KVM環境のリソース監視
今回は,ホスト Linux と仮想マシンのリソース監視について説明します。
KVM 環境を運用するために必要な監視対象項目は,簡単にまとめると最低でも10項目近くあります(表1)。
これらの項目をvirt-managerや virsh,そしてIBMの提供するソフトウェア(IBM Systems Director VMControl)でどのように監視できるかを説明いたします。
表1 KVM 環境の監視対象項目と監視ツールの対応
監視項目 | virt-manager,virsh (※1) | System Director VMControl (※2) |
ホスト Linux | 死活監視 | × | ○ |
CPU使用率 | ○ | ○ |
メモリ使用量 | ○ | ○ |
ディスク使用量 | ○ | × |
ハードウェア障害 | × | ○ |
仮想マシン | 死活監視 | ○ | ○ |
CPU使用率 | ○ | ○ |
メモリ使用量 | △(※3) | ○ |
ディスク使用量 | × | ○ |
virt-managerやvirshによるKVM環境のリソース監視
KVM環境のリソース監視は,GUIツールのvirt-managerやvirshコマンドなどのコマンドラインツールで行います。
virt-managerでは仮想マシンの稼働状況やCPU使用率などを一覧表示で確認できます。また,仮想マシンを選択した状態で「Edit」 → 「Virtual Machine Details」を選択すると,仮想マシンへのメモリ割当量も確認できます。ホスト Linux に関しても同様の操作で CPU 使用率やメモリ使用量,ディスクの使用量を確認できます。
図1 virt-managerの管理画面
![図1 virt-managerの管理画面 図1 virt-managerの管理画面]()
コマンドラインツールのvirshでも virt-manager とほぼ同様の情報を確認できます。
たとえば,仮想マシンの死活監視であれば,
を実行し,仮想マシンが稼働中であれば「実行中」,停止中であれば「シャットオフ」と表示されます。
virshの他のオプションについては以下のサイトをご参照ください。
- Chapter 30. Managing guests with virsh
- http://docs.redhat.com/docs/en-US/Red_Hat_Enterprise_Linux/6/html/Virtualization/chap-Virtualization-Managing_guests_with_virsh.html
しかし,これらのツールではハードウェア障害を検知することができないため,ハードウエア障害により予期しないダウンタイムが発生する場合があり,ハードウエア障害は別の仕組みで監視する必要があります。
Systems Director VMControlによるKVM環境のリソース監視
Systems Directorとは,IBMが提供するプラットフォーム管理ソフトウェアで,1台の管理サーバ(Systems Director サーバ)を用意するだけで,サーバやスイッチ,ストレージなどさまざまなIBMハードウェアの一元管理(アラート受信も含む)ができます。これに VMControlプラグインを追加すると,KVM/VMwareを初めとしたさまざまな仮想化環境もWebブラウザ1つで同じ操作で一元管理でき,運用担当者の管理負担を軽減できます。
図2 Systems Director がカバーする範囲
![図2 Systems Director がカバーする範囲 図2 Systems Director がカバーする範囲]()
Systems Directorに関する情報は,以下のサイトをご参照ください。
- IBM Systems Director スマート・システム管理術
- http://www.ibm.com/jp/domino04/pc/support/Sylphd07.nsf/jtechinfo/SYJ0-016ADB4
2011年5月時点でVMControlの最新バージョンである2.3.1.2は,RHEL5.5(x86-64)KVM環境をテクノロジープレビューとして限定サポートしています。ここではRHEL5.5環境をベースに説明を行います。
VMControlプラグインを追加したSystems Directorサーバでは,ホストLinuxと仮想マシンを一覧表示でき,死活監視が一目で行えます。
図3ではHS21KVMというホストLinux上でkvmrhel54-1が稼働していて,kvmrhel54-2が停止していることが簡単に判断できます。また,CPUの数や割り当てられたメモリ量,ホスト Linuxと仮想マシンのCPU使用率がリアルタイムで確認できます。
図3 VMControl による KVM 環境の一覧表示
![図3 VMControl による KVM 環境の一覧表示 図3 VMControl による KVM 環境の一覧表示]()
さらに,仮想マシンにSystems Director共通エージェントをインストールすることで,仮想マシンのCPUやメモリ,ディスクの使用状況をリアルタイムに把握できます。
図4では,仮想マシンのCPU使用率/ディスクの空きスペースの割合/メモリの使用量をリアルタイムに把握しています。さらにディスクの空きスペースの割合が20%を切ったら警告,10%を切ったらクリティカル通知するようにしきい値も設定しています。
図4 Systems Director による仮想マシンのリソース監視
![図4 Systems Director による仮想マシンのリソース監視 図4 Systems Director による仮想マシンのリソース監視]()
Systems Director には上記のリソース監視の他にもハードウェア障害監視やイベント自動対応機能など,運用担当者の通常運用にかかる負担を軽減する様々な機能が搭載されています。
その他の機能については第8回で説明いたしますので,そちらをご参照ください。
IBM,IBMロゴ,Systems Director VMControlは,世界の多くの国で登録されたInternational Business Machines Corporationの商標です。他の製品名およびサービス名等は,それぞれIBMまたは各社の商標である場合があります。現時点でのIBMの商標リストについては,www.ibm.com/legal/copytrade.shtml をご覧ください。
他の会社名,製品名およびサービス名等はそれぞれ各社の商標です。
この記事に掲載されている情報は,2011年4月15日現在のものです。事前の予告なしに変更する場合があります。