ラスト2回は、
<ゲスト>
日本マイクロソフト株式会社パートナーアプリケーション推進部
デベロッパー&プラットフォーム統括本部
- Q:Windows Azure Media Servicesの商用サービスが始まりました。周辺の反響などはいかがでしょうか?
畠山
「1月のGAを受けて、 かなりの頻度でデモを行ってきました。実際にお客様と接した範囲でのお話になりますが、 「なかなか取っ付きやすそう」 というところで親しみを持っていただけているようです。ご興味をいただいている点は、 セキュリティ面がしっかりしているところと、 ランニングコストがセーブできる部分ですね。また、 Android案件に携わるお客様にとっては、 OSがバージョンアップするたびに混乱にさらされている現状を打開するひとつの解としてWindows Azure Media Services (WAMS) によるマルチデバイス対応機能に期待をしていただけているようです。今後メインストリームとなってくるCommon EncryptionやMPEG-DASHなどの新たな仕様に対しても、 メジャーどころの中では早く対応すると思いますし、 コンテンツ業界が長く提唱している 「ワンソース・ マルチユース」 を実現できると見ています」 - Q:動画配信に関してはさまざまなソリューションが存在し、
激戦区の様相を呈していますが勝算はありますか? 畠山
「すでに動画配信の環境をご利用中のお客様にとっても、 WAMS検討の余地は十分にあります。そして予備軍のお客様……たとえば 「動画配信=コストがかかる」 「動画配信=特別な技術が必要とされる」 などのイメージや先入観から、 導入を躊躇してきた方々の意思決定にもインパクトをもたらすだろうと。スマートフォンやタブレットといった対応デバイスの普及にも後押しされる形で、 既存の動画資産の移行も含めようやく腰を上げる人が増えるとみています。 実はまだ、
「Flash非対応」 「スマホ対応はこれから」 「Windows Mediaオンリー」 というお客様って、 意外と多いんです」 - Q:さまざまな理由からWAMSを動画配信の選択肢にカウントする企業が増えてくると思いますが、
ユーザレベルではいくつかの疑問というか心配事もあるように思います。たとえば 「Flashのケアってどうなってるの?」 というところ。まず、 Flashに関してはマイクロソフトとしてケアできているところとできていないところがある。DRMがない部分に関しては比較的WAMSだけでケアができる。DRMがついていてマイクロソフト単体で手当てができなくなくなる部分は、 パートナーのアプリケーションとSIで補っていくことになる、 ということでよろしいでしょうか? 畠山
「そうなりますね。それらは追加でコストがかかってくるものですので、 テクノロジの目新しさだけではなく、 ビジネス論点でのディスカッションも必要になってきますね」 - Q:一部つかみどころのない部分もありつつ、
拡張性はあるよ! と。これもWindows Azureらしさということでしょうか。 畠山
「拡張性の高さに関しては一定の評価をいただけていると思います。お客様とお話していても、 「モノは分かりました。では実際にどういうシナリオで使っていきましょう」 というところに思いが向かって行くんですよ。下の部分はナシで、 「何をしましょうか?」 というお話ができるのも、 PaaSのいいところですね」
- Q:動画配信の現場にもたらす影響もそれなりにあるのではないでしょうか?
畠山
「動画を生業としている業界、 たとえば放送局の方々の意識に変化が起こりつつあります。 「今までさんざんバイク便でテープを運んできたのはなんだったんだっけ?」 と。1本の動画も、 公開範囲の切り分けなどのオペレーションさえきちんと行えば、 実は社内データをファイルサーバで管理するのと変わらないじゃないかと。しかもそれらが安価でできることにみなさんも気づき始めている。メディアの人にとって、 WAMSはクラウドという価格破壊の爆弾なんだろうと思います」 - Q:コストメリットもそうですが、
煩雑な管理がなくなるだけでもかなりのバリューがありますよね。 畠山
「自分たちで1から10まで管理しなくていいということで心理バリアが取り除かれて、 「ちょっと検討してみてもいいかな」 というモードになる人が出始めています。従来どおりオンプレミス+ファイルベースでやるという人がいる一方で、 まずはクラウド前提でやってみて、 クラウドでできなかったことを中でやるという発想に至る人もいる。現場での動き方や社内外の連携の手法が変わって行くでしょう。しかもこれは放送局や出版社などのメディアに限ったことではありません。一社で閉じてすべてをまかなっている会社は少なくて、 外部パートナーとやりとりをしながらコンテンツを作っているところがほとんどですから。しかも課題は共通で、 使用する言葉が違うだけなので、 どの業界に対しても横展開することができます」