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第8回 [基礎知識編3]「求めるキャリア」vs.「求められるスキル」

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インフラエンジニアの「特殊性」

アプリケーションエンジニアの場合,どこの会社でも利用していた言語が正に⁠共通言語⁠となり,その言語を利用してどのような工夫をしたか,アドオンで利用していたものはなにか? などといった点で評価をする事ができます。

インフラ系エンジニアに関しても基本的には同じなのですが,会社によっては担当する領域が異なり,たとえばアプリケーションフレームワークやデータベース内部のアプリケーションデータの持ち方等を担当することもあるようです。このほか,インフラ関連のエンジニアが他分野のエンジニアと異なる一例を取り上げてみましょう。

外部ベンダやメーカ等との窓口

本連載でも何度か出てきているのですが,インフラ系のエンジニアが調達部門を兼ねる場合があります。当然,社内向けとは異なるコミュニケーション能力が必要となるのと同時に,よりシビアな見積もり,稟議,発注,支払い関連の知識,対応が必要となります。予算消化を行うため,場合によっては社内の経営陣へのプレゼンテーションなども必要となります。

実機調達等に関するスキル

アプリケーションエンジニアであれば,コードインスペクション等を実施し,なぜ,そのようなコードになったのかなどといった妥当性を討議する事があると思います。インフラエンジニアが実機を調達する際も,そのスペックはSLA等から導き出すものの,実機(本体⁠⁠,ミドルウェアバージョン,パッチ等に関して,それぞれ選定理由が必要となります。アプリケーションのコードなどと異なるのは,それぞれが予算消化と直結する可能性が高い部分でしょう。

さらにその先には,搬入等のイベントタスクの管理,構築から利用部門への解放など,よりリアルにスケジュールを管理し,納品,成果物,検収などの対応をする必要があり,このあたりは他のエンジニアと違い,インフラ系エンジニア特有な部分かと思います。

これらは,OSのインストレーションや監視にまつわる知識,細かいツール作成に関する言語(スクリプト等)とは別に必要な知識であり,かつ担当をする業務となりますので,その知識範囲の広さはどんどんとアピールしていただき,インフラ系エンジニアの地位確立を行っていただきたい点であります。

キャリアパスのもうひとつの考え方

ここまでは,インフラ系エンジニアが実際にキャリアを形成していく上で知っておきたい情報を整理してみました。これらを元に実際に社内等で評価を勝ち取って行くためは,あまり知られていない,会社的には属人的とも思われてしまう立ち回りを整理し,アピールしていくことが大切です。また同様に,インフラ系エンジニアが技術等で脚光を浴びるべく実績を出すためには,その規模等にもよりますが,それ相当の期間を要することをポジティブに理解してもらう必要があります。

これらは評価面談や就職活動時においても有効で,交渉時に「なるべく早期に実績をあげれば……」という会話になった場合,評価者や先方の考える定常的になるべく早く実績をあげる具体的な事例を聞いてみたりするのが良いでしょう。その中でコスト削減や安定的な稼動等が十分な実績として評価される場合,既存のメンバーを含めてかなり優遇される可能性がありますので,慎重に真意を見極めていただければと思います。

上記は短期的なスパンでの実績の話ですが,それとは別に,自分の人生の中でのインフラエンジニアの位置付けやキャリアパスというのも非常に重要です。

筆者は昔,漠然と仕事をする中から,システム系の職種を続ける上で強く意識しはじめたことがあります。これはその後の会社を選ぶ上でもものすごく重要なポイントとなっています。それは「オンリーワン」「ナンバーワン」というキーワードです。対極に似通った言葉を並べるのは逃げ道を作っているかどうかという話もありますが,今のところ「ナンバーワン」を目指して仕事をしています。

具体的にどのようなことかというと,たとえば当時は日本でナンバーワンのシステムを持つ会社で働きたいという,自分の中で目標(というより,半ば夢に近いもの)がありました。当時(1990年代の初頭⁠⁠,国営系の金融系システム,鉄道会社系旅客券発行・運行などのシステムが日本一と言われていました。その後,現代に至るまでに,モバイルを含むインターネット関連で規模的に独走してナンバーワンというシステムが入れ替わり登場していますが,最近の傾向としては,大規模と呼ばれるトップのシステムに関しては,ある程度の範囲の中に収まっているという印象があります。

なぜナンバーワンを目指したかというと,やはり大規模システムのユーザであれば,そのシステムが業界のスタンダードになることが多いこと,また,より多くのハードやプロダクトに触れる事が多いのではないかと考えているからです。技術書籍,関連雑誌,ユーザ事例,ユーザ会等で脚光を浴びているのはやはり名前の通っている企業で,その利用方法1つとっても贅沢な使い方が羨ましい限りです。

しかし,規模だけ日本一を目指してしまうと,その仕事に就くことができなかった場合に即挫折となってしまいます。そこで,筆者のもう1つの希望として,⁠プラスアルファの仕組みを持っているかどうか」という点にも注目しています。ベースではオーソドックスな仕組みを使いながら,その企業ならではの仕組みを持ち,そのシステムを作り上げて安定稼動させること,なぜそのような形になっているのかなどのポリシーがあって,そのシステムに携わることがモチベーションとなるような企業でキャリアを積み重ねていくのはとても素敵な事だと思います。そんな中で地道に実績を積み重ね,企業内で評価されていき,最終的にオンリーワンになれれば,後々,管理職,経営層を目指していく上でも有利になると考えてます。

さて,今回はインフラ系のエンジニアが将来に向けたキャリアを考える上でのヒントを書いてみました。教科書通りの考え方ではなく,筆者の場合を例に,現役エンジニアがどのように考えているかを記したつもりです。

もちろん,考え方は十人十色です。読者の皆さんにも素敵なキャリア形成計画があるかと思います。文中にも書きましたが,インフラ系のエンジニアは時として複数年単位で実績を出していく必要があります。逆に,時には運用関連,コストセンター的な立場となったり,場合によっては辛い日々を過ごす事があるかもしれません。

そんな中でも自分は何を目指しているか,一生インフラエンジニアでないとしても,この職に就いている中でどのようなキャリア,スキルを会得していくか,時には時間をかけて立ち止まり,初心を整理したりアップデートしてみてはいかがでしょうか?

著者プロフィール

高岡将(たかおかすすむ)

大手金融,独立系SIerにて気がつけば計18年以上のキャリアを重ねる。バランス感覚に長け,インフラ/アプリ,プレイヤ/マネージャなど関係なくこなし,「いそうだけどいないタイプ」と評価される。

仕事以外では,自転車,ジョギング,サックス等を趣味にし,密かに「エンジニアと健康」についてダイエット成功論の連載を企む。