"運用者に光を"「Cloud Operator Days Tokyo 2021」の歩き方

#01「Cloud Operator Days Tokyo 2021」すべてのクラウド従事者にお勧めなわけ

2021年7月中旬からクラウド運用担当者のノウハウを共有するイベント「Cloud Operator Days Tokyo 2021」がオンラインで開催中です。今年はクラウド運用者の実体験をテーマにして公募した中から選ばれたものやスポンサーセッションなど、全60セッションをオンデマンド配信する方式で開催、2000名の視聴参加者を予定しています。

さらに、8月27日(金)にはこれらの集大成として1日かけてライブイベントも行われる予定で、著名なグローバルゲストによる基調講演や、クラウドネイティブを推進する事業者によるパネルセッション、そして配信された各セッションの中から優れたセッションを審査のうえ表彰する「輝け!クラウドオペレーターアワード2021」授賞式が開催されます。

Cloud Operator Days Tokyo 2021
URL:https://cloudopsdays.com/
テーマは「運用者に光を」
テーマは「運用者に光を」

また今年は、5Gの本格運用開始により注目を集める通信事業者のインフラについてオープンソースの観点から議論を行う「Cloud Native Telecom Operator Meetup」⁠CNTOM)と共催されます。通信機器や通信事業のクラウドインフラについて、より深いテーマでの議論が期待できます。

「Cloud Operator Days Tokyo」に至るロングジャーニー

当初「OpenStack Days Tokyo」として2013年に始まり、毎年開催されてきたこのイベントですが、2019年にLinux FoundationのプロジェクトであるCloud Native Computing Foundation(CNCF)が支援する「CloudNative Days Tokyo」との共催を経て、2020年から現在の「Cloud Operator Days Tokyo」という名称で開催されることとなりました。

同イベントがこうした経緯をたどったのはもちろん、この間のクラウドや仮想化インフラのトレンドと大きな関係があります。

OpenStackはオープンソースで開発されているクラウド構築プラットフォームです。プライベートクラウドを構築したり、IaaSのサービスを作る際はほぼこれ一択といったソフトウェアと言えました。しかし、その後パブリッククラウドの高機能化、低コスト化が進み、さらに2015年ごろからKubernetesをはじめとしたコンテナ技術の成熟によって、企業等でシステムを構築/運用する際に利用するクラウドインフラの選択肢が大きく広がります。これまでプライベートクラウドやオンプレミスでなければ構築、維持が難しいと考えられていたものが、必ずしもそうではなくなってきたのです。

「OpenStack Days Tokyo⁠⁠~⁠Cloud Operator Days Tokyo」開催の母体となった集まり「Ops Workshop」
「OpenStack Days Tokyo」~「Cloud Operator Days Tokyo」開催の母体となった集まり「Ops Workshop」

こうした技術状況の変化に伴い、クラウドインフラを使ってシステムを構築する側も「クラウドをどう構築するか」から「さまざまなクラウド周辺技術、サービスをどう組み合わせるか」に興味の中心が移ってきました。このようなエンジニアの志向に合わせてOpenStack周辺の技術動向や、それらの情報交換の場とされる「OpenStack Days Tokyo」も進化を遂げていきます。⁠Cloud Operator Days Tokyo」となってからも、もちろん「運用」という切り口でコンテナやDevOps、セキュリティなど注目のテーマは押さえたセッションプログラムとなっています。

また先に上げた2019年の「CloudNative Days Tokyo」との共催に象徴されるように、OpenStackと直接関係なくても、クラウド基盤にまつわる最新の技術テーマで毎年盛り上がりを見せました。今年もCNTOMとの共催による、かなりコアなセッションが用意されています。

そして「OpenStack Days Tokyo」のころから毎年欠かさずOpenStack Foundation(現OpenInfra Foundation)のCOOであるMark Collier氏が行う基調講演も人気を博しています。名前は変わっても、イベントのスピリッツといえるぶれない軸の部分は残しつつ、セッション内容や運営方式は、その年の技術動向やエンジニアの興味を引く事柄ににマッチする形で開催されてきたといえるでしょう。

なぜ今「運用技術者」にスポットを当てるのか?

