「Windows Azureをたしなむ」、というコト。

第1回エバンジェリスト砂金信一郎氏に訊く! Windows Azureビフォーアフター

第1回は、日本マイクロソフト株式会社エバンジェリスト砂金信一郎氏に、バージョンアップしたWindows Azureの強みについて伺いました。

日本マイクロソフトエバンジェリスト砂金信一郎氏
日本マイクロソフトエバンジェリスト砂金信一郎氏
Q1:まず、リニューアルしたWindows Azureについてお聞きします。かつてのWindows Azureと比較して何か変わったと思うことはありますか?

かねてから、モバイルやWeb方面のお客様とお会いする際に、かなりの確率で「Windows AzureやめてAzure Web Servicesとかにすればいいのに……」と、真顔で言われていたんです。サービス名に「Windows」がついていると、自分ゴトではないと捉えてしまう、ということのようですが、その後、各種オープンソースソフトウェアに対応したり、CentOSが利用できるといったことへの理解が浸透するにつれ、先入観が薄れました。そんなことが多かったですね。

Q2:ちなみに、前のバージョンを見たときに今だから言える残念エピソードは?

デプロイ時間が長かったことでしょうか。今でこそFTPやGithub経由、TFS連携などいくつかのデプロイ方法が用意されていますが、初期のころはパッケージ作成→デプロイの一択だったので、ちょっとした変更の場合、変えたい内容に比してデプロイに数十分かかることが、状況によっては許容されないというケースがありました。現場では、BLOB経由で各インスタンスにアプリコードだけを配布する仕組みなどで回避していたのですが、一般的なTipsにはなっていませんでしたね。

ちなみに、デプロイに時間がかかることにはそれなりの背景がありまして、単にアプリコードを展開するだけでなく、運用開始後の自動運用や監視なども鑑みて、ロードバランサーの設定やルータや電源を含めてSPOFを作らないように配置場所を探して調整する工程/ゲストOS起動時にスタートアップタスクで必要なアプリをダウンロードして起動するまで監視した上でデプロイ中のステータスを変更するなど(後にバックグラウンド実行ができるようになって解消⁠⁠、いろいろ裏でがんばっていたことを考えると、複数台のサーバ構成が数十分でできあがるというのは、むしろ早いほうなんです。

現在では、自動展開のメリットはそのままに、所要時間の短縮と、多様なアプリのデプロイ方法をご用意しているので、以前に比べると安全なデプロイはやりやすくなったと思います。

Q3:今回のスプリングリリースで叶えられた願望、実現した新機能はずばりどこでしたか?

Azure Web Sitesと、少し遅れてリリースしたMobile Servicesは大きいですね。IaaSに関しては他社のサービスと差別化しにくい領域で、お客様からの「使いたい!」というご要望は多くいただいているのですが、個人的にはこれで世の中をよくすることにどのくらい貢献できるのだろうかと。その答えはまだ出ていません。IT業界やその周辺を少しでも進歩させるために初期からクラウドに関わっている身としては、やはりWindows AzureのPaaS的な世界観に共感を覚えます。

Q4:2012年9月に開催されたDeveloper CampでScott Ghthrie氏がWindows Azureのさらなるヴィジョンを語りました。どのトピックが響きましたか?

Azure Storeですね。本当に超クールな発想だと感じました。⁠その手があったか!」的な。たとえば、MongoDBやRedisなどのNoSQL技術に注目が集まっていますが、これらオープンソーステクノロジーをMicrosoftがすべて検証して、我々のサービスとして皆さまに提供するのは難しいんです。でも、すでにAzure Web Sitesで使えるClearDB(MySQLのホスティングサービス)のように、Windows Azureから使える形で第三者がこれらのテクノロジーをビジネスとして提供できるようになります。これから一気に対応可能なテクノロジーが増えそうな予感です。ちなみに日本ではオペレーションの都合でまだ使うことができませんが、準備は進めていますのでもう少々お待ちください。

日本のDeveloper Campに登場したScott Guthrie氏
日本のDeveloper Campに登場したScott Guthrie氏
Q5:ずばり、「こんなことWindows Azureじゃなきゃできないんだからね!」という必殺セールスメッセージをお願いします。

Mobile ServicesとMedia Servicesは大きな差別化要因になっています。iOSやAndroid、Windows 8などのスマートデバイスに対応したアプリ開発の話が増えていますが、データ保存、認証、プッシュ通知をブラウザ操作だけで簡単に行えるMobile Servicesは、ぜひとももっと多くの方々に使っていただきたい機能です。⁠Windowsだから」⁠Microsoftだから」という先入観だけで敬遠するのはもったいない。

また、ロンドンオリンピックのIP配信でも大活躍したMedia Servicesは、Windows Azureがエラいわけではなくて、これまでMicrosoftがメディア方面で培ってきたMedia Platformのポテンシャルを、Windows Azureの拡張性や自動運用性で引き出したもので、動画配信やエンコーディングなどの処理をするには最適な環境になっています。

技術的には上記2つがイチオシなのですが、実際の現場では、Windows AzureやWindows 8を活用することで、Microsoftの協力的な姿勢を引き出して、ビジネスメリットを感じていただいていることが大きいかもしれません。Microsoftをハブにしたプロモーション支援やパートナー紹介などを通じて、皆さんのサービスやアプリをより良くするためのお手伝いを、想像しているよりかなり柔軟に対応しています。

「こんなことしてくれたらAzure使ってもいいんだけどな」という話があればお気軽にご相談ください。

ありがとうございました。

画像

クラウド連携スキルを高める無料ハンズオントレーニング開催!

クラウド環境でのアプリケーション開発事例が増えつつある現状を踏まえ、開発者向けに Windows Azure をテーマとした無料のハンズオントレーニングを連続開催します。
詳細、ご参加はこちらから↓

おすすめ記事

記事・ニュース一覧