使える!サーバ運用の実践テクニック

第16回情報システム部門のエンジニアという仕事

大規模サービスや、高負荷システムなどの運用とは縁遠く、場合によってはシステム部門ではなく、管理などのバックオフィス部門付けの事もある情報システム担当。しかしながら、ある程度の規模になればどの会社にも存在し、また、会社の規模がお大きくなればなるほど、PCからインフラだけでなく、内部統制、プライバシーポリシー(Pマーク)やISMSなどの推進とマルチなスキルを必要とする場合があります。

今回は、情報システム部門で求められる仕事の一部を紹介できればと思います。

情報システムといえば

普段、会社で働く方々が情報システム部門の人たちと一番多く接することといえば、PC、プリンタ等を代表とする会社の資源の管理、維持といったイメージが大きいのではないでしょうか?

これらはもう少し深く見てみると、上記をまとめるために何かしらのサーバなどでドメイン、ディレクトリの管理を行ったり、それらの管理元でもある社員などの情報(社員番号や権限など)のコントロールも行います。このような仕事をスムーズに進めるため、人事などの部門と密に連携をとり、入退社、(降)格、人事異動などの情報が集まったりしますので、社内における機密情報を扱っている部門と言えます。

また、ライフラインなど、生活に影響のあるような企業では、政府などが掲げるセキュリティスタンダードなどのポリシーに準拠する必要があったりします。たとえば、人事異動のシーズンに全てのアカウントをドロップクリエイトしたりするために、数ヵ月前から洗い出しを行い、更新有無の調査、休日を利用したリハーサルを何度か重ね対応するために多くの人員、コストをかける企業、業界もあります。

情報システム部門の人材事情

IT関連であれば、どの業界、業種でも慢性的な人材不足かと思います。そんな中、情報システム部門に関しては、サービス的なエンジニア職に比べると基本的にあまり動きの無い部門だと聞いたことがあります。現に、求人サービスなどで検索しても「社内SE」的な募集は比較的少数のため、一見人材不足ではないとも見えます。ただし、求人(募集)が行われると応募が殺到するケースも多く、比較的人気のある職種なのかも知れません。

では、人材は足りているのかどうかという点ですが、いくつかの企業を見る限り、人員としては足りているが、知識、経験という部分ではもう少し欲しい所があるといったような感じでしょうか。特に企業戦略の現状によって求められる知識が異っているのではないでしょうか?

たとえば、すでに事業として完成されているような所では新しい取り組みを必要としなく、欠員補充や、世代交代としてしか求人されませんが、会社よりも売上成長が著しい企業や、これから統制、上場を目指すような企業では社内の環境維持管理の他の経験を求める求人となるでしょう。

エキスパートになるために

筆者の勤める会社では、情報システム部門のエンジニアは経理などと資産、減価償却などの方法、数字の入れ方などを話す機会が多く、その内容に関しては簿記的な観点で説明しなければスムーズに行きません。また、会社の決算時期には社外の各監査担当の方に対して、システム中心にお金が出入りしているものに関する内容やスキームを説明し、監査の方が検算できるどうか、その方法を理解して、自社が提出している数字と乖離が発生しないかどうか理解していなければなりません。もちろん、これらの対応はマネージャー以上が行うことでありますが、逆に言えば情報システム部門のキャリアパスとして考えた場合、必要な知識の1つかと思います。

また、会社自体の内部統制を考えた場合、部門発で会社として決めたルールを全社に適用していく必要があります。この推進力は、一般的なプロジェクトマネジメント、コーチングなど、担当するエンジニアに計画性が求められる他に、人柄によって非常にスムーズに進む時もあれば、なかなか上手く浸透しないケースもあります。たとえば、多くの事は働く社員にとって制限をルール化していく物となるため、不具合が発生した際には強い口調で言われてしまう事もあるかもしれません。

さらに、会社の方針として上場や、さまざまな認証機関から、たとえばPマーク、ISMS、ISOなどに対応していく場合、これらの専門的な知識などを入手し、成果として会社に適用させる必要があります。

意外と進んでいるサービス

昨今のクラウドサービスとは比べられない面もあるかもしれませんが、情報システムや管理部門向けにはさまざまな業務がASPサービスなどとして提供されています。メールアカウント、グループウェア等に関しては、企業側でサーバなどを準備しなくても始められるため、構築の手間や、データセンターに置く場合スペースの問題、自社の場合は停電対応などがあった場合の運用などを省略する事ができます。ただし、初期アカウント数、増分アカウント分のコストをコントロールし、アカウント数による損益分岐を管理しておく必要があります。

また、企業のコンプライアンスを守る上でも有償ソフトウェアのライセンスに関しては得にきちんと管理する必要があります。たとえばマイクロソフト製品などはボリュームライセンス化することにより、マイクロソフトのサイトにてライセンス数が管理できる仕組みもあります。ただし対象が異なれば、たとえばAdobeやウイルスチェック関連のメーカ等、ベンダごとに管理する必要があるため、一貫的に管理できる仕組みをもつ必要があります。

将来的な展望

今回は説明を省略しましたが、経理の勘定系、人事、給与関連や、営業や、権利関連の処理など、IT系のサービスではない事業部に関しては全て情報システム部門の管轄になる可能性がありますため、情報システム部門に求められる知識は非常に多岐にわたります。さらにIT関連のサービス展開も行っている企業では、部分的には自分たちより遥かに知識の長けたエンジニアと対等に話ができる必要があります。

そのため、エンジニアの人生も長い目でキャリアプランを形成する必要があり、若い頃は比較的コンシューマ向けのレイヤに近い社内環境の維持管理から設計推進へ、ミドル層になれば、バックオフィスの業務の理解から経営に向けた信頼の会得を、シニア層にはCIO的な立場として動きがとれるようなキャリアを目指す事ができれば良いのではないかと思います。

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