(mm) 225(奥行)×176(幅)×188(高さ)
重量 本体3kg/総重量4.75kg
動作環境 気温0~40℃/湿度~95%
電力供給 外部ACアダプタ、12V、 36W、100~240V
電力消費 スリープモード 18.8W/動作中 44.6W

小型で静かな筐体はホームオフィスや自宅にぴったり

それではまず、外観から見てみましょう。TS-109 ProはシングルHDDを搭載させるタイプのNASサーバになります。見た目や大きさは通常の外付けHDDユニットと変わりはなく、とてもスリム。そして外観からわかる最大の特長はファンレスであるということです。実際の使用において、NASサーバの稼働音というのはとても気になるところ。しかし、この製品ならその心配はないということです。内蔵させるHDDを静音タイプにすれば、よほど近づかなければ稼働しているのかさえ確認できません。ファンレスということで放熱性を心配するユーザの方もおられると思いますが、ボディはアルミで作られているため、設置場所さえ気をつけておけば心配は不要でしょう。メーカ発表の資料によると、外気温35℃まで耐えられるということなので、夏場でも風通しのよい場所なら平気です。

TS-109 ProにHDDを取り付けるにはケースを外してセットする
TS-109 ProにHDDを取り付けるにはケースを外してセットする

取り付けられるHDDは1Tバイトまでとなっていますが、eSATAもしくはUSB接続のHDDユニットと組み合わせることで、容量を拡張することもできます。また、接続したHDDと本体のHDDでRAID1による運用も可能なので、ビジネスユースで使っても安心できるのがうれしいところです。対応HDDについてはマニュアルを参照するのがいちばん簡単な方法ですが、事前にチェックしておきたいユーザはQNAPのホームページより英語版のマニュアルがダウンロードできるので、そちらを入手しておくとよいでしょう。ちなみにTS-109 Pro、TS-409 ProともインストールCDに日本語マニュアルが用意されています。

この他、豊富なUSB2.0端子にはデジタルカメラやカードリーダなども接続でき、USBプリンタサーバとしての機能もサポートしています。デジタルカメラから直接ファイルをNASサーバへ保存するオートコピーやプリンタの共有など、かゆいところに手が届く仕様です。

もう一方のTS-409 Proは、HDDが4台搭載可能なNASサーバになります。サポートしているのは単独ボリュームのほか、RAID1、RAID0、RAID5、RAID6そして複数のHDDをひとつの大容量ディスクとして扱うリニアディスクボリュームに対応しています。それぞれ1TバイトのHDDを内蔵させれば最大で4TバイトのNASサーバとして使うことが可能。豊富なRAID管理と大容量で、さまざまなニーズに応えられるでしょう。

最大で4台のHDDを搭載することができるTS-409 Pro
最大で4台のHDDを搭載することができるTS-409 Pro

筐体にはファンが取り付けられていますが、大型静音タイプのため稼働音はとても静か。USBポートも設置されており、TS-109 Proと同様にファイルのオートコピーやプリンタサーバ機能なども用意されています。

使いやすいツール群

NASサーバというと複雑な設定を連想する人も多いかと思いますが、使い方は非常に簡単です。HDDを本体へとりつけたら、LANネットワークへ接続します。管理するPCへインストールCDを入れてQNAP Finderをインストール。ソフトを起動し、リフレッシュボタンをクリックしてしばらくするとNASサーバがリストとして表示されます。見えているNASサーバをクリックして初期設定でファームウェアのインストールなどを行えば、あとは自由に使うことができます。初期設定もウィザード形式なので迷うことはありません。もし、QNAP Finderで見つからなければ、LANケーブルやHDDの接続などをもう一度見直してみましょう。

LAN環境へ接続したら管理用PCにQNAP Finderをインストールします。
ソフトを起動してもNASサーバが表示されないときは「リフレッシュ」ボタンをクリックしてみましょう
ソフトを起動してもNASサーバが表示されないときは「リフレッシュ」ボタンをクリックしてみましょう
初期設定はウィザード形式なので簡単
初期設定はウィザード形式なので簡単

初期設定が完了すれば、使いたいPC側でネットワークドライブにしておけば、通常のファイル共有サーバとして運用できます。ただ、それだけではもったいないので、NASサーバの管理コンソールから設定を行うことにより、さまざまな機能を使ってみることをオススメします。

この製品の機能を使うにはWebブラウザベースのTurbo Stationを利用します。これを表示させるには先ほどのQNAP Finderをもう一度起動し、リストのNASサーバをクリックすればOKです。URLを各利用者へ伝達するか、ブラウザにNASサーバのIPを直接打ち込んでも構いません。ブラウザベースで各機能を使えるので大変便利です。ちなみにサポートしているOSはWindows、Mac、Linux、UNIXとなっています。

主な機能はブラウザから操作できるのでユーザビリティは非常に高いといえます
主な機能はブラウザから操作できるのでユーザビリティは非常に高いといえます

ここでは、ブラウザベースでファイル共有が行えるWeb File Manager⁠、Webサイトやメールサーバの構築が行えるWeb Server⁠、画像ファイルなどをオンラインで共有できるMultimedia Station⁠、P2PをサポートするDownload Stationといった機能をユーザ同士で共有することができます。ユーザの管理は「管理」からアカウントを設定できるので、セキュリティも万全です。

