アキラの海外“デッドストックニュース”掘り起こし

第5回謝罪だけじゃなく献金も!? -思わぬ言いがかり”ソニーは“レジスタンス”できるのか

海外のニュースを毎日チェックしていると、⁠どうして国内のメディアはコレを取り上げないんだろう」と首をかしげてしまうことや、取り上げたにしても、扱いがえらく小さいんじゃないの? と思うことがしょっちゅうある。たとえば遠いアフリカで起きている虐殺に興味がないのはまだわかるが(これはこれで大きな問題だ!⁠⁠、日本のメーカが絡む話でもわりと平気でスルーしているみたいだ。今回のネタだって、どこのメディアもあっさり扱うだけだったが、本当ならもっと注目してあげてもいいんじゃないの?

神の名の下に献金なさい

次世代ゲーム機No.1の争いはほとんどWiiで決まり、というのが一般的な見方だが、Playstation 3にも魅力あるソフトは多い。なかでもローンチタイトルのひとつだった「RESISTANCE(レジスタンス)~人類没落の日~」はすでに発売から200万本以上売れているFPS(First Person Shooting)で、人気開発元のインソムニアック・ゲームス Insomniac Gamesが描く独特の世界観にハマるプレーヤーは後を絶たない。

さて、このゲームの舞台は1950年代のイギリスである(主人公はアメリカ人)。インソムニアックのゲームの持ち味は何といってもリアルな描写、当然、背景となる街もしっかり描き込まれている。ここでプレーヤーは異生物⁠キメラ⁠と激しく戦うわけだ。もちろんバイオレンスシーンも盛りだくさんである。

この舞台設定に神の名を借りて文句をつけてきたのが英国国教会だ。ゲーム内で描かれている大聖堂がマンチェスター大聖堂 Manchester Cathedralに酷似している、としてソニーに抗議文を送りつけてきたのである。神聖なる大聖堂の中でエイリアンとドンパチやるとは何事だ!ということらしい。

いや、抗議だけならまだ可愛らしい。英国国教会はさらに4つの要求をソニーに突きつけてきた。

  • 本ゲーム中で大聖堂を使用したことへの謝罪
  • 本ゲームの回収、または大聖堂の描画箇所を削除した修正版のリリース
  • 本ゲームで得た利益の相当分を大聖堂の教育部に献金
  • 銃犯罪の撲滅のために戦うマンチェスターの他の団体へのサポート

ちなみにマンチェスターは銃犯罪の絶えない街だそうで、毎日、銃による死人が出ているそうだ。なんだ、別にウソを描いているわけじゃないじゃん。

“リアリズム”“現実”に支払う代償

さてさて、海外の報道も錯綜していて整理しにくいのだが、ソニーはゲームの中で描かれている教会がマンチェスター大聖堂に似ていることは認めたものの、くだんの大聖堂そのものだとは認めていないようだ(13日のAP通信より)。その上で、英国国教会の抗議に対し「真摯に受け止める」とし、教会側との話し合いを開始している。

大聖堂らしき絵が出てくるシーンはごくわずかである。その削除のために現在市場に出回っている全ゲームを回収し、修正バージョンを出す、なんてことはまず不可能だ。考えられる妥協策としては、やはりカネなんだろう。おそらく「ソニーは銃犯罪の撲滅に尽力します」とかなんとか声明を出し、その上でいくらか知らないけど⁠相当(substantial)⁠分の金額を寄付だか献金だかで供出させられる、という展開か。

架空の世界をリアルに描く-それがこの手のゲームの魅力であり、逆にバイオレンスシーンを忌み嫌う人々が攻撃するポイントでもある。ソニーもおそらく、そういった手合いからの抗議は折込済みだったろうが、まさか宗教団体から強請られるとは思っていなかっただろう。グローバル企業はリスクが多いとはいえ、さすがに気の毒だ。最近、ぱっとしない話題が続くソニーだが、これを乗り切って厄納めになるといいのだが。

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