LAMP開発者のためのWindows Azure講座

第1回LAMPで培ったノウハウをWindows Azureでも活かしてみよう

Windows AzureにおけるLAMP環境

Windows Azure Platformでは、C#やVisual Basicなどの.NET言語だけではなく、PHP、JAVA、Rubyといったオープンソースを使ったWebアプリケーションの開発が可能です。データベースについても、SQL Serverのクラウド版であるSQL Azureだけでなく、PHPを使ったWebアプリケーションで一般的なMySQLを利用することができます。

現在、企業サイトやキャンペーンサイト、ECサイトなどの構築にはLAMP(Linux、Apache、MySQL、PHP)環境が広く使われていますが、そこで培った開発ノウハウは、Windows Azure Platformでもそのまま生かすことができるということです。では、Windows Azure Platform上でLAMP環境を利用するためにはどのような手順を踏めばいいのでしょうか。

本連載では、LAMPからWindows Azureへの移行をテーマに、環境構築の方法、サービス稼働までの流れ、既存のサーバからの移行方法などの手順をステップバイステップで紹介していきます。連載前半では、ローカル開発環境、PHP、MySQLをそれぞれ稼働させるために必要なソフトウェアやツール、プラグインのインストール手順を紹介します。連載後半では、その環境を使って、実際に簡単なサービスを稼働させるまでの流れを追い、既存のLAMP環境からのサービス移行の手順などにも触れていく予定です。

まずは準備~Windows Azureのサブスクリプションの購入

1回目の今回は、LAMP環境を構築するための準備として、Windows Azureのサブスクリプション購入の手続きを中心に紹介します。

ご承知のように、Windows Azure Platformは、ソフトウェアを購入してローカルで「所有」するのではなく、サブスクリプション形式でサービスを「利用」する形態になります。利用にあたって必要になるのがサブスクリプションの購入です。

2011年9月現在、サブスクリプションには、⁠使用量に応じたプラン」「コミットメントを必要とするプラン」の大きく2つがあり、以下の5つのプランが提供されています。

使用量に応じたプラン
  • 導入特別プラン
  • 従量課金プラン
  • MSDN サブスクリプション会員向け
コミットメントを必要とするプラン
  • Windows Azure Platform 標準プラン
  • Windows Azure Platform SQL Azure 標準プラン

コミットメントを必要とするプランは、あらかじめ6カ月間の利用を決めておくことで、サービスの割引を受けられるものです。プランごとの条件や詳しい説明は「Windows Azure価格情報」で確認することができます。

ここでは、90日間無料で利用できる「導入特別プラン」を例として、サブスクリプションの購入の手続きを紹介します。サブスクリプション購入には、Windows Live IDと、クレジットカードが必要になりますので、事前に用意しておきます。Windows Live IDは、サブスクリプション購入の窓口となる「Microsoft Online Servicesカスタマーポータル(MOCP⁠⁠」へのログインや契約者の識別、Azureで利用するサービスの管理などに用いる重要なIDですので、適切に管理していく必要があります。

それでは、具体的な購入手続きの流れを見て行きましょう。まず、MOCPにアクセスすると、以下の画面が表示されます。

図1 MOCPトップの画面
図1 MOCPトップの画面

この画面からLive IDを使ってサインインします。すると、以下のようなプロファイル作成画面が表示されます。

図2 プロファイル作成のダイアログ
図2 プロファイル作成のダイアログ

ここで、連絡先情報、会社情報、サービスの利用先住所を登録します。登録が完了すると、以下のようなサービス購入画面になりますので、左側の「サービスフィルター」から「Windows Azure Platform」を選択し、中央の「Windows Azure Platform 導入特別プラン」から、⁠今すぐ購入」を選びます。

図3 サービスの購入
図3 サービスの購入

すると、購入するサブスクリプションの詳細が表示されますので、確認して「次へ」をクリックして、クレジットカード情報を登録します。利用できるクレジットカードは、2011年9月現在、Visa、Master、American Express、JCBの4種類です。

図4 購入の詳細
図4 購入の詳細
図5 課金情報の入力
図5 課金情報の入力

クレジットカード情報を登録すると、サブスクリプションの確認番号が表示された画面が表示され、しばらくそのまま待っていると、自動的に、次の画面が表示されます。

図6 Windows Azure Platformのようこそ画面
図6 Windows Azure Platformのようこそ画面

サイトのドメイン名は「windows.azure.com」であり、このサイトが「Windows Azureデベロッパーポータル(管理ポータル⁠⁠」と呼ばれる開発者ポータルサイトとなります。

ただし、この段階ではまだ利用できず、最初にアカウントの確認作業が必要になります。画面に表示された「SMSメッセージを送信」ボタンをクリックすると、以下のような「携帯電話の追加とアカウントの確認」画面に遷移します。ここで、携帯電話のメールアドレスを指定すると、アカウント確認のための確認コードが送信されます(携帯電話の端末でlive.comとlive.jpドメインからのメールを受信できる設定にしておく必要があります⁠⁠。

図7 アカウントの確認
図7 アカウントの確認

携帯電話に届いた確認コードを、次に表示される画面で入力すれば、アカウントの確認は完了です。画面は自動的に、以下のWindows Azureデベロッパーポータルに遷移します。

図8 Windows Azureデベロッパーポータルの画面
図8 Windows Azureデベロッパーポータルの画面

アカウント確認作業は最初の1回のみ必要な作業です。Windows Azure Platformで提供されるサービスを利用する場合は、以下のようなサインイン画面からログインすることになります。

図9 通常のWindows Azure Platformサインイン画面
図9 通常のWindows Azure Platformサインイン画面

なお、これらの手順は、「Windows Azure Platformサブスクリプション申し込み~サービス利用 Step by Step」で紹介されています。

ローカル環境の整備

次に必要になるのは、ローカル環境の整備です。Windows Azure Platformでの開発は基本的にローカル環境で行い、それをデプロイするかたちになります。OSとしては、以下の環境が必要になります。

  • Windows 7
  • Windows Vista Service Pack 2
  • Windows Server 2008 R2
  • Windows Server 2008 Service Pack 2

開発に必要なツールやコンポーネントのインストールには、「Microsoft Web Platform Installer(Web PI⁠⁠」と呼ばれるセットアップツールを利用することができます。Web PIを利用すると、IISやSQL Server Express、.NET Frameworkなどのコンポーネントを依存関係などを気にすることなく簡単にインストールできます。

図10 Microsoft Web Platform Installer(Web PI)
図10 Microsoft Web Platform Installer(Web PI)

今回は、LAMP開発者がWindows Azure Platformを利用するためのほんのさわりの部分を紹介しました。次回以降、数回にわたって、Windows Azure Platformで、PHP、MySQLを利用できるようにする方法を紹介していきます。

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