クラウド、良いとこ・悪いとこ

第6回クラウドサービスの比較:AWS、Windows Azure、さくらのクラウド

今回でこの連載も最終回です。これまでAmazon Web Services、さくらのクラウド、Windows Azure、Google App Engineについて触れてきました。最終回ということでこれらのベンチマークを比較してみたいと思います。

unixbenchで比較

Amazon Web Services(AWS⁠⁠、さくらのクラウド(以降さくら⁠⁠、Windows Azure(以降Azure)は、IaaS(仮想サーバ)がありますが、Google App EngineはPaaSなので単純な比較はできません。まずは前者の3つについて、比較をしてみましょう。

今回はパフォーマンス計測の定番、unixbenchで比較をしてみました。

計測対象は下記の通りです。

ディスクについては、AWSではProvisioned IOPS、さくらではSSDなどの選択肢もありますが、今回はデフォルトの選択肢のものをそのまま利用しています。

AWSAmazon Linux x86
m1.small 1ECU 1core 1.7GB
m1.midium 2ECUs 1core 3.7GB
m1.large 4ECUs 2COREs 7.5GB
AzureOpenLogic CentOS 6.3
S 1CORE 1.75GB
M 2COREs 3.5GB
L 4COREs 7GB
さくらCentOS 6.3 64bit
1CPU 2GB
2CPUs 4GB
4CPUs 5GB

なお、unixbenchのインストールですが、

  • AWS:gcc,make,perl-devel,perl-CPANをyumでinstall、Time::HiresをCPANでinstall
  • Azure:kernel-headers,gccをyumでinstall
  • さくら:はperl-devel,perl-CPANをyumでinstall、Time::HiresをCPANでinstall

することで実行できました。

Index Scoreの結果比較

結果は以下のとおりです。

すべてを掲載するとかなりのボリュームなので、Index Scoreだけ記載します。

AWSm1.small 1ECU 1core 1.7GB195.2
m1.midium 2ECUs 1core 3.7GB353.4
m1.large 4ECUs 2COREs 7.5GB656.1
AzureS 1CORE 1.75GB765.3
M 2COREs 3.5GB1255.3
L 4COREs 7GB1947.8
さくら1CPU 2GB1451.6
2CPUs 4GB2418.6
4CPUs 5GB3779.8

なおunixbenchの場合、複数CPUではparallel処理が1の場合とCPU数の場合の2パターンの結果が出ますが、上記はparallel数がCPU数の場合の結果となっています。ちなみにIndex ScoreというのはSPARCstation 20-61(懐かしい)を1とした場合、何倍の性能かを示す指標です。

ROIでの比較

そしてこれらをROI(価格性能比)として見てみます。

ここでは月額のサーバ(CPU)料金とディスク(100GBあたり)料金のみを対象としています(実際には他にIOや転送量で料金が発生します⁠⁠。また、AWSはCPU料金が時間あたりなので24時間×30日とし、また1ドル90円で換算しています。Azureについては2013年2月28日時点でのAzureの計算ツールによる換算です。

AWSm1.small 1ECU 1core 1.7GB/195.2
サーバ:5,702円
ディスク:1,080円
合計:6,782円
→34.74
m1.midium 2ECUs 1core 3.7GB/353.4
サーバ:11,340円
ディスク:1,080円
合計:12,420円
→35.14
m1.large 4ECUs 2COREs 7.5GB/656.1
サーバ:22,680円
ディスク:1,080円
合計:23,760円
→36.21
AzureS 1CORE 1.75GB/765.3
サーバ:4,783円
ディスク:581円
合計:5,364円
→7.01
M 2COREs 3.5GB/1255.3
サーバ:9,566円
ディスク:581円
合計:10,147円
→8.08
L 4COREs 7GB/1947.8
サーバ:19,132円
ディスク:581円
合計:19713円
→10.12
さくら1CPU 2GB/1451.6
サーバ:2,500円
ディスク:2,100円
合計:4,600円
→3.17
2CPUs 4GB/2418.6
サーバ:5,200円
ディスク:2,100円
合計 7300円
→3.02
4CPUs 5GB/3779.8
サーバ:10,400円
ディスク:2,100円
合計:12,500円
→3.31

この価格性能比は、SPARCstation 20-61、1台あたりの性能を出すのに必要な月の金額です。つまり、矢印横の数値が低いほどROIは高いということになります。

今回のunixbenchによる比較では結構明確な差が出ました。Azureは性能が高いものほどROIが悪くなっているのが面白いですね。もちろんこれはunixbenchによる比較であって、アプリケーションごとに性能やROIは違うでしょうし、またIOやトラフィックまで加味することでも変わってくるとは思いますが、1つの目安にはなりそうです。

下記のサイトも参考になるかと思います。

  • http://www.publickey1.jp/blog/10/2amazonwindows_azure.html
  • 今回は比較しなかったGoogle App Engineについても載っています。

    AWSとAzureではunixbenchでは5倍、さくらとでは10倍の価格性能比がありますが、あとは機能や用途によって使い分けるなどの工夫が必要になってくるでしょう。

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