クラウド基盤をシステムの構築と運用は表裏一体と言えますが、新技術や先端の事例を紹介することが多い技術記事や書籍、ドキュメント、そして技術イベント等で主に取り上げるテーマは、新しいエンジニアを取り込むという意味からも、どうしても構築寄りとなるのは仕方がないことでしょう。一方、エンタープライズITシステムの⁠一生⁠を考えると、そのライフタイムのほとんどは「運用」で占められます。本来なら、運用にまつわるノウハウこそ、多くのエンジニアが知りたい情報であることは明白でしょう。

そして、エンタープライズ分野においては、日々の安定動作はもちろん、不具合修正からインシデント対応、各種メンテナンスまで、運用技術者の手がける内容は多岐にわたります。これに個別のシステムの特殊な事情が絡むことも多いため、ノウハウを外部と共有しにくく、また情報を出したくても外部の人にわかる形で情報を形にできないというジレンマがあります。そしてこうした「外からのわかりにくさ」は、運用者の業務評価の難しさにつながっています。また、失敗談や地味な苦労話を出す必要もあることから、事例を外部に晒すのは恥ずかしいといった心理も働くようです。

残念ながら、この状況をなんとかするための起死回生の一手なんてものは、そう都合良くは見つかりません。できることがあるとすれば、とにかく現場の状況をできるだけオープンに語ることができる場をより多く用意することに尽きるのではないでしょうか? オープンソースの開発と同様に、クラウド運用現場の「泥くさい」ノウハウをオープンにしていくことが、より多くのエンジニアが共に成長するための、実は近道になるとのではないか、そのためにはオープンソースの開発と同じやり方で、ソースコードの代わりに運用のノウハウをオープンにしていく活動が効果的であろうという目論見があります。

実際のセッション一覧の各トラック分類を見てみますと、以下のようになっています。

  • 大規模システム運用
  • 運用苦労話(しくじり、トラシュー)
  • 運用自動化(Dev/Ops、CI/CD)
  • 社内基盤(情シス、開発環境)
  • CNTOM

「運用苦労話」を1つのカテゴリーにしているところに、このイベントの特徴がよく出ていると思います。しかも「運用苦労話」のセッション数が最も多い(全14セッション)というのも特徴的ですね。

「Cloud Operator Days Tokyo 2021」セッション一覧(一部)
「Cloud Operator Days Tokyo 2021」セッション一覧(一部)
開催前時点での人気セッションベストテン
開催前時点での人気セッションベストテン

“リモートワーク時代のオンラインイベント”を成功に導くために

2020年、⁠Cloud Operator Days Tokyo」として開催される初年で、多くのイベントがコロナ禍により全面オンラインでの開催を余儀なくされました。⁠Cloud Operator Days Tokyo 2020」はそんな状況の中、ライブ感を重視しようという方針から、録画したセッションをオンラインでライブ配信し、同時にインタラクティブな視聴者の質問にも対応するという非常に凝った方式で開催されました。

これは2020年のオンラインイベントとしては、かなり工夫された開催方式でしたが、ライブ感と引き替えに、オンラインのもう1つの特徴である「いつでもどこからでも参加できる」特性が損なわれたことは否めません。とくにリモートワーク中に参加する視聴者が、日中に長時間端末を離れることができないのは大きな負担となります。

そこで、2021年の「Cloud Operator Days Tokyo」は、公募やスポンサーセッションはすべてオンデマンドで配信し「いつでもどこからでも」を確保しつつ、大詰めの8月27日に基調講演を含むライブイベントを行いライブ感を演出するハイブリッド形式の開催となりました。さらにオンデマンドセッションの中からアワードを選びライブイベントで発表することで、オンデマンドの視聴者とライブイベントをうまくつないでいます。2020年開催の経験を活かした工夫ですね。また、発表する側だけではなく視聴者にもプレゼントが用意されています。どこまでも用意周到です(笑⁠⁠。来年の開催はどう進化するのか、非常に気になるところです。

8/27ライブセッションのプログラム
8/27ライブセッションのプログラム

「Cloud Operator Days Tokyo 2021」はすでに始まっています。まずは実際に参加して、クラウド運用のリアルを感じ取ってみませんか?

次回は後編として、編集部が注目するセッションなど、⁠Cloud Operator Days Tokyo 2021」をより深く楽しむ方法を探ってお届けします。

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