クラウド時代だからこそベアメタルをオススメする理由

第3回ベアメタルクラウドの使い勝手を検証する

物理サーバーをクラウド上で提供する「ベアメタルクラウド」は、そのサーバーが持つ本来のパフォーマンスをそのまま利用できる大きなメリットがありますが、気になるのは一般的なIaaSとの使い勝手の違いです。ここでは、リンクが提供を開始した「ベアメタル型アプリプラットフォーム」を実際に利用し、その使い勝手をチェックします。

物理サーバーをWebブラウザで制御

Webサイトのホスティングやソーシャルゲームの運営、あるいは業務アプリケーションの実行環境としてなど、IaaSはさまざまな用途で使われるようになりました。サーバーの作成や削除がセルフサービスかつオンデマンドで実行できるほか、料金は使った分だけ支払えばよいというIaaSは、自社でサーバーを運用するオンプレミス環境のさまざまな課題の解決につながることを考えると、多くの企業が幅広い用途で使うようになったのは当然だと言えるでしょう。

ただその一方で、IaaSにもいくつかの課題があります。その中でも大きいのが、前回解説したパフォーマンスの問題です。多くのIaaSではサーバー仮想化技術を利用するため、性能面に影響を与えるオーバーヘッドが生じてしまい、物理サーバーと比べるとパフォーマンスは劣ります。リンクが提供する「ベアメタル型アプリプラットフォーム」は、クラウド上で直接物理サーバーを提供するベアメタルクラウドであり、仮想化によるオーバーヘッドがありません。これにより、物理サーバーが本来持っているパフォーマンスをフルに活用できることが最大の特徴です。

さらにベアメタル型アプリプラットフォームでは、使い勝手の面においてもさまざまな工夫が盛り込まれており、IaaSと同様の使い勝手を実現しています。たとえば新規で物理サーバーを構築する場合であれば、まずWebブラウザでコントロールパネルにアクセスし、画面左上にある「+」ボタンをクリックします。これで物理サーバーを追加するためのダイアログが現れるので、ホスト名を設定し、OSの種類やサーバーの種類(スペック⁠⁠、グローバル/ローカルIPアドレスを設定するという流れです。

新たに物理サーバーを追加しているところ。OSや物理サーバーのタイプ、IPアドレスの設定などを行うだけで、簡単に物理サーバーを追加することができる
新たに物理サーバーを追加しているところ。OSや物理サーバーのタイプ、IPアドレスの設定などを行うだけで、簡単に物理サーバーを追加することができる

これらの設定を行って「追加」ボタンを押すと、物理サーバーのセットアップが自動的に始まります。追加したサーバーは一覧に表示され、しばらく待つとステータスが「稼働中」となってサーバーを使い始められます。このように、ベアメタル型アプリプラットフォームにおける物理サーバーの構築は、従来のIaaSによる仮想サーバーの作成と大きな違いはありません。IaaSを使った経験があれば、違和感なく使い始められるでしょう。

多くの機能を装備したコントロールパネル

サーバーの運用に必要となる各種機能もコントロールパネルから利用できます。電源のオン/オフが可能であることはもちろん、物理サーバーを監視するための仕組みもあり、これを設定しておけばコントロールパネル上でロードアベレージなどを確認できるほか、異常検知時にアラートメールを受け取ることができます。

監視機能を有効にすれば、コントロールパネル上でロードアベレージやメモリの使用率、PINGの応答時間などのグラフをチェックすることが可能なほか、アラートメールも受け取れる
監視機能を有効にすれば、コントロールパネル上でロードアベレージやメモリの使用率、PINGの応答時間などのグラフをチェックすることが可能なほか、アラートメールも受け取れる

仮想サーバーを提供する一般的なIaaSと同様、バックアップを作成する機能も提供されています。バックアップは即座に取得できるほか、毎時/毎日でスケジュールを設定して実行することも可能です。さらに物理サーバーの障害検出時に自動的にリストアを行う「自動復旧登録」の設定もあるほか、作成したバックアップファイルを使ったサーバーの複製にも対応しています。

バックアップ機能の設定画面。バックアップを取得するスケジュールは、毎時、もしくは毎日で指定可能だ
バックアップ機能の設定画面。バックアップを取得するスケジュールは、毎時、もしくは毎日で指定可能だ

ベアメタル型アプリプラットフォームのネットワーク構成ですが、各々のサーバーにプライベートIPアドレスが割り当てられています。グローバルIPアドレスを使って外部からの接続を受け付ける場合には、仮想UTMを通して各サーバーで応答する形となります。

なお管理者がSSHなどでサーバーにアクセスする際には、PPTPを使ってVPN接続し、その上でサーバーにアクセスします。グローバルIPアドレスでダイレクトに接続する、IaaSで一般的な接続形態よりも安心感があると言えるでしょう。

仮想UTMにはロードバランサの機能があり、複数のサーバーを利用している際には、重み付け最小コネクション方式で接続を分散することが可能です。設定を行うには、まずコントロールパネルにある「ロードバランサ」の項目で左側の「+」ボタンをクリックすると、ポートを追加するためのダイアログが現れます。ここで外部からの接続に利用するグローバルIPアドレスとプロトコルの種類、ポート番号をそれぞれ入力、さらに右側の「+」ボタンを押して接続先のサーバーをノードとして追加します。

仮想UTMのロードバランサ機能で、待ち受けポート番号を設定しているところ。この後、サービスを提供するサーバーを追加すればロードバランサを利用できる
仮想UTMのロードバランサ機能で、待ち受けポート番号を設定しているところ。この後、サービスを提供するサーバーを追加すればロードバランサを利用できる

このほか、物理サーバーの返却(削除)もコントロールパネルから行えるようになっているなど、ベアメタル型アプリプラットフォームを利用している感覚はまさにIaaSであり、物理サーバーであることを意識する場面はほぼありません。こうした使い勝手のよさは、ベアメタル型アプリプラットフォームのもう1つの特長だと言えるでしょう。

取材協力/株式会社リンク

http://www.link.co.jp/

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