アキラの海外“デッドストックニュース”掘り起こし

第12回iPhone、Android、Zumobi…なんだか騒がしくなってきた世界のケータイ事情

2週間ほど前、San FranciscoのApple Storeではじめて"生"iPhoneに触れた。指先でトントンと画面に軽く触れると、アイコンがぐぐっとズームアップしてアプリケーションが瞬時に展開される。写真を1枚、トントンとやればつついた部分がこれまたズームアップ。本体を右に傾ければ写真も一緒に流れるように傾く。Appleらしい、ほんとうに直感的なインタフェースで、使う人の心をしっかり捉える。電話としてはすこし大きいかな? という気もするけど、慣れてしまえば気にならないんだろう、きっと。

幻?の"Gphone"

iPhoneが衝撃的なデビューを遂げてから数ヵ月後の10月、IT業界にある噂が流れた。あのGoogleが近く携帯端末を出すらしい、その名は"Gphone" -このタイムリーなネタに世界中のメディアが競って飛びついた。あとからよくよく考えれば、携帯電話市場への参入にモタついていたGoogleがパーソナルユースのモバイルガジェットを出すなんて、時期尚早に違いなかったのだが、当時はメディアの誰もがまだ見ぬ"Gphone"の姿を思い思いに描き、Googleの発表を今か今かと待っていたのである。自戒をこめていうが、ほんと、アホですね。

すでにご存知のとおり、Googleが11月5日に発表したのは"Gphone"なんてケータイではなく、モバイル端末向けの開発プラットフォーム、Linuxベースの"Android"だった。これはオープンソースで提供されており、SDKをGoogleのサイトからダウンロードすることができる。拍子抜けするメディアの連中を、Googleは「Gphoneって何? どこにあるの?」と軽くあしらい、さらに、Androidをベースに、携帯電話をはじめとするあらゆるモバイル端末で動作するプラットフォームの構築を目指す34社から成る連合組織 OHA(Open Handset Alliance)の設立を発表した。

ここで興味深いのはOHAの参加メンバーである。通信キャリア、端末メーカ、半導体ベンダ、ソフトウェアベンダなど、いずれも世界的企業が名を連ねているが、当然ながら、というべきかAppleとAT&T、そしてMicrosoftはメンバーに入っていない。ドコモやKDDIの名前があるのにソフトバンクがないのもちょっと気になるが…。

携帯電話の次なるステージはUIか?

そんな中、11月14日にちょっとしたニュースが流れた。Microsoftのリサーチセンターからスピンアウトした企業ZenZuiが、社名をZumobiに変更したというのだ。ZenZuiはスマートフォンなどの携帯端末で動くユーザインターフェースを開発していた会社で、そのGUI(Zumobiでは"ZUI"と言う)の特徴はずばり"Tile"機能にある。タイルが並ぶ画面をタッチすると、そのうちの1つがズームインするものだ。ネットワーク接続機能も備えており、遅延なくデータをロードできることがウリだという。ちなみに搭載した実機こそなかったが、ZenZuiはAppleより早くこのコンセプトを発表していた。

Zumobi Interface
ZumobiのWebサイトにあるタイル画面インターフェース。同サイトのデモではマウスでクリックするとズームする。

変更された社名からは"ズーム"と"モバイル"へのさらなる傾倒が感じられる。実際、Zumobiのサイトでデモプログラムを触ってみると、ズーミングこそがこのインターフェースの肝のようだ。Zumobiは12月にβプログラムとSDKを提供する予定で、その対応プラットフォームはWindows Mobile 5/6となっている。2008年第2四半期にはBlackBerryにも対応するらしい。なお、ユーザは無料でZumobiを使用できるそうだ。

日本とはずいぶん動きが違ってきた世界のケータイ事情。Android搭載機が登場するころにはまたひと波乱、ありそうだ。

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