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Kubernetesの動向予測 2019 => 2020

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Stateful Application on Kubernetes

データベースなどのステートフルなアプリケーションをKubernetes上で実行するには,VMに比べて考えることが非常に多くなるため,一概に推奨できるものではありません。例えば,パブリッククラウドを利用している場合は,一般的にはマネージドサービスのDB・KVS・Queueなどを利用するほうが良いと思っています。一方でオンプレミス環境やベンダーロックインを排除したハイブリッドクラウド構成などを考えた場合には,こういったステートフルなアプリケーションもKubernetes上で実行することで,Database as a ServiceやKVS as a ServiceをKubernetes上で展開したいケースもあります。

前述のマネージドサービスのDBなどを利用する場合でも,Kubernetesで管理する方法が提供されています。以前はOpenServiceBrokerAPIを利用したServiceCatalogというプロジェクトもありましたが,現在はあまり活発に開発されていません。その代わり,クラウドベンダー各社は自社のマネージドサービスをKubernetesから管理するためのソリューションGCP ConfigConnectorAWS Service Operatorなど)を提供しているケースも増えてきました。Kubernetes上で直接DBプロセスが動くわけではありませんが,利用者からするとマネージドサービスをシームレスに利用できるため,Kubernetesの世界で完結することが可能です。

また,Kubernetes上でDBなどを実行することに対しても,海外で事例を聞くケースが増えてきました。国内でも様々なユーザ企業が検証などの取り組みを進めており,2020年は国内でプロダクション利用の事例を聞けるのではないかと期待しています。

Kubernetes for Enterprise

Enterpriseな領域の先進的な話題としては,EdgeにKubernetesを利用するユースケースや,ハイブリッドクラウドやマルチクラウドといったテーマについても多くの話題が溢れていた印象です。海外ではWalmartが大規模に店舗側環境にKubernetesを商用利用している事例なども公開しています。2020年は,様々な形態のEdge環境でKubernetesを利用する事例や,複数のKubernetesクラスタをフェデレーション・オーケストレーションする方法についても発展すると考えています。

また2019年の後半では,いわゆる国内の堅い企業での採用なども多く耳にしました。現状ではまだ表に出てない話もたくさんありますが,2020年はこうした企業での事例も多く聞ける年になると思っています。

国内のCloudNativeに向けて

今回はKubernetesを中心に最新事情についてお伝えしましたが,我々が実現したいのはCloudNativeな世界です。昨年の国内におけるCloudNative化の普及率は特定の企業や業種の事例が多かったですが,新たに取り組みを始めている国内企業も増えているため2020年は様々な場所での利用事例などが公開されていくでしょう。なお,昨年末に実施されたKubeCon + CloudNativeCon NA 2019(2019/11)では,日本は参加者が多い国の中で上から3番目(アメリカ,カナダ,日本)だったことからも国内での注目度も高いことが分かります。

最後になりますが,本年度も国内最大のCloudNative技術カンファレンスとしてCloudNative Days Japan 2020が下記の通り開催されます。昨年実績のCloudNative Days Tokyo 2019では2 Days * 8 Tracksで100セッション以上を実施し,参加者は1,600人に上りました。本年も各都市で実施するため,参加希望者やスポンサー希望の企業様はぜひチェックしてみてください。

  • CloudNative Days Fukuoka 2020 @ ACROS Fukuoka, June 17, 2020
  • CloudNative Days Tokyo 2020 @ Hotel Gajoen Tokyo, September 8-9, 2020
  • CloudNative Days Kansai 2020 @ TBD, TBD

著者プロフィール

青山真也(あおやままさや)

株式会社サイバーエージェント AI事業本部 インフラエンジニア/Developer Experts(Kubernetes/CloudNative領域)

OpenStackを使ったプライベートクラウドやGKE互換なコンテナプラットフォームをゼロから構築。国内カンファレンスでのKeynoteや海外カンファレンス等,登壇経験多数。世界で2番目にKubernetesの認定資格を取得。著書に『Kubernetes完全ガイド』『みんなのDocker/Kubernetes』。現在はOSSへのContribute活動をはじめ,Cloud Native Days TokyoのCo-chair,CNCF公式のCloud Native Meetup Tokyo・Kubernetes Meetup Tokyo・KubeCon日本交流会のOrganizerなどコミュニティ活動にも従事。

Twitter:@amsy810
Portfolio:https://amsy.dev/

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