FTP機能を使ってファイル共有が行える「Web File Manager」
FTP機能を使ってファイル共有が行える「Web File Manager」
Webサイトの作成などができる「Web Server」
Webサイトの作成などができる「Web Server」
画像ファイルをオンラインで共有できる「Multimedia Station」
画像ファイルをオンラインで共有できる「Multimedia Station」
BitTorrentなどのP2Pツールに対応した「Download Station」
BitTorrentなどのP2Pツールに対応した「Download Station」
管理画面ではユーザ管理やネットワーク管理などさまざまな設定を行います
管理画面ではユーザ管理やネットワーク管理などさまざまな設定を行います

TS-409 Proの場合、デフォルトではアクセスページに「マルチメディアステーション」「ダウンロードステーション」のリンクが表示されていません。もしここに表示しておきたいのなら、管理画面の「ネットワーク設定」にチェックボタンがあるので設定しておきましょう。

「マルチメディアステーション」を有効にする(TS-409 Pro)
「マルチメディアステーション」を有効にする(TS-409 Pro)
「ダウンロードステーション」を有効にする(TS-409 Pro)
図15 「ダウンロードステーション」を有効にする(TS-409 Pro)

その他、MySQLサーバなども管理できるうえ、LinuxのNFSもサポートしています。この製品の機能を使えばWebアプリケーションを構築してインターネット上に公開することもできるので、ある意味ミニマムなDBサーバとしても活用できるのです。自宅サーバを構築したかったけど断念したことがある、といったユーザには、まさにうってつけともいえるでしょう。

TS-109 Pro、TS-409 Proは買い!

これだけの機能がついて、6月17日現在の価格はTS-109 Proで3万円前後実売、当方調べ⁠⁠、TS-409 Proが6万7000円前後と、現行の国産モデルと比べてかなりリーズナブルに手に入ります。1Tバイト、キャッシュ32MバイトのHDDの価格が2万円前後と落ちてきている今実売、当方調べ⁠⁠、この製品を選択するメリットは大いにあるでしょう。小型、静音、高機能と3拍子揃ったTS-109 Pro、TS-409 Pro。SOHOや家庭環境でNASサーバの構築を考えているユーザの皆さんは候補に加えてみてはいかがでしょうか。

QNAP社国内正規代理店
⁠株⁠ユニスター
URLhttp://www.unistar.jp/

参考:ベンチマークテスト

TS-109 Pro、TS-409 Proのパフォーマンスの参考として、ハードディスクやフラッシュディスクのフリーのベンチマークツールであるFDBENCHを用いてベンチマークを取ってみました。

共通環境

テストマシン CPU:Pentium Core 2 Duo E6750
メモリ 2Gバイト
ネットワーク 1000BASE-T
使用ハードディスク Seagate ST3500320NS(TS-409 Proは × 2)

TS-109 Pro

FDBENCHでネットワークドライブ(TS-109 Pro)とPC間のファイル転送速度を3回測定。Drive Sizeは1000MB。

表1 Read/Write(KByte/s)
  Disk Read Write RandomRead RandomWrite
1回目 12045 18563 9993 7834 11790
2回目 12188 18775 10348 7812 11818
3回目 12293 18263 10249 7644 13016
表2 Copy(Operations/min)
  Variable 2k 32k 256k 1MB
1回目 3810 7764 4788 1638 1050
2回目 3847 7854 4866 1644 1026
3回目 3831 7794 4860 1638 1032
表3 Copy(Kbyte/Sec)
  Variable 2k 32k 256k 1MB
1回目 4693 173 1708 4717 12174
2回目 4630 174 1738 4732 11878
3回目 4654 173 1735 4717 11990

TS-409 Pro(RAID0)

FD BENCHでネットワークドライブ(TS-409 Pro)とPC間のファイル転送速度を3回測定。Drive Sizeは1000MB。TS-409 ProのRAID設定はRAID0(ストライピング⁠⁠。

表4 Read/Write(KByte/s)
  Disk Read Write RandomRead RandomWrite
1回目 16508 26856 14106 12526 12543
2回目 16250 26203 12995 12273 13531
3回目 16317 26467 12723 12422 13657
表5 Copy(Operations/min)
  Variable 2k 32k 256k 1MB
1回目 3180 5904 3930 1548 1338
2回目 3264 5964 4176 1578 1338
3回目 3039 6000 4176 660 1320
表6 Copy(Kbyte/Sec)
  Variable 2k 32k 256k 1MB
1回目 5375 131 1405 4470 15493
2回目 5417 133 1492 4549 15493
3回目 4712 133 1492 1936 15289

TS-409 Pro(RAID1)

FD BENCHでネットワークドライブ(TS-409 Pro)とPC間のファイル転送速度を3回測定。Drive Sizeは1000MB。TS-409 ProのRAID設定はRAID1(ミラーリング⁠⁠。

表7 Read/Write(KByte/s)
  Disk Read Write RandomRead RandomWrite
1回目 15719 22394 15543 11437 13503
2回目 16064 23619 15176 11897 13564
3回目 16319 22548 15740 12366 14622
表8 Copy(Operations/min)
  Variable 2k 32k 256k 1MB
1回目 3313 6000 4212 1596 1446
2回目 3340 5946 4326 1626 1464
3回目 3337 5964 4284 1638 1464
表9 Copy(Kbyte/Sec)
  Variable 2k 32k 256k 1MB
1回目 5732 133 1505 4601 16690
2回目 5819 132 1546 4681 16918
3回目 5824 132 1529 4717 16918

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